自分の身体を理解する重要性を感じて、分子整合栄養医学的に健康自主管理活動を推進するグループが、一部分であるが、そのデータを発表した。
標準的治療に分子整合栄養療法を加えることを選択した240人の胃がん患者の中から、75歳未満の患者86人を無作為に抽出した。この研究参加時点での病気判定は2期または3期であった。
専門医による標準的治療(手術および手術直後の化学療法)を受けた後、追加の化学療法・放射線治療を勧められたにもかかわらず、自らの意志でそれを拒否し、分子整合栄養療法のみによる治療を選択した方々で、このグループを「栄養療法群」とした。研究グループは、それぞれの患者の経過を最短5年間、最長で20年間追跡した。
一方、対照群としたのは、愛知がんセンターによる「免疫療法群」と「標準的治療群」で、研究グループと同様、病気2期及び3期の胃癌患者から構成されている。免疫療法群では、標準治療群(手術+補助化学療法)に免疫療法(タンパク結合多糖類)を併用している。
標準治療群では、全員、専門医の勧めに応じて標準的治療(手術+手術後の化学療法)に加えて、追加の化学療法を受け、栄養療法や免疫療法は受けていない。
これは愛知がんセンターの中里博士らが、免疫療法の延命効果を検証する目的で行った研究の対象とされた患者群で、追跡期間は7年間である。
この研究から導き出された生存率は、1994年に英国の医学誌『ランセット』に発表されている。
この3群における胃がん患者の手術後の生存率を、SAS法と云う統計分析の手法を用いて比較したところ、結果は以下の通りであった。
以下、胃癌2期~3期の治療成績
標準治療群の5年生存率 57%
同上、7年生存率 55%
免疫療法群の5年生存率 72%
同上、7年生存率 68%
栄養療法群の5年生存率 89%
同上、7年生存率 85%
同上、20年生存率 75%
栄養療法群は、5年生存率、7年生存率、共に標準的治療群、免疫療法群に比して顕著な有意差が認められた(P<0.05)。栄養療法群の20年生存率75%と云う成績は、補完療法としての分子整合栄養療法の明らかな延命効果を示す結果と考えて良いのではないだろうか。
もう一つ加筆したいのは、栄養療法群に於いては亡くなるまで苦痛はなく、それだけではなく、生涯を前向きに楽しんで、生活の質を下げることなく生きていられたことです。
癌と栄養については、改めて連載させて頂きます。