お久しぶりでございます。
毎年のことながら年度末は忙しく、週末のどちらかは休日出社をせざるを得ない状況でして、
であればもう片方の休日は家族と過ごして、そうやって毎週が過ぎていった僕だったのでした。
しかし、そんな年度末でも3月20日の祝日は、実は釣りに行っておりました。
行った先は、新川。
久しぶりのホームです。
この日が休めることが確定してから、絶対に行こうと決めて行ったわけなのですが、
しかしこの日の結果は惨憺たるものでした。
今年は春が早く、3月の中旬から気温が20度近くまで上ることも珍しくなく、
かなりの期待をもって当日を待ちわびていたのですが、
当日は、雨。
確か、気温も冬に戻ったような一桁台だったと記憶しています。
つい最近まで気温も安定していたというのに、なんでよりによってこの日にこんなことになってしまうのか。
嘆いたところで気温が回復するわけでもありませんので、予定通り向かうことにします。
到着してしばらく状況観察。
うーむ。
「何も起こらなさ臭」がハンパじゃありません。
プンプン臭ってきます。
力なく濁った水に、しとしとと降り注ぐ雨によってか、水面は完全に沈黙しています。
ライバルは誰もいません。
そりゃそうか。
こんな日にわざわざ好き好んで新川に釣行に来る人など、そういないのではないでしょうか。
普通にやってたんじゃ、本当に何も起こらないまま終わってしまうことが目に見えています。
普段ならやらないこと、バスの状態を想像して、自分から何かを起こしていかなければ…。
…なんて格好をつけたものの、所詮は僕の考える程度のこと。
色々と試してみるものの結局は何かを起こすこともなく、この日は撃沈と相成ったのでした。
こりゃ、本格的に釣れ出すのはもうちょい先かなぁ。
というか次行けるのはいつになるやら。
そんなことをボンヤリと思っているうちに、いつの間にか月が変わり桜も散って、
そして4月13日です。
年度末の鉄火場のような雰囲気も、年度が変わり幾分落ち着いて、普通に週末を休めるようになってきました。
さて、そうとくれば釣りでしょ、釣り。
13日は釣りに行くわい、と嫁さんにあらかじめ宣言しておきます。
「いいけど、師匠と房総でも行くの?」
うんにゃ、たまには一人でゆっくりと近場でも行きたい気分なのだよ。
でもどうしようか、こないだと同じ新川に行って、状況の変わり具合を確認するか?
それとも今年はじめて、花見川の様子を見に行くか…。
…。
次は釣りたいなぁ。
花見川の方がシーズンインが早いと聞くし、花見川にしよ。
春だし、スピナベか何かをグリグリ巻いて、ガーンと行きたいところです。
おニューのスピナベを一つカバンに突っ込んで、そして当日。
起きたのは8時。
ゆるゆると準備をして、10時に出発。
出発時の気温は13度です。
このところの気温と比べるとやや低めなのが気になりますが、
しかし天気は快晴、昼にはそれなりの気温になるでしょう。
例によって上流は見えバス目当てのバサーだらけと踏んで、今日は中流に行くことに。
10時半に到着します。
先行者は1名、一番入りたかった流れ込み近辺に陣取っているようです。
仕方がありませんので、少し下流に歩を進め、藪が若干開けた箇所を見つけて入ってみることに。
さて、水の感じはどうだろうかいな、と覗きこんでみると…。
ん?
…バスだ!
30cmほどのバス。
いきなりいるとは思わず、あまりにも不用意に覗きこんでしまいました。
当然、こちらに気がつくバス。
…プイ、と手の出せないカバーの中に逃げ込んでしまいました。
しまったなぁ。
こないだの新川のイメージを引きずりすぎたか。
そんな簡単にバスと巡り会えるとも思っていなかったからなぁ。
去年のハイシーズンの僕であれば、まず岸に立つ前にブラインドから足場周りのチェックをしたでしょう。
本当は一本を獲りたい今日のような日こそ、そういった慎重な対応が必要なはずなのに、
逆に巡りあう確率が低いだろうからという思い込みで、最初のチャンスを逃してしまいました。
なんとも皮肉な話です。
イカンな。
こんなんじゃ、獲れるバスも獲れないぞ。
気合を入れ直します。
その近辺をザックリとスピナベで探りますが、反応なし。
さらに下流へ向かいます。
別の開けた場所。
去年はここで何本か獲った記憶があります。
少し高みから水面を観察すると、
ん?浮いてる魚が…、
…スクールだ!
4~5匹?
どうやら、思っていたよりもかなりバスは活発に動いているようです。
俄然テンションが上がります。
…ん?というか、
デカくね??
スクールは全部30後半から40前半か。
こんなアベレージのスクールなんて、印旛水系で見たことがありません。
苦手な見えバスとはいえ、スクールなら、チャンスがある。
僕の経験では、これは確かです。
一匹だけなら警戒されるシチュエーションでも、スクールなら気が大きくなるのか、
あるいは、餌を先に取りたいという競争意識なのか、
案外あっさりと食ってきた、なんてことが少なくありません。
何を投げる?
今日持ってきたタックルは巻物用と撃ち物用の2本。
巻物にはスピナベが、撃ち物にはラバージグがセットされています。
…ここは、ラバジでしょう!
いったん身を隠し、移動先を予測して、ブラインドから慎重にキャスト。
3/8オンスのラバージグと、トレーラーはビッグダディ。
かなりボリューミーですが、このサイズのバスなら問題ないはず。
視界から身を隠したことで、こちらからもバスの状態がわかりません。
気づくか?いや気づいているはず。
寄って来い、寄って来い…。
…。
……。
…来ない。
1分ほどジリジリと待ち続けたものの、バスが寄ってくる気配はありません。
そーっと身を起こし、水面を覗いてみるものの…、
…いない。
移動コースを変えたのか、何か違和感を感じとられてしまったのだろうか。
くわぁーーー。
むしろリアクション狙いで強気にいけばよかったか。
こういったことは結果論だ、と自分を慰め、あらためてスピナベを手に取ります。
これだけバスが動いているなら、普通にやってれば一本や二本は獲れるさ、きっと。
岸際、沖を順番に探っていきます。
表層近くから中層、そしてボトムへ。
ただ巻きからジャーキング、そしてリフトフォールへ。
…。
…えー、ダメなの?
あんだけバスが動いてるのに、追ってるバスが一匹もいないってこと?
春だしスピナベでグリグリやってガーン!のつもりだったものが、これは予定を変更する必要があるかもしれません。
…結局あれか、ステイしているバスを狙ったほうが確率はいいのかもしれない。
最初の見えバス、あれ多分ステイしてたよなぁ。
本当に悔やまれる。
長居しすぎたためか生命感が無くなったこの場を後にすることに。
ステイする…、しやすい場所といえば、やっぱり流れ込み。
でも人が入ってたしなぁ。
…空き待ちする?
一応、様子だけ見に行くことに。
来た道を引き返します。
引き返してみると…、
…空いてるやん!
えー、さっきの人帰ってしもたんやろうか。
素敵やん!
サッと陣取ります。
さて、空いていたとはいえ先行者が撃つだけ撃ち尽くしているのは間違いありません。
流れ込み直下はどんな具合かいな?
…!!?
バスだ!!
デケェ!40は間違いない!
って、え、今僕を見た?見ました?
あ、あ、やめて、ちょっと待って、
…ピュ~~~~~~~~!!!!
待ってくれ…。
…何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのか。
ガックリとうなだれる僕。
今の、今のをブラインドから狙っていたらどうだっただろうか。
油断した。
撃ち尽くされた後に、まさか悠々と流れ込み直下に佇んでいるとは思わなかった…。
実際は、先行者がこの場を離れてからそれなりの時間が経っていたのかもしれません。
呆然と、近辺をスピナベで攻めて周りますが反応なし。
こりゃ何やっても駄目だ、とこの日は竿を納めたのでした。
2013/4/13(土)
晴
弱風
気温:13→17度
水温:?
アタリ:0
バラシ:0
ゲット:0
獲れてた。
今日は獲れたはず。
ボウズだったのは僕の技量不足以外の何物でもありません。
キャストしてダメならまだ諦めもつきますが、
キャストすらすることもなく、チャンスをみすみす見逃したこの気持ちを、
一体どこへ持っていけばいいのだろう。
…こうなったら明日リベンジじゃ!
嫁さんに何を言われようが関係ねぇ!
明日こそは花見川の見えバスどもをコテンコテンのチンチンにしてくれるわ!!
普通に却下されました。
第一回、「アメリカ発祥のスポーツなんだから日本人が細かいこと言ったってどうしようもないよね」選手権!!
(ワーワードンドンパフパフ)
エントリーNo.1
「クランキング」!!
…なんだクランキングて。
クランクをうまいことああしてこうしてバスを釣ったらクランキングか。
じゃあバイブでうまいことやればバイビングか。
テキサスでああしてこうしたらテキサシングか!
まいっちんぐマチコ先生は何をどうしたっていうのか説明してみろこのアメリカ野郎!!
3月中旬。
「釣りに行くのである」
…おお、師匠ご無沙汰しております。
何やら昨年から色々と忙しかったと聞いておりますが、一段落ついたのですか。
「うむ」
それは何よりでした、師匠。
久しぶりの師匠からのお誘い。
もっとも、師匠も忙しかったようですが僕も仕事仕事の年度末で、
例えお誘いをいただいていたとしても、おそらくご一緒することは難しかったでしょう。
もともと16日は出社の予定でしたので、17は家族サービスに…、と思っていたのですが、
直前に出社の必要が無くなり、心置きなく釣行に臨めることになったのでした。
師匠、では2時に迎えに行きます。
「うむ、すまぬ」
前日は早く就寝し、充分に睡眠を取ってから1時に起床。
あれこれと準備を済ませ、いざ、久々の師匠との釣行です。
…師匠、それで、今日はどちらに。
「うむ、オカッパリダムに行こうかと思っておるわ」
季節は3月も半ば、亀山も、高滝も、そろそろ春の兆しが見えてきていると聞き及びます。
そうですか、そこを敢えてオカッパリダムですね。
この時期のオカッパリダムというものを、僕は経験したことがありません。
昨年はそれなりに通って、自分なりに釣れる日と釣れない日の区別がつくようになってきた僕です。
大体のバスが付く場所はわかっている。
バスが冬から春に移ろっているこの頃、数は出ないかもしれないが、有力なポイントを撃っていけば、
この時期特有の、元気な、良いサイズのバスが釣れるんではなかろうか。
…いいですね。
オカッパリダム、行きましょう!
異論なく同意します。
今日の天気予報で、千葉の最高気温は18度とか言ってたな。
この頃は気温も高めで安定してきたし、桜の開花も観測史上もっとも早いとかいう噂。
こりゃー、もう春、それもプリスポーンの荒食い、いわゆる「春爆」を期待してもいいんじゃなかろうか。
未だ経験したこともない春爆に期待を寄せて、一路房総を目指します。
5時にオカッパリダム到着。
夜明けまであとわずか、駐車場近くの橋からウォームアップ代わりにヘビーダウンショットを投げてみます。
対岸に見える岩盤目掛けてキャスト。
3投目くらいでしょうか?
岸から2mくらいの距離を、岸に沿ってゆっくり底を引いてみると…、
「ゴンゴン!」
…アタリ!!
アタリが強い、バスだ絶対。
…。
……。
…終わりかい。
もう一回アタリがあった瞬間にアワセる用意をしていたのですが…。
しかし、さすがオカッパリダム。
来て早々にこれなら、今日は期待ができそうです。
師匠に、今日は良さそうですよ!と伝えたところでちょうど夜明け。
逸る気持ちを抑えて最初のポイントに向かいます。
ここオカッパリダムは周囲が整備されていて、歩道をゆっくりと周りながら各ポイントを撃っていくというのがいつもの流れです。
しかし、いくらオカッパリダムとはいえダムはダム、各ポイントを攻めるだけ攻めて回れば一日あっても一周は周りきれません。
午前10時。
駐車場には一周して反対方向から歩いてきた僕と師匠の姿がありました。
…アレッ!?
なんだ、なんでこんなことになっているんだ!?
振り返って自分の行動を思い出してみます。
最初のポイント、それを橋の上から眺めたとき、それまでの期待を不安に変えさせるような、
なんだか嫌な予感がしたのです。
何しろ生命感ゼロ。
今日は強気にシャロー狙いだろう、などと意気込んできたものの、
橋の上から見えるそのシャローには、バスどころか生命の姿が何も確認できません。
オカッパリダムがオカッパリに優しいその理由、それがこのダム全域に張り巡らされた橋の存在。
そこから湖面の状態を俯瞰して確認することで、その日のバスの居場所や、ベイトの動きなどが把握できるのです。
あとはその状況に応じた釣りを展開していけばよいのですが…。
しかし、この日は橋の上からも何の情報も得ることができません。
完全な「無」です。
静まり返った水面と、やる気なく濁った水の色、満水でも減水でもない中途半端な水深。
なんだ、これはどんな状態だ。
師匠…、これ。
「…うむ、どうやらまだここは冬のようだな」
ですよね、これ冬の状況ですよね…。
朝の時点で気温は6度。
真冬からは既に脱している気温と言えるでしょう。
しかしこの状況はどうしたことか。
あれだけ日があたっているシャローに、何の生物の動きも無い。
なまじ橋の上から状況が見渡せてしまうだけに、「ここは期待薄だ」ということがやる前から判断できてしまいます。
…なら、ディープか?カケアガリに付いてるのか?
岸に降りて、師匠と手分けしてそれらしいポイントにキャスト。
…しかし何の反応も返ってきません。
師匠、どうですか。
「撃つだけ無駄のようだ。移動する」
どうやらそうみたいですね、移動しますか。
…そうして次々とポイントを周って、いつの間にか一周してきてしまったのです。
大多数の日本人にとって、日曜日の午前10時という時間はまさに一日の始まりであり、
むしろ、未だ布団から抜けだせないでいる疲れたサラリーマンなど、ざらにいるものでしょう。
しかしそんな希望に満ちた日曜日の朝10時。
既に終了してしまった感が漂う中年二人が駐車場に黄昏れています。
師匠…。
「うむ、みなまで言うな」
早足でポイントを周ってきたとはいえ、撃つべき場所はきちんと撃ってきたつもりです。
それは師匠も僕も同じ事。
全てのポイントで、思いつく限りの有力箇所を撃って回ったにも関わらず、この結果。
「…ダムサイトであろうな」
そのとおりでしょう。僕も全く同感です。
おそらく、バスが越冬場所にしていると考えられる、最も水深のあるダムサイト。
そこは、オカッパリからはどうあがいても手の出せないバスの聖域とも言える場所。
ボートやフローターならともかく、オカッパリである以上は、そこに居座られたら手も足も出せない。
岸に近いオカッパリポイントに、まだ移りきれていないのでしょう。
しかしその中でも、わずかに移動しつつあるバスがいることもまた間違いではないのでしょう。
朝一にアタったバスなどはその一例かもしれません。
根気よく探していくか、それとも…。
「移動、するか」
それも選択肢でしょう。
オカッパリダムまでわざわざ遠征してきて、朝の10時に移動を迫られるとは、
屈辱以外の何物でもありませんが、しかしバスの居ない場所にいくらルアーを投げた所で、
魚は釣れるわけがないのです。
どこへ?
この季節に実績のある場所…。
亀山などはもう釣れ始めているとも聞きます。
それとも高滝?
片倉…はオカッパリはできないか。
「この近くで釣れる場所があると聞いたことがあるのだ」
ここにきて新場所ですか!
さすが、師匠、実績やセオリーに頼らないその姿勢、感服いたしました。
「ナビでそれらしい場所を探してみるか」
文明の利器ですね、道具は使ってこその道具ですからね!
さっそく車の中でそれっぽい場所を探してみます。
…む、師匠、こんなところに池がありますよ、それも二つも。
「うむ、まずはそこへ行ってみるか」
規模からして野池でしょう。
野池なら春の訪れはダムよりも早いはず。
え、こんなところ車が通れるの!?と言いたくなるような農道を走りぬけ、一路ナビが示す野池に向かいます。
到着してみると、いかにも野池っぽい野池。
周りを田んぼに囲まれて、のどかな風景が続いています。
おそらくこれは田んぼ用の貯水池なのでしょう。
どれどれ、ということで車を降りてみます。
…む。
師匠!師匠!こんなところにワームの切れっ端が落ちています!
なんと、早くもバスがいることが確定です。
沈んでいた空気が一気に華やかになり、足取りも軽くさっそく偵察に出かけることに。
お、師匠、葦が枯れてますね。
「うむ」
お、師匠、コンクリのスロープもありますよ。
「うむ」
お、師匠、看板も…、
立入禁止。
失礼しましたー。
いやー、千葉の野池はほとんどが釣り禁と聞きますが、その上を行かれてしまいましたね!
やっぱり野池はダメだ。
ダム、それも釣り禁じゃないマイナーなダムを探してみましょう、師匠!
再び車中でナビとにらめっこする二人。
…む、師匠、このダムは?
僕は聞いたことがないですが…。
「むぅ、名前は聞いたことがある。たしかトーナメントの知り合いが通っていたな」
え、マジすか。
「たしかフローターが出せるなどと、言っておったわ」
え、マジすか!
フロが出せるってことは、少なくともそこからオカッパリができるはず。
そもそもフローターが出せる大場所の引き出しが少ない僕にとって、それは見逃すことのできない情報です。
行きましょう、そこに!
テンションあがってきた!
まさか今日がこのような新場所探索の日になるとは思ってもみませんでしたが、
しかしこのワクワク感を久しく忘れていたことも事実。
いつしか、通いなれた場所や教えてもらった場所しか通わなくなってしまっていました。
自分の足でポイントを探す。
これだって立派な釣りの一部でしょう。
そして約30分、車を走らせて到着したその場所。
道がどんどん狭くなっていき、とうとう車幅ギリギリくらいの幅しか無くなったところで車移動を諦め、徒歩に切り替えます。
朝は肌寒かった気温が、今は汗ばむくらいの陽気です。
いやー、師匠、これはいい散歩日和ですね。
「うむ」
お、師匠、あそこ何かありますよ、行ってみましょう。

…将軍様?
師匠、将軍様がいますが。
「うむ、将軍様だな」
なぜこんなところに将軍様の像が?
訳がわかりませんが、とりあえず拝んでおきます。
いやー、師匠、こんな山奥で珍しいものもあるものですね。
あ、あっちに橋がかかってますね、まだその先に進めるようですよ。
本当に散歩道という感じですね、道端の自然も綺麗だし。
?
あれ、側溝に何かいますよ。
…あ、カワニナだ!カワニナですよ師匠!
ホタルだ!ここ多分ホタルいますよ師匠!
いやー、千葉とはいえ、房総はさすがに自然が残ってますね。
ちょっと車を出せばホタルがいるような場所に行けるんですから、千葉も捨てたものじゃないです。
あ、師匠、なんか看板がありますね、
…?

この看板を立てた地主の怒りがビンビンに伝わってきます。
白地の看板に黒字の筆文字で
「ゆり根泥棒は許さない 地主」。
人というものは、ここまで怒れるものなのだと、
人間の根源たる本質のエネルギーは怒りなのだと、今更ながらに思い知らされる思いです。
看板がなければ目の前の湿地がゆり根畑だったなどとは思いもしなかったのですが、
この地主は、おそらくゆり根泥棒に相当苦渋を飲まされているのでしょう。
この畑からゆり根を盗んでいく奴は三代先まで呪ってやるぞと、
ゆり根泥棒は親の敵も同然だぞということなのでしょう。
なんとなくこの看板も拝んで先へ進みます。
この辺りの住人は、おそらく農業で生計を立てているんでしょうね。
農家と思わしきお爺さんが軽トラで農具を運んでいます。
お婆ちゃんがニッコリとこちらに微笑みかけてきます。
うん。
将来、会社を定年になったら、こういうところでノンビリ余生を過ごすのもいいかもしれない。
自分の家族分だけ野菜を作って、余った野菜は米に替えて、
嫁さんと二人くらい、生きていけるんじゃないかなんて、考えが甘いのかな。
そんなことをノンビリと考えながら、ひとしきり散歩を楽しんで、車に戻ったのでした。
いやー、師匠、いいリフレッシュになりましたね。
これで明日からまた仕事が頑張れそうですよ。
たまには、こんな旅もいいものですね!
こうして、第一回、「師匠と行く房総ブラリ旅」は無事成功のもと幕を閉じ、
僕はこのところの仕事疲れもすっかり癒えて、ノンビリと家路へついたのでした。
こうしてみると、感じるのは「千葉はでっかい田舎」だということですね。
千葉市や柏や幕張なんてのはむしろ特殊な例で、千葉の本質はやはり田舎です。
しかしそんな田舎に住んでいることが、自分としては安心できる。
東京のような無機質な町で仕事をしていれば、自分の本来の居場所はここじゃないと感じます。
釣り人にとっては、淡水でも海水でも、たいていの釣りができる聖地ですしね!
千葉の良さを再確認できた一日でした。
…あれ、今日何しに来たんだっけ?
(ワーワードンドンパフパフ)
エントリーNo.1
「クランキング」!!
…なんだクランキングて。
クランクをうまいことああしてこうしてバスを釣ったらクランキングか。
じゃあバイブでうまいことやればバイビングか。
テキサスでああしてこうしたらテキサシングか!
まいっちんぐマチコ先生は何をどうしたっていうのか説明してみろこのアメリカ野郎!!
3月中旬。
「釣りに行くのである」
…おお、師匠ご無沙汰しております。
何やら昨年から色々と忙しかったと聞いておりますが、一段落ついたのですか。
「うむ」
それは何よりでした、師匠。
久しぶりの師匠からのお誘い。
もっとも、師匠も忙しかったようですが僕も仕事仕事の年度末で、
例えお誘いをいただいていたとしても、おそらくご一緒することは難しかったでしょう。
もともと16日は出社の予定でしたので、17は家族サービスに…、と思っていたのですが、
直前に出社の必要が無くなり、心置きなく釣行に臨めることになったのでした。
師匠、では2時に迎えに行きます。
「うむ、すまぬ」
前日は早く就寝し、充分に睡眠を取ってから1時に起床。
あれこれと準備を済ませ、いざ、久々の師匠との釣行です。
…師匠、それで、今日はどちらに。
「うむ、オカッパリダムに行こうかと思っておるわ」
季節は3月も半ば、亀山も、高滝も、そろそろ春の兆しが見えてきていると聞き及びます。
そうですか、そこを敢えてオカッパリダムですね。
この時期のオカッパリダムというものを、僕は経験したことがありません。
昨年はそれなりに通って、自分なりに釣れる日と釣れない日の区別がつくようになってきた僕です。
大体のバスが付く場所はわかっている。
バスが冬から春に移ろっているこの頃、数は出ないかもしれないが、有力なポイントを撃っていけば、
この時期特有の、元気な、良いサイズのバスが釣れるんではなかろうか。
…いいですね。
オカッパリダム、行きましょう!
異論なく同意します。
今日の天気予報で、千葉の最高気温は18度とか言ってたな。
この頃は気温も高めで安定してきたし、桜の開花も観測史上もっとも早いとかいう噂。
こりゃー、もう春、それもプリスポーンの荒食い、いわゆる「春爆」を期待してもいいんじゃなかろうか。
未だ経験したこともない春爆に期待を寄せて、一路房総を目指します。
5時にオカッパリダム到着。
夜明けまであとわずか、駐車場近くの橋からウォームアップ代わりにヘビーダウンショットを投げてみます。
対岸に見える岩盤目掛けてキャスト。
3投目くらいでしょうか?
岸から2mくらいの距離を、岸に沿ってゆっくり底を引いてみると…、
「ゴンゴン!」
…アタリ!!
アタリが強い、バスだ絶対。
…。
……。
…終わりかい。
もう一回アタリがあった瞬間にアワセる用意をしていたのですが…。
しかし、さすがオカッパリダム。
来て早々にこれなら、今日は期待ができそうです。
師匠に、今日は良さそうですよ!と伝えたところでちょうど夜明け。
逸る気持ちを抑えて最初のポイントに向かいます。
ここオカッパリダムは周囲が整備されていて、歩道をゆっくりと周りながら各ポイントを撃っていくというのがいつもの流れです。
しかし、いくらオカッパリダムとはいえダムはダム、各ポイントを攻めるだけ攻めて回れば一日あっても一周は周りきれません。
午前10時。
駐車場には一周して反対方向から歩いてきた僕と師匠の姿がありました。
…アレッ!?
なんだ、なんでこんなことになっているんだ!?
振り返って自分の行動を思い出してみます。
最初のポイント、それを橋の上から眺めたとき、それまでの期待を不安に変えさせるような、
なんだか嫌な予感がしたのです。
何しろ生命感ゼロ。
今日は強気にシャロー狙いだろう、などと意気込んできたものの、
橋の上から見えるそのシャローには、バスどころか生命の姿が何も確認できません。
オカッパリダムがオカッパリに優しいその理由、それがこのダム全域に張り巡らされた橋の存在。
そこから湖面の状態を俯瞰して確認することで、その日のバスの居場所や、ベイトの動きなどが把握できるのです。
あとはその状況に応じた釣りを展開していけばよいのですが…。
しかし、この日は橋の上からも何の情報も得ることができません。
完全な「無」です。
静まり返った水面と、やる気なく濁った水の色、満水でも減水でもない中途半端な水深。
なんだ、これはどんな状態だ。
師匠…、これ。
「…うむ、どうやらまだここは冬のようだな」
ですよね、これ冬の状況ですよね…。
朝の時点で気温は6度。
真冬からは既に脱している気温と言えるでしょう。
しかしこの状況はどうしたことか。
あれだけ日があたっているシャローに、何の生物の動きも無い。
なまじ橋の上から状況が見渡せてしまうだけに、「ここは期待薄だ」ということがやる前から判断できてしまいます。
…なら、ディープか?カケアガリに付いてるのか?
岸に降りて、師匠と手分けしてそれらしいポイントにキャスト。
…しかし何の反応も返ってきません。
師匠、どうですか。
「撃つだけ無駄のようだ。移動する」
どうやらそうみたいですね、移動しますか。
…そうして次々とポイントを周って、いつの間にか一周してきてしまったのです。
大多数の日本人にとって、日曜日の午前10時という時間はまさに一日の始まりであり、
むしろ、未だ布団から抜けだせないでいる疲れたサラリーマンなど、ざらにいるものでしょう。
しかしそんな希望に満ちた日曜日の朝10時。
既に終了してしまった感が漂う中年二人が駐車場に黄昏れています。
師匠…。
「うむ、みなまで言うな」
早足でポイントを周ってきたとはいえ、撃つべき場所はきちんと撃ってきたつもりです。
それは師匠も僕も同じ事。
全てのポイントで、思いつく限りの有力箇所を撃って回ったにも関わらず、この結果。
「…ダムサイトであろうな」
そのとおりでしょう。僕も全く同感です。
おそらく、バスが越冬場所にしていると考えられる、最も水深のあるダムサイト。
そこは、オカッパリからはどうあがいても手の出せないバスの聖域とも言える場所。
ボートやフローターならともかく、オカッパリである以上は、そこに居座られたら手も足も出せない。
岸に近いオカッパリポイントに、まだ移りきれていないのでしょう。
しかしその中でも、わずかに移動しつつあるバスがいることもまた間違いではないのでしょう。
朝一にアタったバスなどはその一例かもしれません。
根気よく探していくか、それとも…。
「移動、するか」
それも選択肢でしょう。
オカッパリダムまでわざわざ遠征してきて、朝の10時に移動を迫られるとは、
屈辱以外の何物でもありませんが、しかしバスの居ない場所にいくらルアーを投げた所で、
魚は釣れるわけがないのです。
どこへ?
この季節に実績のある場所…。
亀山などはもう釣れ始めているとも聞きます。
それとも高滝?
片倉…はオカッパリはできないか。
「この近くで釣れる場所があると聞いたことがあるのだ」
ここにきて新場所ですか!
さすが、師匠、実績やセオリーに頼らないその姿勢、感服いたしました。
「ナビでそれらしい場所を探してみるか」
文明の利器ですね、道具は使ってこその道具ですからね!
さっそく車の中でそれっぽい場所を探してみます。
…む、師匠、こんなところに池がありますよ、それも二つも。
「うむ、まずはそこへ行ってみるか」
規模からして野池でしょう。
野池なら春の訪れはダムよりも早いはず。
え、こんなところ車が通れるの!?と言いたくなるような農道を走りぬけ、一路ナビが示す野池に向かいます。
到着してみると、いかにも野池っぽい野池。
周りを田んぼに囲まれて、のどかな風景が続いています。
おそらくこれは田んぼ用の貯水池なのでしょう。
どれどれ、ということで車を降りてみます。
…む。
師匠!師匠!こんなところにワームの切れっ端が落ちています!
なんと、早くもバスがいることが確定です。
沈んでいた空気が一気に華やかになり、足取りも軽くさっそく偵察に出かけることに。
お、師匠、葦が枯れてますね。
「うむ」
お、師匠、コンクリのスロープもありますよ。
「うむ」
お、師匠、看板も…、
立入禁止。
失礼しましたー。
いやー、千葉の野池はほとんどが釣り禁と聞きますが、その上を行かれてしまいましたね!
やっぱり野池はダメだ。
ダム、それも釣り禁じゃないマイナーなダムを探してみましょう、師匠!
再び車中でナビとにらめっこする二人。
…む、師匠、このダムは?
僕は聞いたことがないですが…。
「むぅ、名前は聞いたことがある。たしかトーナメントの知り合いが通っていたな」
え、マジすか。
「たしかフローターが出せるなどと、言っておったわ」
え、マジすか!
フロが出せるってことは、少なくともそこからオカッパリができるはず。
そもそもフローターが出せる大場所の引き出しが少ない僕にとって、それは見逃すことのできない情報です。
行きましょう、そこに!
テンションあがってきた!
まさか今日がこのような新場所探索の日になるとは思ってもみませんでしたが、
しかしこのワクワク感を久しく忘れていたことも事実。
いつしか、通いなれた場所や教えてもらった場所しか通わなくなってしまっていました。
自分の足でポイントを探す。
これだって立派な釣りの一部でしょう。
そして約30分、車を走らせて到着したその場所。
道がどんどん狭くなっていき、とうとう車幅ギリギリくらいの幅しか無くなったところで車移動を諦め、徒歩に切り替えます。
朝は肌寒かった気温が、今は汗ばむくらいの陽気です。
いやー、師匠、これはいい散歩日和ですね。
「うむ」
お、師匠、あそこ何かありますよ、行ってみましょう。

…将軍様?
師匠、将軍様がいますが。
「うむ、将軍様だな」
なぜこんなところに将軍様の像が?
訳がわかりませんが、とりあえず拝んでおきます。
いやー、師匠、こんな山奥で珍しいものもあるものですね。
あ、あっちに橋がかかってますね、まだその先に進めるようですよ。
本当に散歩道という感じですね、道端の自然も綺麗だし。
?
あれ、側溝に何かいますよ。
…あ、カワニナだ!カワニナですよ師匠!
ホタルだ!ここ多分ホタルいますよ師匠!
いやー、千葉とはいえ、房総はさすがに自然が残ってますね。
ちょっと車を出せばホタルがいるような場所に行けるんですから、千葉も捨てたものじゃないです。
あ、師匠、なんか看板がありますね、
…?

この看板を立てた地主の怒りがビンビンに伝わってきます。
白地の看板に黒字の筆文字で
「ゆり根泥棒は許さない 地主」。
人というものは、ここまで怒れるものなのだと、
人間の根源たる本質のエネルギーは怒りなのだと、今更ながらに思い知らされる思いです。
看板がなければ目の前の湿地がゆり根畑だったなどとは思いもしなかったのですが、
この地主は、おそらくゆり根泥棒に相当苦渋を飲まされているのでしょう。
この畑からゆり根を盗んでいく奴は三代先まで呪ってやるぞと、
ゆり根泥棒は親の敵も同然だぞということなのでしょう。
なんとなくこの看板も拝んで先へ進みます。
この辺りの住人は、おそらく農業で生計を立てているんでしょうね。
農家と思わしきお爺さんが軽トラで農具を運んでいます。
お婆ちゃんがニッコリとこちらに微笑みかけてきます。
うん。
将来、会社を定年になったら、こういうところでノンビリ余生を過ごすのもいいかもしれない。
自分の家族分だけ野菜を作って、余った野菜は米に替えて、
嫁さんと二人くらい、生きていけるんじゃないかなんて、考えが甘いのかな。
そんなことをノンビリと考えながら、ひとしきり散歩を楽しんで、車に戻ったのでした。
いやー、師匠、いいリフレッシュになりましたね。
これで明日からまた仕事が頑張れそうですよ。
たまには、こんな旅もいいものですね!
こうして、第一回、「師匠と行く房総ブラリ旅」は無事成功のもと幕を閉じ、
僕はこのところの仕事疲れもすっかり癒えて、ノンビリと家路へついたのでした。
こうしてみると、感じるのは「千葉はでっかい田舎」だということですね。
千葉市や柏や幕張なんてのはむしろ特殊な例で、千葉の本質はやはり田舎です。
しかしそんな田舎に住んでいることが、自分としては安心できる。
東京のような無機質な町で仕事をしていれば、自分の本来の居場所はここじゃないと感じます。
釣り人にとっては、淡水でも海水でも、たいていの釣りができる聖地ですしね!
千葉の良さを再確認できた一日でした。
…あれ、今日何しに来たんだっけ?
「―そろそろ、冬バスを仕留めにいっちゃどうですかね、ビジヲさん」と、かいてんさんが言う。
そりゃあいい話だ、だが塩梅はどうだろうね、と僕が言う。
「わかりやしません。ここいらは温かったり、凍えたり、きつと魚も落ち着かないでしょう」
なるほどそうだろうがね、一体どこへ行こうってんだね、
「昨年の今くらいには、霞ヶ浦で釣れましたがね」
―霞ヶ浦、か。
およそ関東でバサーを名乗る人であれば、ひょっとしたら行ったことのない人のほうが少ないかもしれません。
西の琵琶湖に対して、東の聖湖とも讃えられる霞ヶ浦。
関東のバスフィッシングを、黎明期から大黒柱として支え続けたフィールドであることに、異論を唱える人はいないでしょう。
しかしその評価は、決して難易度と結びついていないことを僕は知っています。
「プロでもきつい!」
プロであっても、ときに釣行が成り立たないことすらあるという話も聞きます。
安易に釣れるから聖地と呼ばれるわけではない。
規模の大きさなのか、あるいは、パターンに富んだ複雑な地形か、
それとも単純に、その歴史に敬意を評してのことなのか。
しかし関東のバスフィッシングを一言で表現するに、ここほど的確なフィールドは無いのかもしれません。
いつかは訪れねばなるまい。
そう思っていたフィールドではあります。
しかし、一年で最も釣れないという1月2月。
この時期にあえて初挑戦すべきフィールドなのか?
…いや、おそらく発想が逆だ。
一番厳しいこの時期にこそ、様々なことを試す懐のあるフィールドで、
自分の考えを試行錯誤することが、これからの釣行に役立っていくのではないだろうか。
―ぜひ、行きましょうと約束をしたのが、2月の3連休明けの頃でした。
さて、ここで、2月の下旬という時期が、バスフィッシングにおけるどういった時期かを考えなければなりません。
最高気温においては冬のピークを過ぎつつも、最低気温については、まだまだ真冬と言って差し支えない時期です。
しかし、一日の僅かな時間しか外界に身を晒さない我々人間と違って、
24時間を自然と過ごす魚たちは、人間には気づかないようなわずかな変化すら敏感に感じとっているはずです。
水温にして、わずか1,2度の変化かもしれません。
しかしその変化をキッカケに、彼らは一年で最も重要な、「春」に向けての準備を始めていきます。
大きな個体ほど、その準備は早いと言います。
2月の下旬とは、そういった時期のはずです。
人間にとっては同じ真冬であっても、一ヶ月前とは違う攻め方が通用する可能性があります。
…いっちょ、強気にいってみるか。
まともに冬バスを釣った経験の無い僕は、可能な限り想像の翼を羽ばたかせつつ、釣行の用意を進めたのでした。
プランとしては、シャロー、そしてブレイクを意識した攻めをしてみたい。
春先にかけてのシャローの重要性は今更僕が言うほどの必要も無いことですが、
それよりも、春に差し掛かってシャローを意識しつつ、「上がりきれない」バスがブレイクにいるんじゃないか。
こういったバスを、狙い済まして釣ることができれば…。
さぞかし快感でしょう。
妄想と言ってしまえばそれまでですが、何しろ冬にまともに釣り上げたことのない素人ですから、
経験が無い以上は、妄想で釣りをするしかないじゃないか。
当日。
朝4時に、かいてんさんが迎えに来ます。
前回も車を出してもらい、恐悦至極という感じなのですが、しかし僕にとっては初のフィールドなので、
自分が運転してまわるには効率が悪い。
もう少し季節が進んだら借りを返すことにして、かいてんさんの好意に甘えることにします。
…寒い。
このところ、日中は2桁を超える気温になることもあって、少しは春めいてきたと思ったところにこの仕打ちです。
朝4時の気温は、おそらく0度を下回っていたでしょう。
後から考えれば、関東で考えられる最も低気温の日だったと、言ってもよかったかもしれません。
集合場所のコンビニでガタガタと震えながら、レッドブルを飲み干しつつ、かいてんさんと合流します。
AKB48のヒット曲をバックに、さっそうと登場するかいてんさん。
前回の釣行のときも、車中はエンドレスでAKBが流れてたんだよなー。
僕はいわゆる30を過ぎたオッサンですので、若者に人気のAKBの良さというものが
イマイチわからずにいるのですが、しかしこれだけブームになっているAKBですから、
こういった身近にファンがいたとしても、別におかしなことではありません。
―AKB、お好きなんですね。
道中、何気なく水を向けてみます。
「…いや、別に好きじゃないっす、むしろ嫌いっす」
!!?
…なんだかよくわかりませんが、それ以上の詮索を避けて目的地に向かいます。
国道をひた走り、ナビが茨城に入ったことを伝えると、もう繰り返し色々なフィールドへ釣行を行なってきたはずの僕も、わずかに上気します。
初の霞ヶ浦。
出掛けに嫁さんが「ワニガワに行け」とか、よくわからないことを言っていた。
果たして僕の知識や経験が通用する場所かどうか。
最初のポイントは、なんというか、川と用水路が直結したような箇所でした。
昨年は、このちょうど直結したところによく魚が付いていたと言いますが…。
車を降り、覗きこんでみると、何やら河川工事の一環なのか、直結地点が埋め立てられて、
ホースを通して水が循環されているようです。
「…だめだ、潰されちゃってますね」
以前のこのポイントがどういったポイントだったか、知らない僕にとって、ガッカリすべきなのかどうかもよくわかりません。
…でも、魚が付きやすかった場所なんですよね?
だったら周辺をちょっとやってみましょう。
ということで、さっそくタックルを降ろし僕は本流側へ向かってみることにします。
…う~~~~~寒い。
風が強くないのが幸いですが、しかしこの低気温は堪えます。
時間も5時過ぎと、ちょうど夜明けに差し掛かった時間。
冬に朝マズメのセオリーがどの程度通用するのかはわかりませんが、しかしプレッシャーが一日でも下がりきった時間帯であるのは間違いないでしょう。
ガタガタ震えながら、まずはメタルバイブをセットして投げてみます。
沖にキャスト。
底を取りながら巻いてきて、なんとなくの地形を探っていきます。
ここで意識したのは、ブレイクの存在を感じ取ること。
ブレイクがあれば、先にも書いたように、その境目に春を意識したバスが中途半端に付いているかもしれません。
…が、どうやら、浅い?
岸から真ん前に向けて投げても、あまりルアーが沈んで行かない。
…2mくらいかしら?
そこから巻いてきても、大した地形の起伏もなく護岸にたどり着いてしまう。
あまりディープと言えるディープもなく、のぺっとした地形のようです。
移動を繰り返し同じように撃っていきますが…、
「ガツッ」
!?
キャストした瞬間に竿先に違和感。
なんだ?
ルアーが全然飛ばなくなった。
竿先を見てみると…、
…凍ってる。
ガイド3つくらいが氷に覆われています。
そうか。
人様のブログで、たまに真冬の釣行でこういった現象についての記事を見かけるが…。
本当にロッドって、凍るんだ。
考えてみれば、今まで真冬に釣行したことはあっても、こんな夜明けの時間帯に竿を振ったことは無かったかもしれない。
かいてんさんと顔を見合わせ、苦笑しつつこのポイントを見切ります。
こりゃあ、気温が上がるまでは相当厳しい状況が続きそうです。
「ちょっと早いけど、本命のとこの一ついきます」
…ほほう、本命とは。
「テトラ撃ちですよ」
テトラ撃ち!
話にはよく聞く、セオリーの一つでしょうが、僕はこのテトラ撃ちというものをやったことがありません。
新川にはテトラなんてものは無いし、花見川も…多分、見たことはない。
ダムでも無いし…。
どちらかというと、メバルなどの海釣りの方が印象が強い釣りです。
しかし、テトラが形作る複雑なストラクチャはバスにとって絶好の隠れ家であり、
季節を問わずに有効な釣法だと聞きます。
―テキサスですか?と聞くと、
「テキサスでもいいですし、上っ面を巻物で通しても釣れますよ」
なるほど、なんとなくイメージがわきます。
否も応もなく従って、そのポイントに向かうことに。
着いたポイントは、なんというか、近隣住民憩いの場、というような、
歩道も整備された綺麗な護岸。
かいてんさんは、道中一つ一つ丁寧に川の名前や実績などを説明してくれるのですが、
初めて聞く地名のオンパレードに、僕の脳はついていけません。
護岸から水を覗きこむと、なるほど足元にはテトラがあります。
しかし僕のイメージしていたテトラ撃ちは、水面から飛び出したテトラに乗り込んで、
足元の穴を撃ちこんでいくというものですが、イメージよりもかなり深い場所に設置されたテトラは、完全に水面に覆われています。
そうか、たしかにこの場所ではテトラの上っ面を引いたほうが勝負が早いかもしれない。
手にしたのは、シャロークランク。
出番は無かろうと思ってましたが、カバンに突っ込んでおいてよかった。
時折テトラにコツコツとぶつけながら、上っ面を引いていきますが、反応なし。
周りには数名のバサーがいますが、シャッドやミノーで大体同じような攻めをしているようです。
ということは、やはりこの攻め方で実績があるということなのでしょう。
たしかにもう少し季節が進めば、面白そうなフィールドです。
が、今日はまだ気温が低すぎるのかもしれません。
かいてんさんと合流し、次のポイントへ。
さくさくと早めの見切りをしているのは、おそらく、僕のためにたくさんのポイントを案内したいという、
かいてんさんの思いがあるのでしょう。
そんな心遣いに感謝しつつ、次はどこへ行きますかと聞くと、
「本命のテトラです」
またテトラきた!
しかも本命とは。
「相当寒い時期にもそこで釣ってますよ」
ほほう。
それは頼もしい。
テキサス一本で大丈夫、というかいてんさんに従って、スリ抜けと着底のリアクションを狙った
センコーのテキサスをリグってみます。
案内されたポイントを見渡すと…。
浅っ!!
ドシャローじゃないですか!
テトラが水面から飛び出して、いかにも僕がイメージしていたテトラ地帯という感じ。
ただし、狙える範囲の水深はおそらく最深でも1mも無さそう。
「テトラの穴にテキサスを落としてリアクション狙いです」
なるほど。
変に食わせを狙っていくよりもわかりやすい。
延々と続くテトラを撃っていくには、リアクション狙いでサクサクやっていたほうが効率も良さそうですしね。
しかし、着いた時にはあまりの浅さに疑心暗鬼になったこのポイントですが、
よくよく考えてみれば、冬に実績があるというのもわかる気がしてきます。
岸際をビッシリと埋め尽くしたテトラ。
そして、そのテトラを遮るものもなく、さんさんと朝日が降り注いでいます。
水温を低下させる要素である、水流や風はテトラが完全に防いでいます。
そして熱を持ちやすいコンクリートが、日が昇るにつれて、ジワジワと岸際の水温を上げていくはず。
おそらく、この一帯はもっとも水温が上がりやすいポイントの一つなのでしょう。
なるほどねー、ということで、さっそくセンコーのテキサスを熱心に穴に落としこんでいきます。
テトラの上に乗っかって、真下にポチョン。
しばらくチョイチョイして、反応無ければ次の穴へ。
…地味です。
画的に地味な釣り。
しかし、だだっ広い、どこを攻めたらいいようなわからないフィールドでやたらめったらルアーを投げるよりも、
明らかにここの方が確度が高いであろうことは、僕でも想像がつきます。
いつか訪れるカタルシスの瞬間に備え、辛抱強く穴に落とし込みます。
…ポチョン、チョイチョイ。
…ポチョン、チョイチョイ。
一時間ほどかけて、端まで打ち終わってしまいました。
…うーん、ちょっとまだ時間が早すぎたかもしれませんね、と僕。
「もう少し気温が上がってから、入り直しますか」
そうしますか、ということで、さくっと移動。
おそらく、ここが今日の最後の切り札的な位置づけになるのでしょう。
ここまで3箇所をまわっても、まだ時間は午前11時ほど。
久しぶりの朝一釣行、時間の感覚が狂います。
昼までにもう一箇所くらいまわれそうですね、などと話していると、
「ちょっと違う意味での冬の定番ポイントがあるんですけど」と、かいてんさん。
??
「行ってみますか」
促されて、その場所へ。

…なんじゃこりゃ。
「ヘラポイントなんですよ。ヘラ師の餌に釣られて小魚が集まって、それを狙ってバスがきます」
…いや、そりゃそうなのかもしれませんけど、この人混みを縫って
「ちょっと前失礼しますねー」なんつって、
スピナベをグリグリ巻く勇気は僕には、無い。
「無いですよね(笑)」
なるほど、ちょっと違う意味の、定番ポイントね。
当然、竿も振らずに次のポイントへ。
次に着いたポイントは大きな流れ込みが絡んだ河川敷。
シーズンには、おそらく大定番なのでしょう。
セオリーとして、まずは護岸を流してみることに。
メタルバイブで、岸ギリギリをストップアンドゴー。
しばらくグリグリやっていると…、
ズムッ。
!!
…?
根がかり?
色々と方向を変えて煽ってみるも、ちょっとこれは無理そう。
ただ、岸に近いことが幸い。
回収器が使えそうです。
かいてんさーん、ちょっとすいません、ロッド持っておいてもらえますか?
かいてんさんに角度をつけてもらい、ラインに沿って回収器を落とし込みます。
ガツ、ガツ、…ガッ!!
引っ掛かった!
オリャー!!!
力任せに引っ張りあげると、
ゴッ!!
…外れた?
「いや、切れちゃったっぽい…、アレ?」
かいてんさんがリールを巻くと…。
ラインの先にはスナップだけ。
ぐあー、回収失敗か…
って、え??
スナップは付いてるの??
スナップを見ると、開いた様子はない。
ガッツリと閉じたままです。
…え?
背後に鳴り響くX-FILEのテーマ。
僕が投げたのは、メタルバイブ。
背中に空いた穴にスナップを通してリグっていました。
そのスナップだけが無傷で回収されたとは??
…。
「…。」
…深く考えないようにしよう。
「…知恵の輪でもリグってたわけじゃないですよね?」
…さぁ、最近のメタルバイブにそんな機能が無ければ。
霞ヶ浦の魔物の為せる業か。
気味悪く、更にポイントを移動しますが、その後、数カ所を周るものの手応えは何も無く、やがて日が傾いて来ました。
…かいてんさん、そろそろじゃないでしょうか。
「そろそろですかね」
満を持して、本命テトラへ車を向けます。
充分に、いろんな意味で場を暖められたはず。
…その間ライバルに撃たれていなければ、ですが。
到着すると、人影はない。
撃たれてない、撃たれてないはずと自分に言い聞かせながら用意をします。
午前中はセンコーのテキサスでしたが、ここで僕が選んだのは、ラバージグ&ポークの組み合わせ。
どうやらテトラといってもそれほど複雑に入り組んでいるわけでもなく、根がかりの心配は少なそうだということが一つ、
もう一つは低水温でもナチュラルなアクションが取れるというポークの強みを試してみたかったという理由からです。
かいてんさんも、「テキサスがダメでもジグで釣れたことがある」とか言ってます。
ここはひとつ、天然素材の威力に賭けてみましょう。
午前と同じように、テトラの真上に陣取って穴に落としこんでいきます。
辛抱強く、一つ一つの穴を丁寧に…。
…ふと太陽を見ると、地平線を赤く彩りながら雲の切れ目に沈んでいきます。
タイムリミットまで、あとどれくらいだろうか。
30分やそこら?
水温は、既に最高水温を下回ってきているでしょう。
が、夕マズメと絡んだおそらく最高のタイミングではないか。
今日は一日やってアタリすらない完封ペース。
しかし、雑にならないように、丁寧に丁寧に…。
ああ、日が沈んでいく。
待ってくれ、全てのテトラを撃たせて欲しい。
あと5つ、…あと2つ…
最後のテトラ…!
反応は、なし。
ちょうど最後のテトラを撃ったところで、日は完全に地平線の下へ沈んでいきました。
「…残念でしたね」
かいてんさんが話しかけてきます。
…結果はそうですけどね、でも僕的には結構満足しましたよ。
「どのへんがですか?」
"やりきった感"、です。
思い返せば、前回、朝マズメから夕マズメまでやり切ったのはいつだったか。
とにかくも、冬に最初から最後までやりきれたというのは、それはそれで収穫といってもいいんじゃなかろうか。
初めての体験も、色々とあったし。
次は春の釣りですね、春になったらあれやってこれやって…と、
二人で妄想をくり広げながら、千葉への帰路をひた走ったのでした。
2013/2/17(日)
晴
弱風
気温:-3 → 6度
水温:3 → 7度
アタリ:0
バラシ:0
ゲット:0
書いたとおり、結果は丸ボウズどころかアタリの一回すらない完全な負け試合でしたが、
しかしそれなりの満足感を得られた釣行でした。
釣りは、釣り自体の面白さももちろんですが、
初めての風景を楽しんだり、刻一刻と移ろっていく状況を身を持って感じ取ったり、
自然に身を置くこと自体も面白さの一つです。
真冬とはいえ朝と昼の状況は違いますし、夕方はさらに違います。
それをやり切ったこの心地良い疲労感をすっかり忘れていました。
既に新川本流でも釣っている人も出てきているようで、
あと一ヶ月すれば、シーズンインと言っても間違いではないでしょう。
問題は年度末にかけて仕事が忙しくなっていくことですが…。
丸一日かけて茨城を案内してくれた、かいてんさんにも早々に借りを返さねばなるまい。
4月に入るまでにもう一度でも、一日釣行ができればいいなぁ。
そりゃあいい話だ、だが塩梅はどうだろうね、と僕が言う。
「わかりやしません。ここいらは温かったり、凍えたり、きつと魚も落ち着かないでしょう」
なるほどそうだろうがね、一体どこへ行こうってんだね、
「昨年の今くらいには、霞ヶ浦で釣れましたがね」
―霞ヶ浦、か。
およそ関東でバサーを名乗る人であれば、ひょっとしたら行ったことのない人のほうが少ないかもしれません。
西の琵琶湖に対して、東の聖湖とも讃えられる霞ヶ浦。
関東のバスフィッシングを、黎明期から大黒柱として支え続けたフィールドであることに、異論を唱える人はいないでしょう。
しかしその評価は、決して難易度と結びついていないことを僕は知っています。
「プロでもきつい!」
プロであっても、ときに釣行が成り立たないことすらあるという話も聞きます。
安易に釣れるから聖地と呼ばれるわけではない。
規模の大きさなのか、あるいは、パターンに富んだ複雑な地形か、
それとも単純に、その歴史に敬意を評してのことなのか。
しかし関東のバスフィッシングを一言で表現するに、ここほど的確なフィールドは無いのかもしれません。
いつかは訪れねばなるまい。
そう思っていたフィールドではあります。
しかし、一年で最も釣れないという1月2月。
この時期にあえて初挑戦すべきフィールドなのか?
…いや、おそらく発想が逆だ。
一番厳しいこの時期にこそ、様々なことを試す懐のあるフィールドで、
自分の考えを試行錯誤することが、これからの釣行に役立っていくのではないだろうか。
―ぜひ、行きましょうと約束をしたのが、2月の3連休明けの頃でした。
さて、ここで、2月の下旬という時期が、バスフィッシングにおけるどういった時期かを考えなければなりません。
最高気温においては冬のピークを過ぎつつも、最低気温については、まだまだ真冬と言って差し支えない時期です。
しかし、一日の僅かな時間しか外界に身を晒さない我々人間と違って、
24時間を自然と過ごす魚たちは、人間には気づかないようなわずかな変化すら敏感に感じとっているはずです。
水温にして、わずか1,2度の変化かもしれません。
しかしその変化をキッカケに、彼らは一年で最も重要な、「春」に向けての準備を始めていきます。
大きな個体ほど、その準備は早いと言います。
2月の下旬とは、そういった時期のはずです。
人間にとっては同じ真冬であっても、一ヶ月前とは違う攻め方が通用する可能性があります。
…いっちょ、強気にいってみるか。
まともに冬バスを釣った経験の無い僕は、可能な限り想像の翼を羽ばたかせつつ、釣行の用意を進めたのでした。
プランとしては、シャロー、そしてブレイクを意識した攻めをしてみたい。
春先にかけてのシャローの重要性は今更僕が言うほどの必要も無いことですが、
それよりも、春に差し掛かってシャローを意識しつつ、「上がりきれない」バスがブレイクにいるんじゃないか。
こういったバスを、狙い済まして釣ることができれば…。
さぞかし快感でしょう。
妄想と言ってしまえばそれまでですが、何しろ冬にまともに釣り上げたことのない素人ですから、
経験が無い以上は、妄想で釣りをするしかないじゃないか。
当日。
朝4時に、かいてんさんが迎えに来ます。
前回も車を出してもらい、恐悦至極という感じなのですが、しかし僕にとっては初のフィールドなので、
自分が運転してまわるには効率が悪い。
もう少し季節が進んだら借りを返すことにして、かいてんさんの好意に甘えることにします。
…寒い。
このところ、日中は2桁を超える気温になることもあって、少しは春めいてきたと思ったところにこの仕打ちです。
朝4時の気温は、おそらく0度を下回っていたでしょう。
後から考えれば、関東で考えられる最も低気温の日だったと、言ってもよかったかもしれません。
集合場所のコンビニでガタガタと震えながら、レッドブルを飲み干しつつ、かいてんさんと合流します。
AKB48のヒット曲をバックに、さっそうと登場するかいてんさん。
前回の釣行のときも、車中はエンドレスでAKBが流れてたんだよなー。
僕はいわゆる30を過ぎたオッサンですので、若者に人気のAKBの良さというものが
イマイチわからずにいるのですが、しかしこれだけブームになっているAKBですから、
こういった身近にファンがいたとしても、別におかしなことではありません。
―AKB、お好きなんですね。
道中、何気なく水を向けてみます。
「…いや、別に好きじゃないっす、むしろ嫌いっす」
!!?
…なんだかよくわかりませんが、それ以上の詮索を避けて目的地に向かいます。
国道をひた走り、ナビが茨城に入ったことを伝えると、もう繰り返し色々なフィールドへ釣行を行なってきたはずの僕も、わずかに上気します。
初の霞ヶ浦。
出掛けに嫁さんが「ワニガワに行け」とか、よくわからないことを言っていた。
果たして僕の知識や経験が通用する場所かどうか。
最初のポイントは、なんというか、川と用水路が直結したような箇所でした。
昨年は、このちょうど直結したところによく魚が付いていたと言いますが…。
車を降り、覗きこんでみると、何やら河川工事の一環なのか、直結地点が埋め立てられて、
ホースを通して水が循環されているようです。
「…だめだ、潰されちゃってますね」
以前のこのポイントがどういったポイントだったか、知らない僕にとって、ガッカリすべきなのかどうかもよくわかりません。
…でも、魚が付きやすかった場所なんですよね?
だったら周辺をちょっとやってみましょう。
ということで、さっそくタックルを降ろし僕は本流側へ向かってみることにします。
…う~~~~~寒い。
風が強くないのが幸いですが、しかしこの低気温は堪えます。
時間も5時過ぎと、ちょうど夜明けに差し掛かった時間。
冬に朝マズメのセオリーがどの程度通用するのかはわかりませんが、しかしプレッシャーが一日でも下がりきった時間帯であるのは間違いないでしょう。
ガタガタ震えながら、まずはメタルバイブをセットして投げてみます。
沖にキャスト。
底を取りながら巻いてきて、なんとなくの地形を探っていきます。
ここで意識したのは、ブレイクの存在を感じ取ること。
ブレイクがあれば、先にも書いたように、その境目に春を意識したバスが中途半端に付いているかもしれません。
…が、どうやら、浅い?
岸から真ん前に向けて投げても、あまりルアーが沈んで行かない。
…2mくらいかしら?
そこから巻いてきても、大した地形の起伏もなく護岸にたどり着いてしまう。
あまりディープと言えるディープもなく、のぺっとした地形のようです。
移動を繰り返し同じように撃っていきますが…、
「ガツッ」
!?
キャストした瞬間に竿先に違和感。
なんだ?
ルアーが全然飛ばなくなった。
竿先を見てみると…、
…凍ってる。
ガイド3つくらいが氷に覆われています。
そうか。
人様のブログで、たまに真冬の釣行でこういった現象についての記事を見かけるが…。
本当にロッドって、凍るんだ。
考えてみれば、今まで真冬に釣行したことはあっても、こんな夜明けの時間帯に竿を振ったことは無かったかもしれない。
かいてんさんと顔を見合わせ、苦笑しつつこのポイントを見切ります。
こりゃあ、気温が上がるまでは相当厳しい状況が続きそうです。
「ちょっと早いけど、本命のとこの一ついきます」
…ほほう、本命とは。
「テトラ撃ちですよ」
テトラ撃ち!
話にはよく聞く、セオリーの一つでしょうが、僕はこのテトラ撃ちというものをやったことがありません。
新川にはテトラなんてものは無いし、花見川も…多分、見たことはない。
ダムでも無いし…。
どちらかというと、メバルなどの海釣りの方が印象が強い釣りです。
しかし、テトラが形作る複雑なストラクチャはバスにとって絶好の隠れ家であり、
季節を問わずに有効な釣法だと聞きます。
―テキサスですか?と聞くと、
「テキサスでもいいですし、上っ面を巻物で通しても釣れますよ」
なるほど、なんとなくイメージがわきます。
否も応もなく従って、そのポイントに向かうことに。
着いたポイントは、なんというか、近隣住民憩いの場、というような、
歩道も整備された綺麗な護岸。
かいてんさんは、道中一つ一つ丁寧に川の名前や実績などを説明してくれるのですが、
初めて聞く地名のオンパレードに、僕の脳はついていけません。
護岸から水を覗きこむと、なるほど足元にはテトラがあります。
しかし僕のイメージしていたテトラ撃ちは、水面から飛び出したテトラに乗り込んで、
足元の穴を撃ちこんでいくというものですが、イメージよりもかなり深い場所に設置されたテトラは、完全に水面に覆われています。
そうか、たしかにこの場所ではテトラの上っ面を引いたほうが勝負が早いかもしれない。
手にしたのは、シャロークランク。
出番は無かろうと思ってましたが、カバンに突っ込んでおいてよかった。
時折テトラにコツコツとぶつけながら、上っ面を引いていきますが、反応なし。
周りには数名のバサーがいますが、シャッドやミノーで大体同じような攻めをしているようです。
ということは、やはりこの攻め方で実績があるということなのでしょう。
たしかにもう少し季節が進めば、面白そうなフィールドです。
が、今日はまだ気温が低すぎるのかもしれません。
かいてんさんと合流し、次のポイントへ。
さくさくと早めの見切りをしているのは、おそらく、僕のためにたくさんのポイントを案内したいという、
かいてんさんの思いがあるのでしょう。
そんな心遣いに感謝しつつ、次はどこへ行きますかと聞くと、
「本命のテトラです」
またテトラきた!
しかも本命とは。
「相当寒い時期にもそこで釣ってますよ」
ほほう。
それは頼もしい。
テキサス一本で大丈夫、というかいてんさんに従って、スリ抜けと着底のリアクションを狙った
センコーのテキサスをリグってみます。
案内されたポイントを見渡すと…。
浅っ!!
ドシャローじゃないですか!
テトラが水面から飛び出して、いかにも僕がイメージしていたテトラ地帯という感じ。
ただし、狙える範囲の水深はおそらく最深でも1mも無さそう。
「テトラの穴にテキサスを落としてリアクション狙いです」
なるほど。
変に食わせを狙っていくよりもわかりやすい。
延々と続くテトラを撃っていくには、リアクション狙いでサクサクやっていたほうが効率も良さそうですしね。
しかし、着いた時にはあまりの浅さに疑心暗鬼になったこのポイントですが、
よくよく考えてみれば、冬に実績があるというのもわかる気がしてきます。
岸際をビッシリと埋め尽くしたテトラ。
そして、そのテトラを遮るものもなく、さんさんと朝日が降り注いでいます。
水温を低下させる要素である、水流や風はテトラが完全に防いでいます。
そして熱を持ちやすいコンクリートが、日が昇るにつれて、ジワジワと岸際の水温を上げていくはず。
おそらく、この一帯はもっとも水温が上がりやすいポイントの一つなのでしょう。
なるほどねー、ということで、さっそくセンコーのテキサスを熱心に穴に落としこんでいきます。
テトラの上に乗っかって、真下にポチョン。
しばらくチョイチョイして、反応無ければ次の穴へ。
…地味です。
画的に地味な釣り。
しかし、だだっ広い、どこを攻めたらいいようなわからないフィールドでやたらめったらルアーを投げるよりも、
明らかにここの方が確度が高いであろうことは、僕でも想像がつきます。
いつか訪れるカタルシスの瞬間に備え、辛抱強く穴に落とし込みます。
…ポチョン、チョイチョイ。
…ポチョン、チョイチョイ。
一時間ほどかけて、端まで打ち終わってしまいました。
…うーん、ちょっとまだ時間が早すぎたかもしれませんね、と僕。
「もう少し気温が上がってから、入り直しますか」
そうしますか、ということで、さくっと移動。
おそらく、ここが今日の最後の切り札的な位置づけになるのでしょう。
ここまで3箇所をまわっても、まだ時間は午前11時ほど。
久しぶりの朝一釣行、時間の感覚が狂います。
昼までにもう一箇所くらいまわれそうですね、などと話していると、
「ちょっと違う意味での冬の定番ポイントがあるんですけど」と、かいてんさん。
??
「行ってみますか」
促されて、その場所へ。

…なんじゃこりゃ。
「ヘラポイントなんですよ。ヘラ師の餌に釣られて小魚が集まって、それを狙ってバスがきます」
…いや、そりゃそうなのかもしれませんけど、この人混みを縫って
「ちょっと前失礼しますねー」なんつって、
スピナベをグリグリ巻く勇気は僕には、無い。
「無いですよね(笑)」
なるほど、ちょっと違う意味の、定番ポイントね。
当然、竿も振らずに次のポイントへ。
次に着いたポイントは大きな流れ込みが絡んだ河川敷。
シーズンには、おそらく大定番なのでしょう。
セオリーとして、まずは護岸を流してみることに。
メタルバイブで、岸ギリギリをストップアンドゴー。
しばらくグリグリやっていると…、
ズムッ。
!!
…?
根がかり?
色々と方向を変えて煽ってみるも、ちょっとこれは無理そう。
ただ、岸に近いことが幸い。
回収器が使えそうです。
かいてんさーん、ちょっとすいません、ロッド持っておいてもらえますか?
かいてんさんに角度をつけてもらい、ラインに沿って回収器を落とし込みます。
ガツ、ガツ、…ガッ!!
引っ掛かった!
オリャー!!!
力任せに引っ張りあげると、
ゴッ!!
…外れた?
「いや、切れちゃったっぽい…、アレ?」
かいてんさんがリールを巻くと…。
ラインの先にはスナップだけ。
ぐあー、回収失敗か…
って、え??
スナップは付いてるの??
スナップを見ると、開いた様子はない。
ガッツリと閉じたままです。
…え?
背後に鳴り響くX-FILEのテーマ。
僕が投げたのは、メタルバイブ。
背中に空いた穴にスナップを通してリグっていました。
そのスナップだけが無傷で回収されたとは??
…。
「…。」
…深く考えないようにしよう。
「…知恵の輪でもリグってたわけじゃないですよね?」
…さぁ、最近のメタルバイブにそんな機能が無ければ。
霞ヶ浦の魔物の為せる業か。
気味悪く、更にポイントを移動しますが、その後、数カ所を周るものの手応えは何も無く、やがて日が傾いて来ました。
…かいてんさん、そろそろじゃないでしょうか。
「そろそろですかね」
満を持して、本命テトラへ車を向けます。
充分に、いろんな意味で場を暖められたはず。
…その間ライバルに撃たれていなければ、ですが。
到着すると、人影はない。
撃たれてない、撃たれてないはずと自分に言い聞かせながら用意をします。
午前中はセンコーのテキサスでしたが、ここで僕が選んだのは、ラバージグ&ポークの組み合わせ。
どうやらテトラといってもそれほど複雑に入り組んでいるわけでもなく、根がかりの心配は少なそうだということが一つ、
もう一つは低水温でもナチュラルなアクションが取れるというポークの強みを試してみたかったという理由からです。
かいてんさんも、「テキサスがダメでもジグで釣れたことがある」とか言ってます。
ここはひとつ、天然素材の威力に賭けてみましょう。
午前と同じように、テトラの真上に陣取って穴に落としこんでいきます。
辛抱強く、一つ一つの穴を丁寧に…。
…ふと太陽を見ると、地平線を赤く彩りながら雲の切れ目に沈んでいきます。
タイムリミットまで、あとどれくらいだろうか。
30分やそこら?
水温は、既に最高水温を下回ってきているでしょう。
が、夕マズメと絡んだおそらく最高のタイミングではないか。
今日は一日やってアタリすらない完封ペース。
しかし、雑にならないように、丁寧に丁寧に…。
ああ、日が沈んでいく。
待ってくれ、全てのテトラを撃たせて欲しい。
あと5つ、…あと2つ…
最後のテトラ…!
反応は、なし。
ちょうど最後のテトラを撃ったところで、日は完全に地平線の下へ沈んでいきました。
「…残念でしたね」
かいてんさんが話しかけてきます。
…結果はそうですけどね、でも僕的には結構満足しましたよ。
「どのへんがですか?」
"やりきった感"、です。
思い返せば、前回、朝マズメから夕マズメまでやり切ったのはいつだったか。
とにかくも、冬に最初から最後までやりきれたというのは、それはそれで収穫といってもいいんじゃなかろうか。
初めての体験も、色々とあったし。
次は春の釣りですね、春になったらあれやってこれやって…と、
二人で妄想をくり広げながら、千葉への帰路をひた走ったのでした。
2013/2/17(日)
晴
弱風
気温:-3 → 6度
水温:3 → 7度
アタリ:0
バラシ:0
ゲット:0
書いたとおり、結果は丸ボウズどころかアタリの一回すらない完全な負け試合でしたが、
しかしそれなりの満足感を得られた釣行でした。
釣りは、釣り自体の面白さももちろんですが、
初めての風景を楽しんだり、刻一刻と移ろっていく状況を身を持って感じ取ったり、
自然に身を置くこと自体も面白さの一つです。
真冬とはいえ朝と昼の状況は違いますし、夕方はさらに違います。
それをやり切ったこの心地良い疲労感をすっかり忘れていました。
既に新川本流でも釣っている人も出てきているようで、
あと一ヶ月すれば、シーズンインと言っても間違いではないでしょう。
問題は年度末にかけて仕事が忙しくなっていくことですが…。
丸一日かけて茨城を案内してくれた、かいてんさんにも早々に借りを返さねばなるまい。
4月に入るまでにもう一度でも、一日釣行ができればいいなぁ。