初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ -7ページ目

初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ

バス釣りド初心者の中年バサーがベイトオンリーで印旛新川に挑みます。

最近、とあるバス釣り動画を観てみました。





このところ少し思うところがあって、これこれこういった感じの動画は世の中に無いものかなと探し求めたところ、

どうやらこんな近しい動画があるらしい、ということになって、

しかもそれは誰それが持っている可能性が高いのではなかろうか、なんてことになり、

その方に尋ねてみたところあっさりと「持ってますよ」という段に至るや否や、

快く貸し出してくれたそれをありがたく観てみましたという次第だったのでした。




…よくよく考えてみると、自分からこうやってバス釣り動画を探し求めてみたというのは初めてのことかもしれない。

たまたまYouTubeで目についた動画を観たりとか、

あるいは友人が「これ面白いから」なんて言って貸してくれたりしたものを観たことはあるけれども、

自分から能動的に特定の動画を探し求めて観たなんてことは僕史上初の出来事かもしれない。

なにしろ、メディアの発信するバス釣り情報というものについては極力避けるように生きてきた僕でした。


それは映画を観に行く時には事前情報は見ないようにするとか、

ゲームを買ったら最初は攻略本を見ずにクリアするとか、

僕的にはそういったこととまったく同じことだと思っているわけなのですが、

「気になる映画は、あらすじを見ないようにして映画館に行くんだよねー」だと、

「それわかるわー」

という反応がほとんどなのに、

「バス釣り雑誌は買わないし動画もあまり観ないようにしてるんだよねー」だと、

えっ、という顔をされたりすることに、普段から僕は少々心外な気持ちがあったわけなのでした。



…ええと、なんの話をしていたのでしたっけ。

そう、それでその動画の話ですが、僕が探し求めていたのはジャーキングの動画でした。


昨年から真面目に使い始めたジャークベイトですが、

僕はバス釣りを始めて最初に巻きの釣りを覚え、次に撃ちの釣りを覚え、

そして最近になってようやく覚えつつあるのがこのジャーキングの釣りです。

昨年は自分でもかなり意識して使うようにしていたということもあるでしょうが、ワームを含めても昨年一番バスを釣ったルアーのジャンルはジャークベイトだったと思います。


…ところが、どうも、自分でやっているジャーキングというものと、ジャーキングをやりこんでいる人のジャーキングは違うらしい。

自分はジャーキングが得意ですよ、という人と話をしてもそう思うし、実際に他人のジャーキングを見てみてもそう思う。


…とはいえ、具体的に何が違うんだろう?

ジャーキングは、ただ巻くだけ、あるいは撃つだけ、という釣りとは違って-、

…もっとも、巻きにしても撃ちにしても人それぞれ意識するテクニックというものがあるのでしょうが…、

ロッドワークに大きな比重を置く釣り方ですから、自分と他人との違いが、ある意味で見た目にわかりやすい釣りではないかと思っています。

だったら、ひとつ本当のジャーキングというものがどういうものかと、これが本物のジャーキングだぞと謳っている動画でも観て勉強してみるかと、そんな気持ちになったわけなのでした。


…これはいわば復習です。

一回クリアしたゲームでも、攻略本片手にもう一度プレイしてみることで、知らなかった要素や新たな面白さに気がつくこともある。

そんな思惑通り、ジャーキングの動画を観た僕は素直に感心しました。

―なるほど、やはりあのときのあのアプローチは正しかったのか、だから釣れたのか。

あるいは、

―そうか、これではダメなんだ、だからあのときにあのやりかたでは釣れなかったのか。

…などなど。

そもそもが、ジャークベイトといえばサスペンド、というイメージがあったのが正直なところですが、通常、ジャーキングを語る場合はフローティングが前提となっているらしい。

その事実だけでも、僕としては意外さを感じずにはいられません。



…さて、動画を観て気付きがあったというなら、次は実践です。

僕は得たことを試す機会を、虎視眈々と狙っていたというわけだったのでした。




6月11日。


この日は一緒に浮きましょうと、僕は友人である勅使河原さんと約束をしていました。

このところめっきり釣行できる日数が減ってきたと嘆いている勅使河原さんですが、年に一回は一緒に浮く、というのが近年の恒例になりつつあります。

約束の日が近づき、僕は当日の段取りを確認しようと、勅使河原さんに連絡を入れたのでした。


―どこ行きましょうかね。昨年みたいに野池ですか?

勅使河原「ほにゃららダムなんてどう?」


…ほにゃららダム?

聞いたことないな、そんなダム…。



―聞いたことないですけど、新たなユートピアですか?

…いや、その前に念のためお聞きしますけど、釣り禁とかではないですよね?


勅使河原「正々堂々と釣りができる場所だけど」




…へー、僕も5年以上釣りをやってきて、千葉の釣りができるダムなら大概知ってるものだと思っていたけれど、まだまだ知らないところもあるんだなぁ。


未知のダム、非常に興味をそそられます。


―では、そこがいいです。そこにしましょう。

勅使河原「夜が明けてすぐ始めるなら4時集合かな」

―わかりました、では4時に現地で。


…こうして、6月11日はとある未知のダム釣行となったのでした。




…当日。

連絡を取り合っていた時点での週間予報では雨模様だった当日は、直前の予報では晴れに変わって気温も30度まで上がるとのこと。

こりゃ今日は日焼けしそうだわい、なんてことを考えながら勅使河原さんに指示された駐車場に向うと、朝4時にも関わらず既に車が3台も停まっています。

ワイワイと賑やかに準備をしている先行者の方々を見ると、全員フローターのようです。


…ほほう、これは新たなフローターダムの発見ということになるのか。



―あ、勅使河原さん、おはようございます。

勅使河原「お久しぶり。エントリーポイントはそこからみたい。楽に入れそうじゃないかな?」

―あれ?その言いっぷり、勅使河原さんもここで浮いたことはないのですか。

勅使河原「来たことはあるけど、浮くのは初めてだね」



…なんと。


初場所ということで、ポイントだとか、実績のある方法だとかを聞こうと思っていた僕はさっそくアテが外れます。

…まぁ、せっかくの初場所、何も知らず手探りで楽しむという方が、むしろ面白いものかもしれない。



勅使河原「水はどクリアみたいだね」

―あ、ほんとだ、すごい透明度ですね。

勅使河原「2mくらいなら底まで見えちゃうね」

―いつもこうなんですか?

勅使河原「うーん、よくわからないけど、割りと普段からクリアなダムっぽいねぇ」



…クリアな水質。

ジャークベイトはクリアな状況でも有効なルアーとも聞きます。

なんと、動画で学んだテクをいつ披露してくれようかとウズウズしていた僕にはおあつらえ向きの状況ではないか。


辛抱たまらず、フローターの用意もそこそこにロッドを手に取り、まずはエントリーポイント付近をオカッパリで試してみることにします。

ルアーはもちろん、フローティングミノー。

スミスウィックの、「ログ」です。


ログ



アメリカではキング・オブ・ジャークベイトと呼ばれ、

自身のサポート企業とは無関係に、タックルボックスにログを入れていないバスプロはいないと言われています。




適当に沖に投げ、ジャークで寄せてみます。

…ジャッ、ジャジャジャッ、ジャジャジャッ、ジャジャジャッ…


すると、どこからか小バスの群れがワラワラと沸いてきて、みんなで仲良くミノーをチェイスしてきます。

そして水がクリアな分、相当遠くからでもその様子が視認できます。


…おお、思っていたより魚影が濃い場所じゃないか、これは期待ができそうだ。


―勅使河原さん、ミノーに反応いいですよ!



さて、それがわかればオカッパリで遊んでいる場合ではありません。

さっさとエントリーして、思う存分ミノーで釣り上げることとしましょう。


勅使河原さんの準備も終わったことを確認して、エントリー。


水位は…、

初めてきたダムですから確かなことは言えませんが、岩盤に刻まれた水面の痕から想像するに、満水を少しだけ下回っている、という状況でしょうか。

水面に覆いかぶさる木々の枝と水面の間にはちょっとした隙間ができていて、ところどころはハードルアーを放り込むこともできそうです。

フローターならではの低い姿勢からそういった隙間にルアーを投げつつ、初場所を移動していきます。


…ジャッ、ジャジャジャッ、ジャジャジャ、ジャジャジャ…

良いポイントに放り込めた場合には、相変わらずバスの群れがワラワラとチェイスしてきます。



…ところが、サイズは20cmからせいぜい30cmというところで、しかも喰いにきているというよりはちょっとした好奇心からルアーを追いかけているように思えます。


―…ルアーの選択が合ってないんだろうか。


張り出した岬と、水中に沈んだ立ち木が絡んだ良さそうなポイント。

もう少し低いレンジを試してみたくなった僕は、ルアーをサスペンドのメガバス「ワンテン」に変更して投げてみます。




…ジャッ!ジャジャッ!!




水中の立ち木の間を通すように引いてきますが、チェイスは無い。

…あれ、ここにはいないのか、良さそうだと思ったんだけどな、と思いかけた瞬間、




―…うお、デケェ!!


思わず声をあげてしまいましたが、ピックアップ寸前のルアーを目掛けて、水底から40アップ50アップがこれでもかと浮き上がってきます。

驚いた僕でしたが、ひとまず落ち着いて、回収しかけていたルアーの動きを止めてみます。


…ゆっくりと近づいてくるデカバス達。


…喰え、喰え!


バスは、もうほとんど鼻先が触れるのではと思うほど近づいてルアーを凝視しています。


…どうすんだ、このまま放置でいいのか、動かしたほうがいいのか…。


…そう、思うが早いか、








…プイッ!


反転したバス達は隊列を整えるようにしてもとの水底に戻っていってしまいました。




―くあーーーー!!



…いやー、無念。しかし今のはびっくりした。久しぶりに手汗をかいた。


エントリーしてからここまで、岸際に向けて投げながらやってきたけれど、チェイスは全部小さいバスだけ。

そうか、小さいのが岸際に浮いていて、大きいのは沖側で沈んでいるってことなのか…?



そこからはその想像を検証するために、岸からちょっと距離を離して長めにアプローチをとります。

ワンテンを岸際に投げ、ジャークさせながら引いてくると…、



…いるいるいる!

やっぱりだ、沖目の方からデカいのが浮かんでくる!



…でも、やっぱり見切られてしまうのか。

ルアーを止めても動かし続けても、バスは寸前まで近づいてきては見切ってしまう。


…なんとなく、バスの居場所と引くべきレンジは分かったような気がするんだけど、もう一個、何かが足りないのか、違うのか…。



しかし、それにしてもここの透明度はすごい。

クリアな水質だからこそ、水深1m以上の深さで起きていることまで確認できますが、普通のフィールドならデカバスが浮いてきていたことなど全く気がつかなかったでしょう。


そんなことをしばし考えていると、勅使河原さんが近づいてきました。


―あ、勅使河原さん、どうですか?


勅使河原「釣れないねー、チェイスはあるんだけどね」


―やっぱりですか、まったく一緒ですよ。試した中ではワンテンが一番反応良い気がするんですけど、見切られますね。


勅使河原「クリアだし、プレッシャー高いのかね」


―うーん、ダムの広さの割には釣り人密度は高くないと思いますけどね…。

…花見川上流の混雑ぷりを思い出しながら、そんなことを答えますが、もしも今日が普段よりもクリアな日だとしたら、そのせいでバスが神経質になっているということは充分に考えられます。


―まぁ、時間はあるし、色々と試してみよう。

ひとまずバスの付き場所はなんとなく分かった。

付き場所がわかったなら、順番として、まずは食わせをためしてみよう。


…より食い気がありそうな浮いている小バスを釣ってみようと、虫系ルアーを取り出します。


オーバーハングの最奥にキャスト。

いい具合に枝の上を通して、チョウチン状態を作れました。


…これは我ながらいい位置に通せた。上を意識したバスがいれば喰ってくるに違いない!

チョイチョイチョイ、チョイチョイチョイ…、


お、さっそく一匹の小バスが寄ってきた。

喰うか?喰っちゃうのか?









…プイッ!


…ぬう。



あ、また別のバスがきた。


…お、今度はもう少し大きいじゃないか。

ほら、美味しそうだろう?どう考えても水面に落ちたカナブンだろう?

いっちゃえって、パクっと。ほら、我慢することないんだって!













…プイッ!


…ぬうう。



ある程度、距離を離しているにも関わらず、水面のルアーをめぐるバスの攻防がまるわかりです。

ということは、逆にバスの側からも違和感を感じやすい状況ということなんでしょうか。


…今ので喰わせられないんじゃ、ちょっと僕にはまともに喰わせる自信がない。

だとしたら可能性があるのはむしろリアクションか。








…クランクを超早巻き!

…スピーナ―ベイトを表層巻き!











…ぬうう。

チェイスすら無くなってしまった。





途方に暮れます。

何か他に良さそうなルアーは無かったかとカバンを探ろうとすると…、




…ん?

ふとフローターの脇を見やると、40そこそこのバスがピタリと寄り添っています。


どうもこのバス、右目を怪我しているようで瞳が白くなってしまっていますが、何があったんでしょう。



―隻眼のバスか、伊達政宗的な…。


…で、それはともかく何をやっているんだ、コイツは。

釣れない僕を馬鹿にしているのか?







…。



いっちゃっていいすか?

自分コイツいっちゃっていいすか?



…そばに虫ルアーを投げてみます。







…ガン無視。


ぐっ。



何がしたいのかわからない政宗はもう放っておいて、ここからどうすべきでしょう。

今のところ、一番反応が良かったのはサスペンドミノーか。

それもちょっと深めに潜らせたとき…、








勅使河原「どう?」



―あ、勅使河原さん。

いやもう全然だめです。喰わせもだめだし巻きもだめだし。


勅使河原「雨がふってくれたほうがよかったかもしれないね」


―ああ、たしかに。雨のほうが釣れそうな感じしますよね、ここ。

雨で多少濁った時に、どのくらい反応が変わるのか、興味ありますね。


勅使河原「この調子だと、夕方までやり続けるのはきついね。昼くらいを目処に終わろうか」


―…あー、そうですね…。


…たしかに、ただでさえ睡眠不足とこの暑さの中、一日やり通すのは辛いかもしれない。

昨日は仕事が忙しく、仕事終わりにまったく眠らないままの不眠釣行だったことを思い出します。


あたりを見回すと、早々に撤収している人もいるようです。

やはり、普段より渋いということなのかなぁ…。

ただ、なまじバスがたくさん見えるだけにさっさと諦めてしまうのはもったいない気もするけれど…。






…とある、シャローになっているワンド。

本来の水深はどの程度かはわかりませんが、底を丈の長いウィードがびっしりと覆っていて、ウィードの上っ面から水面までは1mも無いでしょう。



―ワンテンだとウィードに引っかかるか。


…再びログをセットします。

あまり連続でジャークさせると潜りすぎて根掛かりするかもしれない。

気持ちポーズを長めに、水面とウィードの真ん中くらいをキープするよう意識して…、



ジャジャッ!…、…、ジャジャッ!…、…、




…?

ウィードの間から…、

…バスがすっ飛んできた!?


…パクッ!!!





喰った!!ダッシャ!!!!






…スポーン!















…キャアアアアアアアアアアアアア!!!!!

イヤアアアアアアアアアアア!!!!







…素っ頓狂な声をあげてフローターに突っ伏します。




今日、ここまでやってきて初めての明確なバイト。

それをすっぽ抜けさせてしまった。



…呆然。


いや、呆然としている場合じゃない。

ウィードの中に潜んでいるバスがいることは分かった。

リアクションで飛び出してくる可能性があることも分かった。


同じ攻め方を継続すれば、似たようなバスが釣れてくるはず!




…ガバッと身を起こし、どうにか気を持ち直して、再びワンドにキャスト。









…しかし反応なし。

…ガクッ



再びフローターに突っ伏します。




…やはり、さっきのは千載一遇のチャンスだったのか。

そのチャンスを、フッキングミスで逃してしまった。




…いや、さっきのは明らかにリアクション的な出方。

そもそもルアーをきちんと捉えられていなかったのかもしれない。



…色んな思いがぐるぐると交錯して、しばしその場に佇みます。





勅使河原「…釣れたよー」


…へ!?




―あ、勅使河原さんいつの間に?

釣れたって、ルアーなんですか??



勅使河原「阿修羅だよ」



―阿修羅…、やっぱりサスペンドミノーですか。


勅使河原「投げて放置してたら取り合いみたいになってね、その中でも小さい奴が喰ってきちゃったよ」


―取り合い…。


普段なら見切っちゃうようなバスでも、ちょっとしたキッカケでスイッチが入ることもあるってことか。


勅使河原「ポーズ長めが鍵なのかもしれないね」


―たしかに、僕もさっき一度バイトがあったんですけど、ポーズは長めだったんですよ。



今までやってきたジャークのポーズは感覚では0.5秒くらい、せいぜい長くても1秒。

ところが、さっきのバイトの時は2秒ほど止めていた気がする。


ポーズを2秒から3秒くらいを意識するようにして、やってみようか。


チェイスが多かった岬に移動し、再びワンテンを手に取ります。

岸際にキャストして、ポーズ長めに、長めに…、



…あ、バスが?



…パクッ



!!!



…ダラッシャ!!!!!













…乗った!?

…乗った!!

やっときた!!


―きました!きましたよ勅使河原さん!!



…くお、でも、竿がちょっとばたつく。

これまともに針がかりしてないな。


…あ、やっぱり、口の外にフック一本か。

これはネットじゃないと危ない、ネットネット…、



バシャアッ!!!!!














…。




…ヒエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!





勅使河原「…。」



…あとちょっと、もう10cmでネットインだったのに。

ネットを探すのにもたついたのが悪かったのか。



勅使河原「…今、喰ってくるとこ見えたねー」


―あ、勅使河原さんのところからも見えましたか。


勅使河原「やっぱり、ロングポーズだよ」


―そういうことなんですかねぇ…。ハァァァ。しかし今のは獲りたかったですよ…。




…大きくため息をついて、先ほどとは反対方向にキャスト。

ポーズは2秒、ポーズは2秒、と心の中で唱えつつ…、







…ゴッ!!




!?



―えっ、うそっ乗ってる!?

…乗ってる!連チャン(バラしてるけど)だ!!

つーかポーズ時間変えるだけで、こんなに反応かわるもの!?



…いや、今はそんなことはどうでもいい。

天が重ねて与えてくれた、おそらく最後のチャンス!今度こそモノにしなければ!


慎重に慎重に、…今だ!




クワッ!!



ネット・イーーーーーーーーーーーーーー





バシャア!!



















…。





…ウヒーーーーーーーーーーーーーー!!!!

ヒーッヒッヒッヒッヒッヒ!!!

エヘラエヘラゲラゲラ




勅使河原「…。」





…ああ、やめて、勅使河原さんその視線。

ふざけてんの?とでも言いたげな視線はやめて。

わざとやってんじゃないの?と言わんばかりのその視線はやめてください。


いや、ちょっと言い訳させてくださいよ。

今のも、ちょっと掛かりが悪くてリアフック一本が下顎のとこの…、






…ハァァ…。





勅使河原「…風のせいかね?」


…?

―あ、ほんとだ、いつの間にか風が出てたんですね。

…そうか、それで活性が上がったってこと?


…だとすると、今のこの好調は時間制限つきの時合いということになる。


なんだ、そういうことならボケっとしてる場合じゃない!



…慌ててあちらこちらにキャストしまくります。


…おお、やっぱり、風のせいか、

今までよりも明らかにチェイスが増えた気がする。



…が、チェイスが増えただけで、喰わない。

必殺の2秒ポーズも簡単に見切られてしまう。

さては、既にこのダムの全てのバスに知れ渡ってしまったのか。


…。

しかし、さっきの勅使河原さんの話からすると、不意にスイッチが入って取り合いになることだってあるだろう。

チェイスの先にはバイトがある、そう信じて、もう少し投げてみることにします。



…お?

小バスが2,3匹チェイスしてきたその後ろから…、


…おお、デカいのがきた!

…え?何やってるんだ?

おお!小バスに体当りして追い払おうとしてる!

…で、追い払った後はおもむろにワンテンに向き直って…!














…プイッ!



喰わないんかーい!

それ喰わないんかーい!




…いや、ただ、今のはちょっとおもしろかった。

なんといっても、このダムの透明度でなければ見られなかった光景だろう。


もう少し濁ったダムだったら、今のキャストは今日の何百回、何千回と繰り返したキャストのうちの、記憶にも残らないようなただの一回でしかなかったはず。


僕としてはただ投げて、ただ引いてきただけの何の変哲もない一回のキャストだったのに、

実は水面下ではこんなおもしろい攻防が起こっていたとは…。




…そこから、さらに岸際に向けて投げ続けます。

もはや、先程までのどうしても釣りたいという欲求は半ば失われています。


着水できちんとサミングした場合と、サミングが甘かった場合のバスの反応の違い。

岸際に対して、垂直にアプローチした場合と斜めにアプローチした場合の違い、

同じコースを2度、3度と通した場合の違い、

岸際ギリギリに落とした場合と、50cmほど手前に落とした場合の違い、

チェイスにしたって、ルアーの真後ろをチェイスしてくるやつと、ルアーの50cm真下くらいに付けてチェイスしてくるやつがいる。



…これら全て、バスの反応の違いが目に見えてわかります。

今までの経験で、たぶん、そうなんだろうなと思っていたことも、そうでないこともある。



…これ、よくよく考えると結構すごい場所じゃない?

すごい勉強になる場所じゃない?ここって。


ぶっちゃけ、僕は今まで釣りづらいからとクリアなポイントは避けてきたようなところがあるけれど、これ、めちゃくちゃ勉強になるし、何より釣れなくてもおもしろいじゃないか。


…ここまで一匹も釣ることが出来ずにやさぐれていた僕のモチベーションが急激に持ち直します。



…そうだ、ここまでに喰わせはやったし、リアクションもやった。

でも、そういえば威嚇系はやってなかった。


せっかくのこの状況、ぜひ威嚇系も使ってバスの反応を見てみたい!



…ということで、カバンをガサゴソすると…。

あ、プロップペッパーもってきてた。


ちょうどいい。自分でも理由もわからず釣れることがあるこのルアー。

ぜひ、この状況で使ってみて、水中では何が起こっているのか確認してみようじゃないか。


さっそく付け替えてキャストしてみます。







…カリカリカリカリ…、ジャボッ!!








!?




いきなり出た!


…乗らなかったけど…。




どういうことだ、ミノーをあれだけ投げてもバイトを得られなかった今の状況、プロップペッパーでいきなり出るなんてことがあるのか…。



もう一度、今度は視認できる距離でプロップペッパーを投げて巻いてみると…、






―あ、

小バスのチェイスが半端ない。

しかも、お互い牽制しあって、さっきまでのやる気のないチェイスと追いかけ方が違う。


…これ、喰うんじゃないか?






バシュッ!!!












1



…ほんとに出た。






自分でも訳がわからないような状況で釣れたりするプロップペッパー。

僕はざっくりと「威嚇系ルアー」として使っていたけれど、これ、本当は違うのかもしれない。

さっきのバスのチェイスの仕方は、イライラして相手を攻撃するような状態には思えなかった。


これの真価は、復数のバスをチェイスさせたときに、競いあわせて喰わせるような力にあるんじゃないか…?





…あ、また何匹かチェイスしてきてる。たぶんこれも出るんじゃないか。




バシュッ!!!










2



…これよくアタックしてきたな。



今日一日、もしプロップペッパーだけで通してたら、どんな結果になってたんだろうか。





―…あ、勅使河原さん。


勅使河原「どう?」


―釣れましたよ、2本、プロップペッパーで。小さいですけどね。

これで帰れますわ。すいません、お待たせしました。あがりますか。



勅使河原「そうしよっか。…いや、厳しかったね。他行ったほうがよかったかも」


―や、僕はそれなりに楽しかったですよ。すごい勉強になることもありましたし…、


…ってあれ?



ふとフローターの脇を見ると、一匹のバスがピタリと寄り添っています。

その右目は怪我をしているようで…、




―政宗!?




え、うそ、さっきのところからずっと追いかけてきてたの?

相当移動したよ、僕!



勅使河原「どしたの」


―いや、向こうで勅使河原さんと会話してたあたりの場所あるじゃないですか。あのへんからずっと追いかけてきてるバスがいるんですよ。ちょっと目が怪我してて…、


勅使河原「なんなんだろね?カバーだと思ってんのかな?」


―さぁ…。




結局、今日の釣行の大半は政宗を連れ回していたってことなのか。

何がしたかったんだ、政宗…。




…やっぱり、バスの考えることはよくわからんわい。

こりゃ、釣ろうとしても思い通りに釣れてくれないのは、当たり前なのかもしれない。



そんなことを考えながら、午後1時。

気温30度の中、納竿としたのでした。






2016/6/11(土)

弱風→中風
気温:17度→30度
水温:?度
アタリ:5
バラシ:2
ゲット:2





…結局、岸際近辺にいたある程度やる気のある小バスしか釣れなかったわけですが、

しかし、勉強になった。


今日ここで見たバスの動きは、マッディな水質のフィールドでも同じように行われていることなんじゃないだろうか。

釣れない、釣れないと嘆いているいつかの僕でも、実はその時、水中では同じような熱い攻防が繰り広げられていたんじゃないだろうか。


釣りたい気持ちをグッとこらえて、今回は勉強なんだと割り切りさえすれば、釣果以上に経験を得られることもあるんだということを知った一日でした。




また近いうちに、バスを釣るためじゃなく、バスを知るために、

…あと、あの人懐っこい40アップに再会するために、

ここを訪れてみたいと心から思った僕だったのでした。
こんばんは、ビジ夫です。


今年のGWは、人によっては10連休以上もの大型連休となったようですが、みなさま充実した休暇になりましたでしょうか。

当の僕はといえば、遺憾ながらGW期間中は車を一日中使える日が全く無く、

…もっとも、使えたとしてもこのGW期間中に遠出をしようとは思わなかったでしょうが…、

早朝の2時間だけ、という釣行を3日ほど重ねまして、ボウズだったのは1日だけでしたので、まぁボチボチというところのGWでした。



そういえば、そのうちの一日はこんなものが釣れました。










ケタバス



…わかりますでしょうか?

「ケタバス」ですね。

いるらしいとは聞いていましたが、釣った瞬間には子バスかギルかと確信していたところに、

―む、なんだこの魚体は。

こんなやせ細ったアフターもアフター、ドアフターの可哀想な…、



…あれ?本当にいたんだ。



という感じでした。




フローティングミノーを、長めにポーズをとってダーター気味に使用していたところ、バシャッ!と勢い良くトップに出てくれました。


そんなこんなで、前回の記事から実際には何回か釣行に出かけていたりしたわけなのですが、ブログの更新を怠っていました。

それは、あんまり書くべき内容も無かったというのが半分、もう半分は、正直なところ更新に気乗りがしていなかった、というのが本音です。

僕は千葉に本籍を置き、この、釣り師にとっては最高のロケーションと、千葉ロッテマリーンズとをこよなく愛する、

自他ともに認める熱狂的千葉県民なのですが、

実は、生まれは熊本県熊本市だったりします。





もっとも、僕の親父は三男坊で、九州という環境に早々に見切りをつけて僕が物心ついた頃には既に関東に出ていましたから、

「生まれた場所」という以上の感慨はあまり無い、というのが僕にとっての熊本です。


父方のおじいちゃん、おばあちゃんは共に亡く、今は親父の兄、僕にとっての伯父が本家を継いで暮らしていたのですが、先の震災で、それは全て倒壊してしまいました。

最初の本震では倒壊せず、家族全員の避難が済んでから倒壊したそうですから、怪我人は出なかったのが不幸中の幸いというべきかもしれません。


親父は交通インフラが回復してすぐ、熊本にすっ飛んでいきました。

そして疲れきった様子で帰ってきた親父はポツリと、「帰る家が無くなってしまったよ」と呟いていました。

僕にとっての家とは、家族と暮らす千葉のことですが、

親父にとっては、家とは死ぬまで熊本のことなんだなと、今更ながらに思い知ったのでした。


本音を言うと、記事にこういったことを書くべきかどうかは悩んでいました。



僕個人は今回の震災で少しも被害を受けていません。

親父とは違い、支援のために熊本に行ったわけでもありませんし、失われた家を建てなおすために金を出せと言われたわけでもありません。

それなのにいかにも僕が被災者の方々と同族のような書き方をするということに、個人的に非常に抵抗があったわけなのでして、

そんなことは記事に書くまでもなく、ブログの外で、自分の気の済むまで募金なり、なんなりとできる支援をすればよいと、一時期は思っていたわけです。


…ところが、やはり良く考えた結果、

僕が熊本のためにできること、そう書くと大げさですが、

生まれ故郷のためにできる範囲で力になれることとして、

普段僕のブログを読んでいただいている方々に対して、支援の協力をお願いすること、

それが僕なりにできる支援の一つの形であろうと、そう考えたのでした。


喉が渇いたからと、飲み物を一本買ったつもりになって募金箱に100円を入れてみる、

あるいは、どうせ払う税金なら、ふるさと納税で熊本に、なんていう支援の仕方もあるかもしれません。


どういった形でも構いませんし、無理をする必要も全くないと思います。

自分ができる範囲の中で、とにかくなんでもいいから何かをすることが重要で、

100円を募金することだって、何もしないことと比べれば雲泥の差があるはずです。


熊本はいいところです。

城は綺麗だし、ラーメンは美味いし、水道水は100%地下水ですから、その味は千葉とは比べるまでもありません。


その熊本が震災前と同様に復興するためには、10年以上を要するんだそうです。


これから熊本は、長い長い復興生活に入ります。

それは物質面だけでなく、住む人々の精神面も同様でしょう。


どうか、その熊本のために皆様の暖かいご支援をお願いいたします。


※自宅からでも簡単に募金ができるサイトもあります。

ぜひ、一度中身を確認してみてください。
West「手賀沼釣れてるらしいですよ」



―手賀沼?


West「はい、先週の日曜ボート出した人たちは全員釣ったそうです」


―へー、この時期にそれって結構すごいですよね。


West「カタヤマさんがその日行ったらしくて、そう言ってましたよ」




…。


なんかちょっと感じましたよ。

だからビジ夫さんでも手賀沼行けば釣れるんじゃないですか的な、

そんな意図をちらっと感じましたよ僕は今。



…しかし手賀沼か。


既に初バスを釣りあげて腕組みしながら高みの見物にいるのであろうWestさんの意図はともかくとして、

あらためて手賀沼について知ってる限りのことを思い出してみます。



…たしか柏だか安孫子のあたりにあるという、沼。



…うーむ。

手賀沼もそれなりに有名なのだと思うけど、にわかバサーの僕には正直言ってそのくらいのイメージしかない。


近くにはもっと有名な印旛沼があるし、行ったことがない沼っていうなら、おじゃが池とか、牛久とかもあるし、

あえて手賀沼に行ってみたい、っていう動機を今までもったことがなかった。



…釣れるのか、手賀沼…。

手賀沼とその周辺の水系って、あんまり釣れないって聞いたことがあるような気がするけどな…。





…ピロリーン!




おっと、噂をすればそのカタヤマさんからLINEじゃないか。


カタヤマ「ビジ夫さん、来週ヒマなら手賀沼行きませんか?」


…うほっ!なんというタイミング。



―こんにちは、先週はなにやら釣れたみたいですね。Westさんから聞きましたよ。


「はい、オヒマなら、どうですか?」

―たぶん予定もないと思うので、ではよろしくお願いします。




…腕組みをしてふんぞり返ってるWestさんの思惑通りに事が進んでいるようで若干シャクではありますが、

釣れるというなら僕が確かめてやろうじゃないかと、ありがたく申し出を受けることにしたのでした。



さて、じゃあ用意をしないといけないけれど、

沼っていうくらいだから、ダムみたいに10mも20mも水深があるわけではないでしょう、きっと。


…ふだん、新川とか花見川に行ってるくらいの感覚で用意しておけばいいのかな。


メインはスピナーベイトとクランクで、撃ち物はジグを持っていこう。

それにミノーと、朝イチ用にトップをいくつか、

スピナーベイトは1/4と3/8と1/2と5/8があったはずだし、

クランクはシャロークランクと、2mくらいをひけるミドルレンジのやつがあれば大丈夫でしょう、きっと。


…よしよし、なかなか楽しみになってきた。

こりゃあっさり初バスどころかいきなり5本10本ポポーンと…



嫁「ニヤニヤしながらタックル整理しちゃって、次はどこ行くの?」


…顔を上げると苦笑している嫁さんの顔。



―ん?おう、手賀沼に行くことになったわい。


嫁「てーがーぬーまー!?」



…ビクゥ!!




嫁「いや絶対無理。無駄。やめたほうがいいって!」




―なんだいきなり。そこまで言うってことは行ったことあるんだろうね?

嫁「無い」


―キッパリ言い切りすぎだろ。


嫁「でも他にしといた方がいいって。お兄ちゃんが言ってたもん。手賀沼釣れないって」


―まーたお兄ちゃんかい…。



嫁さんにとっての絶対の師匠であり親愛なるお兄様。

結局、いつまでたってもバス釣りと言えば嫁さんにとってはお兄ちゃんなんだよな…。



…嫉妬のような、呆れのようなちょっと複雑な感情を押し込んで、


―でも、釣れてるんだって。


…と、一応抗弁しておきます。



嫁「やめといたほうがいいと思うけどねー」


―やかましいわ。絶対釣ったるからな。





…こうなったら、Westさんも、嫁さんも、お義兄さんも、

まとめてぎゃふんと言わせてやるしかありません。


―絶対釣ったるからな!!



と心の中で叫んでおいて、就寝します。

明日は6時半に手賀沼に集合ということになっていますから、5時半に出れば充分間に合うでしょう。


…そうか、近いからいつもより長めに寝れるんだ。

いいじゃないか、手賀沼。




当日。



―おはようございます。

カタヤマ「おはようございます!」


ボート屋さんでカタヤマさんと合流します。

…そういえば、カタヤマさんと釣行したことは何度かあるけれど、サシでというのは初めてだったか。


カタヤマさんと言えば、大会にも何度も足を運んでいただいて、

一度ペア(トリオ)を組ませていただいたこともありました。


仲間内でちょっとしたボートトーナメントを開いているそうなのですが、

その中でもカタヤマさんはブッチギリで上手い、というのがWestさんの評でした。

また僕の知り合いの中で、お義兄さんを除けば唯一のバスボート所持者かもしれません。



―先週、釣れたみたいですね。何本釣ったんですか?


「8本です」



―8本!?

それはすごい、そんな釣れるもんですか、手賀沼って。


「手賀沼釣れますよ、デカいのも釣ってるし…」


…ほえー。


そーら見たことか、ここに釣ってる人間がいるぞと嫁さんに電話でもしてやりたいところですが、

おそらくまだ爆睡中かということで思いとどまります。


…しかし、8本か。

カタヤマさんの実力を差し引いたとしても、僕でも半分の4本くらいは獲れてもいいのではなかろうか。



俄然、盛り上がってまいりました。



準備万端整えていてくれたカタヤマさんのボートに乗って、いざ、初の手賀沼釣行です。





てがぬま






「最初はあっちのガマが生えてるところからやりますから」

―なるほど。今水温どのくらいです?


「17度ですね」



―なるほどね、じゅうな…


…17度!?嘘でしょう?



「なんか知りませんが手賀沼は水温高いんですよ」


―いや高いんですよ、って、今の気温が11度くらいですよ。高すぎでしょう。



「なんでなんでしょうねー」



…。

いや、普通気になるとこでしょう、そこ…。

なんでなんでしょうねー、で済ませられるあたり、器が違うぞ、この人。


…ゴクリ、と生唾を飲み込んで、とにもかくにも始めていくことにします。



最初に選んだルアーはバズベイト。

これをガマ地帯のど真ん中に投げて引いてみることにします。



「うわ、出そうそれ!」


…ふっふっふ、でしょう?

マッディな水質に、朝イチ、こう草に引っ掛け引っ掛け、引けるルアーって、あんまり無いですから。考えましたよ。

これで釣り番組ならガボーンと出て、


「ほらでたー!○○!!(※商品名)」


ってなるところなんでしょうが…。






…やっぱり、そうそう都合よくはいかないか。




カタヤマさんはスピナーベイトを試しているようですが、

ちょっと首をかしげてジグに持ち替えたようです。



―…どうしました?


「いや…」




ガマ地帯には反応が無いということで、岸撃ちに移行します。


―ここって水深どのくらいですか?



「70㎝ですね」




…70㎝!

いいですねー、印旛水系をホームにしていたらテンション上がる水深ですね。



「いや、でもここからあっちらへんは1m80㎝くらいありますから」


―…めちゃめちゃディープじゃないですか。


「超ディープですわ。もう、何やったらいいか見当もつきませんわ」




…感覚が狂って会話がおかしなことになっていますが、

どうやらここ手賀沼では攻めるべきメインとなるエリアは概ね1m以内のシャローで、

1mを超える水深はダムで言うところのディープエリアに該当するようです。


そういうことなら話は早い。

ボートを流しながら、スピナーベイトと、クランクと、ミノーのローテーションで万全でしょう。

フローターで新川や花見川を攻める場合と全く同じです。


パラパラと葦の生えた岸際。


じゃあスピナーベイトかな。

水上からは見えない枯れた葦やゴミが岸際に溜まっているでしょうから、

こういった場所では目に見える葦にコンタクトしつつスナッグレス性能も高いスピナーベイトが一番でしょう。


気になる場所があればジグを撃ってみる。

これでいきましょう。



カタヤマさんは同じようにスピナーベイトと、テキサスをローテーションしているようです。


あまり変化の無い岸際を延々と…、




…おや、カタヤマさんどうしました。


「おかしいっす」


―何がですか。



「このストレッチで一人3本ずつくらい釣れてるはずなんですけど」



…へっ?


いやいや、言うてもまだ…、


9時過ぎくらいか。

これからでしょう?


「いや、午前でパパッと釣っちゃって、じゃあ早いけどもう上がっちゃいますかくらいのつもりだったんですよ」



…ここ最近ボウズ続きだった僕からすれば夢みたいな話ですが…。



そこからしばらく僕はスピナーベイトを巻き続けますが、やはり反応がありません。

隣ではおかしいなぁ、おかしいなぁ、としきりに首をひねっているカタヤマさん。

マダマダコレカラデスヨ、と機械のように返答し続けながら、僕は巻きではなく撃ちを試してみることにします。


…これだけ浅ければ7gでいいかな。

7gのラバージグ。

これを岸に沿って生えている葦の表側を狙って投げ続けます。


着底して2秒放置。

1アクションいれて、反応無ければ回収。


カタヤマさんはポイントによって器用にテキサスとスピナベを使い分けながら投げ続けています。

ボートは基本一箇所に止めずに、移動しながら、移動にあわせて撃ち続ける。

カタヤマさんのボートの動かし方とキャストのテンポは僕にとってもちょうどいい感じで、

バックシートで釣りをしていてもストレスは感じません。


ちょっとしたオープンにはミノーを投げたり、心地よくキャストをし続けるのですが、しかし肝心の反応はありません。


…なんとなく、ここまで投げて反応がないということは葦際の表にはいない気がする。

とすると、狙いは、もうちょい奥か。

あの辺のポケットなんていかにも…、



せいっ!







…う、草に絡まった。

「あ、いいですよ無理しなくて、ボート寄せますから」


…スイマセン…。


しかし、ここまで攻め込んでも何の反応もない。

というか葦も風になびいてバタバタいってるし、そもそも狙ったところに投げづらい…、


…あれ?


―そういえば風、結構強くなってきましたね。今日はあまり吹かないと思ってたんですが。

「そうですね、結構流されますね…」


ボートを出した時点では無風に近かったはずが、いつの間にか結構な強風になっています。

カタヤマさんを見やると、遮るものの何も無い手賀沼ではボートポジションをキープするのも難しそう。


皿池のような地形になっている手賀沼ですから、やはり風が強いと波が立ち、水中にも流れがでてきます。

7g程度のジグでは、じわじわと水中を流されてしまっているようです。


…撃ちがやりづらい。やっぱり巻きに戻してみようか。


「1/2のスピナベ、あります?」

―はい、持ってきてますよ。


「ルアー重くしたほうがいいと思います。さすがにここまで風が強いと…」


―なるほど、そうですね、たしかに。

3/8をしまって、1/2のスピナベをセットします。


「それで今度はパラ葦のシャローを巻いてみましょう」

風表になっているシャローエリア。

30cm間隔くらいでポツポツと葦が水中から顔を出しています。


-なるほど、いやー、ここはいかにも出そうですね。

「実績高いところですよ」


カタヤマさんの狙いがよくわかります。

こういう場所はもう、まさにスピナベの独壇場でしょう。

無造作にパラ葦の真ん中に突っ込んで、スピナベのウィードレス性能の高さにモノを言わせてグリグリと巻いてくる。

葦の根本にコツンコツンと当てながら、ヒラを打ったスピナベのブレードが不規則に明滅しています。


-これは居れば喰うだろ。さすがに。

まばらになった葦の陰に潜んでいるバスがいれば、待ってましたとばかりに喰ってくるはず。


その瞬間を今か今かと楽しみに待ちながらシャローを巻き続けます。











…が、特に何事もなく端っこまで終わってしまった…。

んん、さすがにここは釣れないまでも何かしらの情報が得られてもおかしくないと思ったけど…。


首をひねる僕。





「…おかしい!今日絶対おかしいよー!!」


ビクゥ!




-…いや、でも確かに、ここは出てもおかしくない雰囲気もってますよね…。

「そうですよ、いや今日絶対おかしいわなんなんだ手賀沼バスとかいって生意気だわー!!」


-…落ち着いて、カタヤマさん。


…そうか、ここまで無反応なのはさすがにおかしいのか。

ボウズに慣れすぎて感覚がおかしくなってたけど、やっぱりこれは異常事態なのか。


ここに来るまで、最初に予定していたスピナベもクランクもミノーもジグも試している。

考えてみればカードは全部きっちゃってる。


カタヤマさんも巻いたり撃ったり、きっと今までに実績のある方法は全て試していたんだろう。

それでも二人とも何の反応もないというのは、カタヤマさんの経験からしてもかなりおかしなことなんだろう。


腹立つわー、腹立つわー、バスとか言ってマジで、と繰り返すカタヤマさんを、まぁまぁ、となだめながら、思案します。


…実績のある風表のシャローが駄目なら、その裏をやってみたいと思うのが人情ですが…。

「裏、見てみます?」


-はい、そうですね、念のため…。



裏に回り込みます。



「ここ、水深50cmも無いですよ」


うわ、超ドシャローでしたか。

そうか、そうなるとここにも付きづらいのかなぁ…。


一応付けっぱなしのスピナベを巻いてみますが異常なし。



―うーん、どうしたもんですかね…。



「いや、やっぱりおかしい!ちょっと引き返して最初のガマまでやり直してみましょう!」

-…了解です。そしたら、僕はシャロークランクを試してみようかな。


巻物用に持ってきたタックルにワイルドハンチをセットします。

このワイルドハンチ、シャロークランクのくせにリップが大きくて根掛かりにくく、

さすがに攻めすぎたか?と思えるような場所に投げ込んでも何事も無かったかのように巻いてこれるという、カバーの多い場所で使うにはかなりお気に入りのクランクです。


これでひたすら最初の地点まで引き倒してみましょう。

バスがいるけど喰わないという状況なら、リアクションで一匹くらいは何かしら反応してくれるかもしれない。


カタヤマさんは変わらずスピナベとテキサスのローテーション。

…ここではよほど信頼しているルアーなんだろうなぁ。


僕がやってるクランクに、カタヤマさんのスピナベに、テキサス。

…これはもう、完全にバス釣り三種の神器です。

まさにバス釣り界のテレビ・冷蔵庫・洗濯機といっても差し支えないでしょう。

そんな王道中の王道をこれから実績ありまくりのストレッチに対して投げまくっていこうと言っているわけです。

これで何もないとか言われた日には、もはや手賀沼バスは死滅したのだと割り切ることもできましょう。


そう考えると多少テンションも上がって、どちらかには絶対に何か反応があるはずと、一投一投にも力がこもってきます。


昨年のものと思われる枯れた水草がゴチャっとしているそのど真ん中にクランクを放り込んで、

ゴミの中を必死に首を振って戻ってこようとするクランクがわずかに沈みモノに掠って「コン」とバランスを崩す瞬間。


激浅のボトムをノックし続けながら引いてきたクランクをフッと止めて水面まで浮き上がらせるまでのわずかな時間。


喰ってくるイメージを存分に膨らませながら、今くるか!今がそのときか!とひたすら投げ続けます。




が、

「…ダメですね」

―…へっ?


…あ、無心で投げていたらいつの間にか最初のガマポイントまで戻ってきていたのか…。


「…なんだこれ、もう本当にわかんないです、今日…」


ようやく僕も理解しました。

ボウズ耐性が高い僕でも、いくらなんでも理解しました。


なんか、やっぱりちょっと変なんでしょう。

いつもとは、どこかがきっと変なんでしょう。


…風か?この強風が今日という一日をおかしくしている諸悪の根源か?


しかし、僕は手賀沼は今日が初めて、しかも常連のカタヤマさんがわからないというのですから、安易に自分の考えを口にするのも気が引けます。


時間を見るといつの間にか正午を回っていました。

お昼のお弁当を口に放り込みながら、それでも考えられることを考えてみます。


…投げても何も反応がない、というのは2パターンの理由が考えられて、

一つは、魚はいるけど喰わない場合。

もう一つは、そもそも魚がいない場合。


カタヤマさんは前者だと思っているように見受けられます。

僕もそう思っていました。


…しかし、これだけ引き倒して反応が得られないというのは、さすがに後者の可能性も考えたほうが良いのではないだろうか。

そう思って、とりあえず聞いてみます。


―バス、このポイントにはいなくなっちゃってる、てことはありませんか。


「うーん、そうですね…。いや、でもそれはないですね。先週はいましたから。この時期に一週間で魚が大きく移動するとは思えないんですよ」


…そうなのか。

カタヤマさんがそう言うのなら、きっとそうなんでしょう。


そうだとすると、しかし、困ってしまうな。

…既に予定していたカードは全て切ってしまっています。


諦めずに同じことを繰り返していくか?

それとも、何か変なことでもやってみようか。


タックルボックスをゴソゴソしてみると…、


…あ、ビッグバド持ってきてた。

これくらいおかしなことをやってみた方が、ひょっとしたらまさかの一本があるんでは…。


ひとまず投げてみます。

カションカションと大きな音を響かせながら寄ってくるビッグバド。

これだけ浅い場所だとアピールが大きすぎるような気もしますが、もう、余計なことは考えないことにします。


「え、いいっすねそれ!出そうっすマジで!」

…どうやらカタヤマさんの好みには合っているようです。


岸際ギリギリに落としてゆっくりじっくり引いてみる。

あるいは、パラパラっとした葦に絡めて、引っ掛け引っ掛け引いてみる。


ちょっと早巻きして水中に潜らせてみる。

ストップ・アンド・ゴーでリズムをつけて巻いてみる。



…カションカション、カションカション

カショッ!カショカショッ!


…カションカションカションカション










…出ない。

こんなことで釣れるなんて、そんな虫の良い話はマンガの世界だけということか。


いちおう、ヤマトも投げてみる。

プロップペッパーも投げてみる。





…ダメか。


これでもう本当に万策尽きた。

あとは惰性で思いつくままに投げ続けるしかないか。


「ビジ夫さん!こっからドラマフィッシュ一本お願いします!!」


―いやこの状況でそんなこと言われても…。


時計を見ると3時です。

この場所からボート屋さんまで撃ち続けながら戻って、ちょうど帰着時間というところでしょう。


「ほんとすいません!ほんと申し訳ない!こんなはずじゃなかったんですよ…」


―いやいや、釣れないのは慣れてますし、初めてのフィールドだったから結構楽しかったですよ。

色々考えることもありましたしね。


「いやー、ほんとおかしいんですよ今日は。スローなのかなぁ…」


―スロー…。

そういえば、二人ともスローな釣りだけはやってなかったですね。


「ノーシンカーとか…。最後だし、ダメ元でやってみます?」

―や、すいません、今日ノーシンカーで投げられるようなワーム、持ってきてないんですよ。


「あげますよ。センコーの5インチとかならビジ夫さんのタックルでも投げられるでしょう」

―あー、センコーですか。それならたぶん投げられますね。


断る理由もなく、センコーを受け取ります。


…なんかちょっとエロい色合いしてますねこれ。

「でしょ!そのしっぽのとこがいいでしょ!」


…こういうカラーもあるんだなぁ、初めて見た。

さっそくセットして投げてみますが、16ポンドのタックルでも特に問題はなさそうです。



岸際にキャスト。


…。

……。



…底が取れているかどうかわからない。


―ノーシンカーって、底が取れてるかわかりづらくないですか。


「わかりづらいっすね。でも2秒も待てば取れてると思いますよ」


…。

ちょい、とトゥイッチを入れてみます。

正確には、トゥイッチを入れてみたつもりのアクションをやってみます。




…。


ワームの動きがイメージできない。

今のトゥイッチでワームはどの位置にあるのか。

浮いたのか、ズル引いたのか。

まだ浮いてるのか、再び底は取れたのか。

そもそもこの強風で水に流れがあるなら、ワームは流されるばかりで底は永遠に取れないのではないのか。



…こんなペースでは当然、さっきまでのようにボートを動かしながらというわけにはいきません。

ポジションを固定し、一投に時間をかけてやっていきます。


しかし…、


―この釣り、しんどくないですか…。

「しんどいっす」


カタヤマさんも同じように、我慢してセンコーを投げています。

わざわざ恵んでもらった分際で先に音を上げるわけにはいきません。


…しかしこれ、ボート屋さんまで続けていくのは本当にしんどいぞ…。

カタヤマさんも、心なしか眉間のあたりがピクピクしているし…。


ただ、これ以外は今までにやり尽くしてきたのですから、腹を据えてやっていくしかありません。

もう一度トゥイッチ(のつもり)を入れて、反応無ければ回収しようというところ、


…ん?


わずかな違和感。

ためしに聞きアワセを入れてみます。








…ドスン!!




!!!!



―き、き、きた!きた!カタヤマさん!!


「うぉっ!マジで!?落ち着いてビジ夫さん!!」



…これが落ち着いていられますか。

とにかく必死でゴリ巻いて…、


…ぐ、引く、デカい!?

いや、そんなに大きくない?あれ?


…ぐお、ちょま、おとなしく…、



…あ、カタヤマさんネットありがとうございます!

おりゃああああああああ!












42



…いよっしゃあああああああああああああああ!!!!!!


―あー、やっとだ、やっと釣れましたよカタヤマさん。

「初バスおめでとうございます」


―ありがとうございます。おかげさまで釣れました。

やー嬉しい!


…御礼を言い、あらためてバスを眺めますが、やはり掛けた瞬間に感じたほどは大きくないようです。


―でも、40はあるかな?

「40はありそうですね」


…測ってみると、42cm。

おお、初バスで40アップとは幸先がいい。


「いや、でもそれ結構いいバスですよ。重さも測ってみます?」

―え。あ、お願いします。


「1340ですね」


―おおー、…お?

それ結構いい重さだったりします?


「いいウェイトですよ。42なら、スポーニング終わったら800とか900とかになっちゃいますから」

―ほえー…。そんな違うんですね。



…なるほど、そういうことか。

バス釣りの得意な人から、「一番好きな季節は春」という話を何度か聞いたことがあるけれど、

その意味がやっと実感としてわかった。


これが春バスか。

バスのクオリティが、他の季節とは違うんだ。


これが春バスだ!と言えるようなバスを、考えてみれば生まれて初めて釣ったかもしれない。

なるほどね、こりゃあ、確かに上手い人には春はたまらない季節なのかもしれない。



―いずれにしても、センコーノーシンカー、いきなり結果でましたね。

「そうですね、やっぱ今日はスローだったのか…」

―正解わかったんで、これで後はやり通す感じで良さそうですね。


「いや、もう我慢できませんわ」

―はい?


「この釣り勘弁できませんわ。スピナベに戻しますわ」

―ええ!?だって自分で見つけた正解じゃないですか!


「魚いることわかったし、スピナベで絶対釣る!」

―ええ…、今日一日二人であれだけ投げまくって何の反応も無かったのに…?

大丈夫ですか、僕はおとなしく正解パターンでやりますよ。


「ビジ夫さんも後悔しない釣り方したほうがいいっすよ」


―う、いや僕はこれでいいすよ…。



…だって、あれだけ苦労してようやく見つけた正解パターンなんだから。

僕は継続してセンコーを投げ続けます。

じわじわー、じわじわー、と…、



「…きたきた!やっときたー!!」


…えっ?ウソ?





かたやまさん





釣ったー!

えー、すごい、本当に釣っちゃった。


「いやー、かっこ悪いまま終わらなくて本当に良かったですわ」

―うは…、そしてこれまた良い魚ですね。楽勝40アップでしょう?


「いや、ちょっと足りないと思いますよ」

…え?うそ、あ、ほんとだ、サンパチですね。

「体型が良いからデカく見えるんですよね。でもこれも多分キロアップですよ」


―…本当だ、1100ですね。

「いやー、でも本当によかった。二人とも釣れて」



…うーむ、この状況で結局スピナベで釣ってしまった。

僕には正解をポンと渡しておきながら、自分は結局釣りたい釣りで無理やり釣ってしまうという。


…やっぱ、この人、上手なんだなぁ…。


人から伝え聞くだけではなくて、一緒に釣りをすることで、わかることもある。

しかし目の前でそんなものを見せつけられると、センコーなんかをやっている場合じゃありません。


―僕も、釣りたい釣りで釣ります!

…とか言いながらマネしてスピナベをセット。


さぁ、今日は一本釣り上げている以上、恐れるものは何もない。

ひたすらボート屋さんまで引き倒していきましょう!












…が、世の中にそんなマンガみたいな話は無いんですって。

やっぱり僕じゃ釣れませんでしたとさ。






2016/4/9(土)

弱風→強風
気温:11度→18度
水温:17度
アタリ:1
バラシ:0
ゲット:1




ということで、今日は完全に釣らせてもらった一本でした。


カタヤマさんがスローを勧めてきた場面、もしあのまま継続していたら、

僕は巻物を引き倒すか、普段使わないルアーを試すか、

いずれにしてもスローなんて発想は絶対出ないまま、いつものボウズで終了になっていたのは間違いありません。


そもそもワームを恵んでもらってそれで釣ったバスを初バスとしてカウントしてよいのかと、我ながら思わないでもないですが、

釣ったバスだろうが釣れたバスだろうが釣らせてもらったバスだろうがバスはバスだろう、とポジティブにとらえさせてもらって、

やっと初バス釣ったど!とこの場を借りて報告させていただきます。


…さて、ということで4月は初バスを求めて遠征を重ねる予定が、あっさりと一箇所目で釣れてしまいました。

…もっとも、遠征というよりもお隣さん的なご近所かもしれませんが、

いずれにしてもそうなると次はさっさと印旛水系で初バスを釣らなきゃいけないということで、逆に印旛水系で釣れるまでは遠征はお預けにしようかな、なんてことを考えております。

新川や花見川でもとっくにシャローに魚が上がってきているようですし、今回知った春バスの感触を、印旛水系でも確かめてみたい。


これからは、「一番好きな季節はなんですか?」と聞かれれば、「春です!」と答えるようにしよう、

そう心に決めたミーハーな僕だったのでした。