バブル期以来の好景気?? | ★世の中の嘘を暴き真実を見つけたい☆

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ある日、安倍政治の異常さ、危険さや嘘に気付きました。その怒りから政治の嘘を見つけ、真実を探す記事を書いています。記事の転載は自由ですが、著作権は放棄していませんので出典元記載はお願いします。

 GWも終わり、今日から通常勤務です。皆さんはいかがお過ごしでしたか?私は暦通りお休みを頂き、子や孫たちとの触れ合いを満喫いたしました。

 

 さて、今日は政治ではなく経済の話です。最近、アベノミクス景気という言葉を眼にしますが、景気がよくなったという実感は全くありません。

 マンションが急増したり、外国人旅行客をよく見かけたりという事はありますが、それ以外の変化といえば、重税感や福祉の切捨てを実感する今日この頃です。そんな中、気になったのはマスコミ報道です。

 

 

「2012年12月に始まった「アベノミクス景気」が、1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さになった。世界経済の金融危機からの回復に歩調を合わせ、円安による企業の収益増や公共事業が景気を支えている。ただ、過去の回復局面と比べると内外需の伸びは弱い。雇用環境は良くても賃金の伸びは限られ、「低温」の回復は実感が乏しい。」-2017/4/6付日本経済新聞 朝刊-

 
 思わず目を疑ってしまいます。戦後3番目?こんな提灯記事が増えてきたのは選挙が近いからでしょう。
 内閣支持率報道、好景気報道・・すべて世論操作でしょう。

 

 安倍政権は失業率の低下、高い有効求人倍率等を好景気の有力な根拠としていますが、好景気と感じる国民が少ないのは何故でしょう。

ちなみに2016年2月の讀賣新聞世論調査でさえ、84%の人が「景気回復を実感していない」 としています。


 国民に景気回復の実感が無いのは実質賃金が下がり続けているからでしょう。

 企業が利益を拡大しても、それが賃金に反映しないのは、所得再配分機能が壊れてしまったからです。

 
 「所得再分配」とは、簡単に言えば、所得の大きい人や法人にはより多く税負担してもらい、それを社会保障給付などの形で配分することで所得格差を是正する機能ですが、小泉政権の新自由主義政策からこれが破壊されました。

  実際、国民の負担は増える一方、企業の法人税率は下がり続け、所得格差が顕著になっています。


 それが「失われた20年」と言われる今の日本の現状です。実質賃金が増えなければ、GDPの60%を占める個人消費は低迷します。例えば、全国百貨店売上高は最盛期の平成3年からほぼ半減しています。

 

 アベノミクスでは有効求人倍率が大きく改善したとして、これをアベノミクスの成果だと政府は喧伝していますが、この有効求人倍率の上昇には別の理由があるようです。

 

 1.求職者の減少

 

 有効求人倍率は、求人数の増加(つまり、雇用条件の改善)だけでなく、求職者の減少(つまり、人手不足の深刻化)によっても上昇します。

 図表1に見るように、求職者は減少の一途を辿っています。一方で求人数は、緩やかに上昇しています。

 これは、団塊の世代と言われる昭和20年から昭和25年生まれの人たちが徐々に退職をしていった事、少子化によって若年層が減り続けている事と無関係ではありません。

 

 ◆図表1:求人数・求職者数

(資料)一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

 

 2.パートタイマーの増加

 

 また有効求人倍率に関して注意すべき第2点は、平均値だけでは判断できないという事です。

 まず、雇用形態別に見ると、図表2の通りパートタイム労働者の求人倍率が高い事が分かります。
 これは団塊の世代をパートタイムの再雇用に切り替えたり、非正規雇用の若年者に置き換えて賃金削減を行う企業が増えた事も要因として考えられます。一方で正社員の有効求人倍率は1を下回っており、非常に不安定な雇用環境だと言わざるを得ません。

 

 かくして若者の非正規就業が増え、結婚できない若者たちが増えているのです。


 

 

◆図表2:雇用形態別有効求人倍率

 

3.人手不足はサービス業が中心

 

  有効求人倍率を職業別に見ると、図表3のとおりです。

職種によって非常に大きな開きがある事が分ります。


 最も高いのは「サービスの職業」で、2016年4月で2.67になっています。

 その中でも、「家庭生活支援サービスの職業」「生活衛生サービスの職業」「接客・給仕の職業」は、3を超えています。

 これとは対照的に、「事務的職業」では、有効求人倍率は0.36にしかなっていません(一般事務での就業が厳しい事がよく分ります)

 ちなみに私の知り合いのお子さんは派遣社員として事務職を希望していましたが、応募しても中々決まらず、結局就労先が決まるまで2ヶ月も待たされたそうです。

 

 

 

◆図表3:職業別有効求人倍率

(資料)一般職業紹介状況(職業安定業務統計)

 

 以上から読み取れるのは、「賃金の低い分野、労働がきつい分野で有効求人倍率が高くなっている」ということでしょう。

 この需給ギャップが解消しない限り、労働者の低賃金構造は変わらず、消費の低迷は続き、結果として景気は回復しないでしょう。

 

 有効求人倍率の上昇はアベノミクスの成果だと政府は宣伝していますが、それは新自由主義によってもたらされた格差の結果であり、決して成果ではありません。

 

 これから更に高齢化は進みます。労働力不足は企業にとっても深刻になっていきます。福祉の切捨てから国民の生活防衛意識は更に高まり、消費の選別、節約の傾向は一層強まるでしょう。

 

 全てを自己責任で片付けようとする政府、しかし政治や経済は自己責任論で片付けてはなりません。

 

 経済とは経世済民(経国済民とも) 「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」という意味です。
 世の中を上手におさめ、人々を苦しみから救う・・それは経済だけでなく、政治についても言える事です。

 

 安倍政権は弱者を痛めつけ、いかに弱者から吸い上げて、いかに強者を潤すかしか考えてはいません。

 

 安倍政権は「上が潤えば、水が滴り落ちるように下も潤ってくる」・・というウォーターフォール理論を振りかざしますが、企業は儲けを内部留保に回しています。日本の企業の内部留保は350兆円を超えました。

 これで政権の言う事が全く当てにならない事が証明されたと思います。

 

 「経済の安倍政権」の幻想が崩れたら、不都合な真実を覆い隠すために「独裁の安倍政権」となるでしょう。

 

 経済の話から政治の話となってしまいましたが、もはや安倍政治には微塵の期待や幻想も抱いてはならないという事を最後に申し添えておきます。 

 

 

参考記事:有効求人倍率が高くても、決して歓迎できない理由

       アベノミクスで雇用は改善していない~リフレ派がひた隠す「不都合な真実」=島倉原