初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ -11ページ目

初心者が行く!印旛新川ベイトでオカッパリ

バス釣りド初心者の中年バサーがベイトオンリーで印旛新川に挑みます。

 「ビジ夫さん、フットコン使ったこと無いんですか」





―無いですよ。


「えーっ」





前回の続きです



僕は機械のたぐいが大の苦手だと書きました。

長い付き合いの嫁さんなどに言わせると、僕は機械音痴なのではなく単に食わず嫌いなだけだということらしいのですが、

食わず嫌いだろうがなんだろうが、食べたくないものは食べたくないんだからしょうがないだろう、というのが僕の言い分になります。




「…じゃあ、今日は練習っすね」



―…いや、いいですよ。

やれる人がやればいいじゃないですか。




「そんなんじゃいつまで経っても使えるようになりませんよ!」



―大丈夫。常に誰かフットコン使える人と釣行しますから。今日みたいに。




「…。」




桧原湖に向かう道中。

公正なる協議の結果、以下の様な役割分担となることが決まったのです。



ワカバヤシさん:一号船エレキ担当。単独乗船。

かいてんさん:二号船エレキ担当。魚探担当。


ぼく:二号船同乗。



それぞれが持ち分を最大限発揮できる、ベストな担当割りと言ってよいでしょう。

かいてんさんが何やら言いたげですが、運転に集中している僕はその視線に気づくことはありません。




やがて千葉から福島までの長い長い道中を走破し終えた僕は、

かいてんさんとワカバヤシさんからの労いの声を背中に受けつつ、


「予約していたビジ夫ですが」と、早々にボート屋さんの受付の戸を叩いたのでした。

なにしろ、一仕事終えた気になっていますが、むしろこの瞬間からが今日の始まりなのです。



ボート2台にエレキ2台、そして魚探を一台…、




…あれ?


エレキ…、フットコンじゃない??


―すいません、エレキはフットコンではないのですか。



受付「フットコンは全部ボートに取り付けられてっから。手漕船はハンドコンしかないのよ」





―…なぬー!

しまった、予約した段階で確認しておけばよかった…。



…ハンドコンはフットコンと比べて非常に燃費(バッテリー消費)が激しいというのは有名な話ですが、

この広大な湖をまる一日やり通して、果たしてバッテリーはもつものなのでしょうか。


―すいません、予備にバッテリーをもう一個お借りできますか?


受付「いいよ、言ってくれりゃ」



―ありがとうございます。






かいてん「なんだ、ハンドコンならビジ夫さんだって操船できるんじゃないですか?」


―フットコンだろうがハンドコンだろうが、僕はとにかくそのコンが駄目なんですよ。


かいてん「はぁ…」




担当割りに変更の申請が上がりましたが、残念ながら承認は降りることはありません。




―さぁ、準備ができたらもう出船していいみたいですよ?




些細な事にこだわって時間を使っているよりも、早く釣りを始めた方が良い。

そう納得したのか、かいてんさんはボート後方に陣取り、さっそくハンドコンエレキのスイッチを入れたのでした。



…一年ぶりの桧原湖釣行、僕にとっての因縁を解消する一日が、いよいよスタートです。





水面を滑るように発進するボート…、



―…え、いやいや、そっちじゃないでしょう、かいてんさん。

あっちの岬に行こうって言ったじゃないですか。




かいてん「行きたい方向とハンドルを切る方向が、感覚的に逆なんですよ」


―あ、なるほど、舵が後ろにありますからね。なんとなく言わんとしてることはわかります。

でもあれを見て下さいよ?










本職




―ワカバヤシさんは既に颯爽と乗りこなしてるじゃないですか。

あれこそプロの仕事というものですよ。




かいてん「完全に漁師の風格ですよあれは」



―今日一日、ワカバヤシさんを「本職」と呼ぶことにしよう。

かいてんさんと頷き合って、右に左に蛇行しながら、ボートは最初のポイントに到着しました。




―(水深は)何mですか?

魚探とにらめっこしているかいてんさんに聞いてみます。



「7~8mですね。あそこの岬からガクンと落ちてきてるみたいです」



―事前情報だと、そのくらいの深度に落ちてるってことでしたよね。ピッタリじゃないですか。やってみましょう。


既に秋モードに移行し、魚の視線はディープに向かっているということでしたが、

しかし、朝一番なら表層の反応を確かめてみるのも悪いことではない気がします。


まずはシャローからブレイクがあるであろう地点の直上までを、トップウォータープラグで流してみることにします。



僕はダブルスイッシャー。

ワカバヤシさんはポッパー。

かいてんさんもポッパーのようです。



沖に浮かぶ2艇のボート。

そこから周囲360度をやたらめったら投げてみます。




しかし、水面は何の反応も示してはくれません。






―…反応、ないですね…。


言おうとしたところ、不意に、






「ピピピッ!!!!」






!!!!



―なんだ!なんですか今の電子音は!


「魚探みたいですね。何か反応があったんでしょう」



―魚探って、どんなことがあったらピピッって鳴るもんなんですか。


「知りませんよ。たぶん、魚の群れとかじゃないですかね」



―ほーぉ、それじゃ、今のはワカサギか何かの群れが通ったってことですか。


「多分」





―…なるほどね。

常に魚探を睨んでいなくても、そうやって教えてくれるというなら非常に便利です。


水深がわかり、水温がわかり、魚の群れもわかる。

今回のように非常に大きなフィールドを初めて釣行するような場合、目で見えること以外にそれだけの情報を与えてくれるというのは素晴らしい。


―なるほど、魚探か、たしかにボートメインのバサーがこぞって取り付けている理由も分かる気がする。

ちなみに群れが通った水深は分かるんですか?



「モヤモヤっとした表示が5mくらいのラインに出てますけどね」



―それか。

それがワカサギか。

そのラインを正確に撃つには…、




―あの岬から今いるボートポジションまでが目測20mくらい。

岬の位置を水深0mとして、今いる位置が水深7~8mくらい。

てことは5,6m先あたりを撃てれば水深5mくらいってことかな?



…10gシンカーのヘビーキャロライナリグをそのあたりに投げてみます。

だんだんと沈んでいくラインが、やがてフッとテンションを失います。



―底が取れた。…けど、ここが水深5mなんだろうか。


ひとまず、ズリズリと引いてみます。




…反応、なし。

これでいいんだろうか。わからん。






一投一投を、ここまで地形をイメージして投げ続けなければいけないのか。

そもそも、ベイトのいる層が5mだからといって、5mの水底を撃つことは理にかなっているのだろうか。

バスがボトムに付いていればいいけれど、中層に浮きながらベイトを追っているとしたら底を取ることに意味は無い気がする。

だったら重めのスピナベあたりを沈めてゆっくり巻いていたほうがいいような…。




…まだ始まったばかりだというのに、早くも僕は途方に暮れかけています。

ぐだぐだと余計なことは考えず、「まずこれをやる」と決めたことをひたすらやってみればいいものを、


「因縁の桧原湖」

「苦手な秋」

「一度も釣り上げたことのないスモールマウスバス」



そういったネガティブな要因を思い浮かべては、自分自身の思考を暗くしていきます。





…半信半疑のキャストを続けながら、ふと空を見上げると、自分の心情を表したような真っ黒な雲が頭上を覆っています。




―あ、やばい、これ降る。



思った時には既にポツポツとした感触が皮膚を伝っています。

レインウェアのフードをすっぽりとかぶり、グローブをはめたところで、ザーッと水面を叩く音が船上に響き渡りました。



「ちと、寒いっすね」


かいてんさんが話しかけてきました。



―ですね、雨もそうですけど、風けっこう強いですね。




僕はあまり気にしていませんでしたが、操船を担当しているかいてんさんは、先ほどからポジション取りに苦労しているようです。




「風を避けられる場所、行ってみません?」


―そうですね、岬の裏に行ってみますか。




…岬の裏側、ワンドになっているポイントへ移動します。




すると、



…ピピッ!ピピピッ!!!!


―おお、なんか魚探がピッピいってますよ、かいてんさん!



「ベイトも溜まってるみたいですね」




…単なる避難のつもりが良い方向に出たのかもしれない。

―ちなみに、水深はどのくらいですか?



「10m以上ありますね」




―10m!?ほんとですか?

岸が目と鼻の先にありますけど、そんなに深いですか?



「岸がほとんど垂直に落ち込んでるんでしょうね」





…なんと。

てっきり浅くなっているんだろうと思ったワンドは、実はさっきまで浮いていた沖よりも深かった。

パッと見た感じ、せいぜい水深3mくらいだろうと思っていたのに…。



…こりゃあ、魚探がなければここまで深いとは気が付かなかったはず。

心のなかの魚探をかけて、心のなかの水深3mに従って、3mに合ったルアーを投げていたはずです。


無いよりはあったほうがいい、くらいの思いでレンタルした魚探でしたが、

借りていなかったら一日勘違いしたままだったかもしれません。



そう、素直に感じた僕だったので、


―魚探、結構便利ですね…。


と、ひとりごとのようにつぶやくと、



「ですね、大場所では必須ですね…」


かいてんさんも似たような感想を抱いた様子。




魚探というツール自体、バス釣りにおいて賛否両論あることは知っていますが、

しかし少なくとも、こういった年に一回やそこらしか来れないような遠征で、

後悔なく釣りをするためには、便利なツールであることは間違いないようです。


むしろある程度フィールドに通いこんでしまえば、逆にそれほど必要ではなくなるものなのかもしれません。



正直なところ、僕は魚探というものをヘビーユーザー御用達の、

ヘビーなユーザーが更なるヘビー化を目指すための、完全なる上級アイテムだと思っていた向きがあります。


それは非常にマニアックで、細かなチューニングやメンテナンスによって性能がピンからキリまで変化してしまうような、

スーパーウルトラカスタマイズマシンであるかのように思っていた節があります。


僕のようなニワカが手を出すべきではない、うっかり手を伸ばしてしまえば肘から先をガッツリいかれてしまうような、

デンジャラスストロングモンスターであると思い込んで最初から白旗を挙げていたと思っていただいて差し支えありません。


嫁さんが、僕を単なる食わず嫌いと評した所以はこのあたりにありそうですが、

いずれにしても魚探というものはどうやらそんな性質のものではないらしい。


むしろ、僕のフィッシングライフを快適にサポートするお気楽極楽便利ツールというべきものらしい。

ワークライフバランスを整えるための定時退社推進システムといって過言ではないらしい。



何を言っているのかよくわからなくなってきましたが、

とにかく、その性能の一端に触れた僕の、魚探に対するイメージはこの日、一新されたわけなのでした。







…そんなことを考えているうちに、雨も風も少し収まってきたようです。

移動するなら今のうち、ということで、ワンドからまた沖に出ることとしました。




…さて、ここまで全く反応無いですけど、どうしましょうかね。


「うーん、知り合いは、とにかく岬を撃っていけばいいよ的なことを言ってましたけどね…」




―岬か。

たしかに、初場所で何をやっていいかわからない時は岬を重視していくのがいいと聞いたことがあるけれど…。

これだけ規模の大きい場所だと、どのくらい地形が出っ張ってれば岬なんだろう。



「まだ時間あるし、あっちのギザギザの岸沿いをずっと流していってみますか」

―そうですね、そうしましょう。


…本職にも声をかけ、地形がギザギザになっている岸に移動することとしました。




さて、移動して最初の岬(と感じる地形のでっぱり)。

ある程度の水深までを視野に入れるなら、ボートポジションは極力岸から離さなければなりません。


岸から20mほど離れたところでエレキを切り、かいてんさんはフットボールジグを用意しているようです。


―僕はどうしようか…。

ひとまず、ヘビキャロで様子を見てみよう。


岸際にキャストして、シンカーが岸を転がり落ちるのに任せるようにリグを沈めていきます。




…しばらくそのように攻めていると、





かいてん「…あれっ」


かいてん「あっあっこれ喰ったんじゃないの!」




…えっ、と振り返ると、フッキングの体制に入っているかいてんさん。


すると既にギュンと竿がしなっている!

どうやら最初のヒットはかいてんさんのようです。



かいてん「結構引く!結構良いサイズ!」



―おー、いいなー、羨ましい!

などとワカバヤシさんと応援を送りつつ、そうだった、ランディングネットは同船の僕の仕事か。



―ネット、いいですよ、かいてんさん!


かいてん「いきますよ!」




うりゃー、と取り込まれたバスは38cm。

惜しくも40には届きませんでしたが、スモールでこのサイズはかなり良い魚のはずです。




かいてん「ヨッシャー!」





―おめでとうです。フットボールは何gだったんですか?


かいてん「7gですね」



7gか、なるほど。

7g、7g…。



う。



無い。

普通のジグなら7gあるけどフットボールは無い。




…しまった。

普段、フットボールなんてあんまり使わないからな…。

ハンツを持ってたはずだけど、どこかでロストしていたのか。



―仕方がない。10gでなんとかしてみよう。


リグをヘビキャロからフットボールに変えて、僕も同じように岬を攻めてみます。








…しかし、反応なし。

さっきの一本だけだったのか…?。





ワカバヤシ「…あ!きた!」




…え、ワカバヤシさんにもきた!?





慎重なランディングの末にワカバヤシさんに上がったサイズも、偶然同じ38cm。


…いたよ、いるじゃん。スモール。

どうやら、リグは同じように7gのフットボールらしい。







ワカバヤシ「…またきた!今度はもっとデカイ!?」




…ええっ、連発!?







…って、あれ、無事ランディングされてワカバヤシさんの手にぶら下がるバスの姿はどこか馴染みがあるような…。




ワカバヤシ「ラージや、これ…」


―ラージ!?桧原もラージいるんでしたっけ?



ワカバヤシ「スモールの付き場所とラージの付き場所は普通違うらしいんですけどね…」


―同じ場所にいましたね。しかし、桧原に来てラージの40アップとはなかなか貴重なんじゃないですかね…。




…複雑な表情をしているワカバヤシさんですが、どうやらこの岬はこの一帯でも有望なポイントらしい。

かいてんさんにも、ワカバヤシさんにも来たのだから、僕にも来てもおかしくないはず。




俄然やる気マンマン、精力的にフットボールを投げ続ける僕です。

ワカバヤシさんも2本釣り上げた場所をしつこく攻めている様子。


一本釣って余裕が出たのか、かいてんさんは違うことを試しているようです。







…15分後。

誰にも反応はありません。



―いい場所なんでしょうけどね、3人がかりじゃスレちゃうのかもしれないですね。



かいてん「場所だけ覚えといて、他まわってみますか」



―そうですね、似たような場所があるかもしれませんし。


本職、行きますよ!と声をかけて、ポイントを移動します。








…時間はいつの間にか昼を回りました。

コンビニで買ったオニギリを頬張りながら、途中途中を撃っていきますが反応はありません。



ワカバヤシ「…あ、バッテリー無くなってきた」




―え、もうですか。

やはり、ハンドコンはバッテリー消費が激しいのか。


さらに本職によるきめ細やかな位置取りによって、それに拍車がかかったということなのかもしれません。



―ボート屋に引き返して、バッテリーを替えてきた方がいいでしょうね。

あっちの方に進んでいってみますから、替えたら追いついてください。




本職「了解です」




一時的にワカバヤシさんと別行動をとり、岸際にそって広がるシャローエリアに注目してやっていくことにします。


所々に点々と存在する浮島のようなポイント。

かいてんさんがスピニングでちっちゃなワームを放り込むと、10cmにも満たないような豆バスがひっきりなしに釣れてきます。



―シャローにバスがいないというわけではないみたいですね。

ただ、やっぱり大きいのは沈んでるんでしょうか…。



「いやー、これはこれで楽しいわ。ワーム無くなっちゃうわこれ」




…く。

なんだかムカつく。




カッカくる理由は、どうやらそれだけではないようです。

気がつけば空はいつの間にか晴天になっていて、気温は開始時点から比べると10度以上上昇しているでしょう。


大げさな防寒と雨対策を施した格好には辛い時間帯となってきました。




…脱いじゃおうかな。

レインウェアだけでも…。



「急にやたら暑くなってきましたよね」



―そうですね、やっぱり山は気候がガラッと変わるみたいですね。


「とは言っても風は相変わらずですけどね」



―風裏行きますか?あっちが裏になってるみたいですけど。


「そうしましょう。ボートも固定できないんで…」




風裏に移動します。



―さぁ、これで快適に釣りが…、

…あれ?




「今度はここが表になってますよ。さっきまで裏だったのに…」


―ぐ、じゃ反対側に周りますか、バッテリーもったいなかったですね…。



また風裏に移動します。



―さぁ、こんどこそ快適に…、




「…また表になってますよ…」




…。






山々に囲まれた桧原湖。

吹き抜ける風は、ちょっとした拍子にその角度を変えて、湖上に浮かぶ僕達を悩ませます。


しかしそれならそうと、行く先々が常に裏になってくれればよいものを、ことごとく表に出るとは何事か。

この霊峰を敬いこそすれ、そんな意地悪をされるほど恨まれるようなことをした覚えはない。



…しかし暑い。気温もどんどん上がってきている気がする。

我慢できん。




―いいや、僕ちょっとレイン脱いじゃいますわ。


「え、でもポツポツしてましたけどね…。もう降らないのかな?」



―大丈夫でしょう、これだけ晴れてればしばらくは。

いよいしょっと、


…フゥ、やれやれ、これでだいぶやりやすくなりましたよ。



「俺も脱ごうかな…、あれ、何か聞こえませんか?何の音だろう」




……・・・ドド…



―あれ、確かに聞こえますね。何の音だろう。




…・・・ドドドドドドドド…



「ビジ夫さん、あっち…」



―え?





山の方角。


煙のカーテンのようなものが近づいてきています。




―あれはもしかして…、

いやもしかしなくても…、
















「スコールですね」





ザァァァァァァァァァァァァァアァァァ!!!!!!



















…。





磐梯山よ。

これは試練か。


恐れ多くも桧原湖でバスを釣り上げようという、

僕に対する、これは試練なのか。




…心身ともに冷えきって悄然としているところにワカバヤシさんが合流します。



「あれから釣れました?」




―いや…。





ずぶ濡れになったレインを身にまといます。




…まずい。非常にまずい。

今のところ、ここまで僕はアタリすらない完全試合。

昨年の雪辱を晴らすどころじゃない。

これじゃ、返り討ちもいいところだ。



これまでやってきたのは、ヘビキャロ、ヘビダン、フットボール、気休め程度の巻物…。

一応全て、事前にやってみようと考えていたものばかりです。


横では相変わらず、かいてんさんがスピニングのダウンショットで豆バスを釣り続けています。






ちょっと話が逸れますが、別に今回に限らず、危機的な状況に置かれた僕は、しばしば奇妙な行動を取ることがあります。

普段なら絶対に採用しないような、奇妙な選択肢を選ぶケースが散見されます。



例えば唐突に、ネコリグを投げてみようか、なんて考えたりします。



ネコリグは非常に釣れるリグということで有名ですが、僕にとってのネコリグは釣ったこともなければ満足に使い方すら分からない未知のリグです。

それを、ベイトでなんとか投げてみようか、なんて考えたりします。


使い慣れていて、実績も充分にある、テキサスやヘビーダウンショットなどのような、

もはやそれ無しに自分の釣りを語れないような、そんなリグを押しのけてまで、

ネコリグを投げてみようか、なんて考えが頭の中を支配したりします。


ことに、「今日はなんとしてでも釣りたい、釣らなければならない」という状況においてそうなることが非常に多いのですが、

それならばなおのこと、自分がもっとも信頼を置く、実績のある方法に身を委ねるべきだと、普通に考えればそう思うわけですが、

なんとかして、ネコリグで7mのボトムを取れないか、なんて不埒な思いが脳裏をよぎったりします。



今、客観的にその状態の自分を思い返してみても、なぜそんな突拍子もないことを考えるのかと不思議でならないのですが、

今の僕は言わば通常時の僕であって、突拍子もないことを考えている僕は異常時の僕であるわけなのですから、

その不思議さは当の僕に全く何の意味も持たず、実際にその時の僕は真剣そのものだったりするわけです。



なぜ、ネコリグなのか。


そんなものを投げて果たしてどうしようというのか。

よしんば投げられたところで、この強風の中、太いラインのベイトタックルでは飛距離もたかが知れています。

満足に底も取れずに、足元をチョンチョンして終わりになることは火を見るより明らかだというのに、

なぜに今この時間も限られた状況でネコリグを選択しようというのか。




…時間は残り2時間を切っています。





…いや、もしもここでネコリグを選択したとして、それでやりきったとして、

釣れなかったらどうなる。

その時の後悔は、昨年の比ではないだろう。


だったら、釣れなくても、今のままのスタイルを貫き通したほうがいいんじゃないだろうか。



…ギリギリのところで、僕は我に返りました。

今日のプランとして用意していたリグの中で、僕が一番信頼を置けるのはヘビダンです。

なら、残り2時間、それでやりきったらいいじゃないか。



手応えの全く無い状況に変わりはありませんが、少しだけ、気が楽になったように思えます。




…そうだ、どうせならアレをためしてみるか。



アレとは、スタッガーワイドの4インチ。

前回の亀山釣行で、釣ることはできませんでしたが2回、デカバスをかけたワームです。


これの10gヘビーダウンショット。

ラージマウスでもアベレージサイズではなかなか食ってこない大きさではありますが、

もうここまで来たら関係ないでしょう。


喰うバスは喰う、それを信じてやってみましょう。




ネコリグから一転、反対方向に振りきれた僕はXHのロッドにヘビーダウンショットをリグります。

ここまでリグに重量があれば、底を取っている感触がしっかりと手元に伝わってきてストレスはありません。



かいてん「最初のエリア近辺に戻りますか」



―そうですね、なんとなく、あのあたりが一番良さそうな気がしますね。



気がつけばかなりの距離を移動してきていましたが、一気に戻ってラストチャンスに賭けることにします。

しかし、かいてんさん、ワカバヤシさんが釣り上げたポイントは人が入っているか。


なら、ベイトが多かったワンドをやってみましょう。



ひたすら、ヘビーダウンショットを岸際に投げ、ボトムの傾斜に沿って足元まで寄せてきます。

水深で言うと、0mから10mまでのラインを攻めているはずです。



ベイトを意識したバスがボトム沿いに付いていれば…。

それだけを信じて投げ続けます。



が、







既に帰着時間まで30分を切りました。

ボート屋までの移動を考えるとそろそろ切り上げなければなりませんが、

今日釣り上げているかいてんさん、ワカバヤシさんからそれを言い出すことはできないでしょう。

終了の宣言は、僕がしなければなりません。





―ボチボチ、終わりにしますか。



「いいんですか?」



―時間も時間ですしね、バッテリー交換してないこっちのボートはボート屋まで持つかどうかも際どいですし。



「そうですか…、しかし、厳しかったですね…」



―ですね、事前情報でも釣れてないとは見てましたけど、ここまでとは思ってませんでした。

しょうがない、また来年リベンジしますよ。


…次は、夏に。



「ですね、桧原の秋は難しすぎ」



―骨身にしみましたわ。




…こうして、2015年の桧原湖釣行は終わりを告げました。

去年からまる一年、この日を本当に心待ちにしていたわけですが、結果は見事に返り討ちということになりました。



まぁ、それでも、無理矢理前向きに考えるなら、これで来年もう一度ここにくる口実ができたわけです。

今日この日からまたその日を楽しみに、一年を過ごすことにしましょう。



また来るぞ!磐梯山!





…と思いながら、バッテリー切れ寸前のボートでヨロヨロと帰着した僕だったのでした。





…ついでに帰りしな、嫁さんにメールで「釣れなかった…」と報告したところ、

「ハァ!?冗談でしょ?」と返信がありました。


嫁さんらしいといえばらしいのですが、「残念だったね」くらいはあってもよかったんじゃないか、嫁さんよ!








ところで、Westさんのブログで第八回目の印旛水系大会について告知が掲載されました。

募集方法についても記載がありますので、参加をいただける方はどしどしご連絡をお願いします。


詳細についてはまだ決めていませんが、晩秋ということで開始時間や帰着時間は今までと変更する可能性があります。

常連の方については特に、今後のアナウンスにご注意ください。


それでは、最後の大会となりますが、今までと変わらず楽しく安全に実施できるよう執り進めたいと思いますので、

新規の方もぜひこの機を逃さず、ご参加をいただけると嬉しいです。



僕は「その日」を一年前から楽しみにしていました。

もっと正確に言うと、346日前から楽しみにしていました。


「その日」が近づくにつれ、毎日がソワソワとろくに仕事も手につかなくなるありさまで、

それが一週間前ともなれば、就業時間中にも関わらずスマホのカレンダーを睨みながら「あと7日か」などと独りごち、

いや、そんなことは昼の休憩中にも通勤途中の電車の中でも繰り返しやっていたことで、

むしろ常に「あと6日と19時間か」くらいのレベルで把握していたといって差し支えありません。


僕はそれほどまでに「その日」を心待ちにしていたわけなのでして、

とても期待に胸を膨らませていたわけなのでして、唯一の心の支えとして生きてきたわけなのですが、

「その日」とは何かと問われれば、僕は9月4日に桧原湖へ釣行する予定を立てていたのでした。



一年前の9月13日。

僕は家族と桧原湖を訪れ、一人フローターで挑戦した挙句、

コテンパンのケチョンケチョンにやられてほうぼうの体で逃げ帰ってきた、という苦い思い出があるわけなのですが、

そこから丸一年、虎視眈々とリベンジの機会を狙っていたというわけなのでした。




―来年、また桧原湖に挑戦して今度こそはギャフンと言わせてやりますわ。



当時から僕はそう周囲に宣言していたわけなのですが、

「乗った」と相乗りしてきたのは、釣り友達のかいてんさんです。


聞けば、かいてんさんは裏磐梯での釣行経験はあっても、桧原湖の経験はないという。


単独での遠征に、若干ながらも不安を感じていた僕は一も二もなく承諾します。


そこに「僕も乗った」と声をかけてきたのはワカバヤシさんです。



印旛大会にも何度か参加いただいて、第五回目の大会ではペアも組ませていただいたワカバヤシさん。

手元の計算機によると、一人よりも二人、二人よりも三人のほうがガソリン代も高速代もお得になるという計算結果を示しています。


―いいでしょう、ならば三人で行きましょう。


こうして、三人はそれぞれ遥か東北の山々に思いを馳せつつ、当日を待ちわびていたのでした。



…で、待ちわびるのはよいのですが、僕は僕できたるべき日に備えて色々と準備をしなければなりません。

例えば、


―当日はボートでいいですよね?

と二人に問えば、ボートでいい、と回答があります。

ならば僕はボート屋に予約の電話を入れなければならないことになるわけです。



―えーと、当日はボート2台のエレキも2台の…、


おや。


なにやらこのボート屋は魚探の貸出も行っているようです。





さて、ここで唐突ですが一つ僕の自己紹介をさせていただきます。



僕は、機械が苦手です。

特に、最新機器のたぐいが大の不得意です。


2年前に買ったハードディスクレコーダーの使い方が未だにわからない僕です。

スマホ歴は4年を超えていますが、今までにアプリのダウンロードは片手で数えるほどしか行っていない僕です。


とにかく、機械と聞くと無理なのです。

それに「最新の」などと付けば無条件に体が拒否反応を示してしまうのです。



僕の職業を知る友人の中には、「え、IT系の仕事をしてるのに?」なんて聞いてくる輩もいるのですが、

IT系だからといって機械もスマホもパソコンもなんでもかんでも得意だというわけではないと僕は言いたい。

むしろそのへんの知識は一般の方々と大差ないばかりか、往々にして教えられるケースも多々あるのだと声を大にして訴えたい。


では、そんな僕が魚探なるものを使いこなせるのかと聞かれれば、それは当然「NO」と言わざるを得ません。

それも腹の底から絞り出した万が一の聞き違いもない明朗で重低音の効いた完全なる「NO」です。



…ということは、当然魚探はかいてんさんか、ワカバヤシさんのいずれかにご担当いただくという結論になるわけでして、

僕は単に「魚探借りますが僕は使えないからよろしくね」と、しれっと二人に丸投げをしたのでした。








…ところが、それに対する二人からの返信は僕の意に全く反するものだったのです。


「俺、魚探使ったことないっす」

「僕もっす」






…なんですと?

一体何年バス釣りをやっていると思っているのか?

いっぱしにバサーを名乗っているくせに、未だ魚探の一つも使えないとは、恥ずかしいとは思わないんですか!




…しかし、使えないというものは仕方がない。

では魚探はキャンセルするか…。



「せっかくですから、借りときましょうよ」


―む、そうしますか?まぁ、二人が使いたいというなら別に構わないですが…。


「それまでにビジ夫さんが使い方を調べておくんですよ」




…人様に丸投げとは何事か、と僕は憤りつつも、

まぁ、なんやかんや何とかなるだろう、とあまり深く考えることをやめ、予定通り魚探もあわせてレンタルすることとしたのでした。




さぁ、これで全ての準備が整いました。

後はサンタさんを待つ幼稚園児よろしく、指折り数えながらおりこうさんで日々を過ごすのみです。


会社に9月4日の有給を申請し、当日打ち合わせを入れようとする空気の読めない営業を叩き返しながら、

そしてついに、いよいよ、9月3日の木曜日。


釣行の、前日です。



朝、出社した僕は真っ先に、「明日9月4日は有給をとります」と、あらためて仕事関係者に周知を行います。

ニヤニヤしている僕を見て、何かを察したのか、なぜ明日休むのかと聞いてくる者はいません。


今日は会社から帰宅したら、ご飯を食べて、オフロに入って、

そのまますぐに福島に出発し、夜通しかけて到着次第、釣行を始める計画なのです。


ちょっと体力的に辛いものがある計画ですが、どうせ仮眠を取ろうとしたところで寝られやしないのですから、それでいいのです。


その日一日をニヤニヤとしながら過ごした僕は、帰宅して予定通りご飯を食べてオフロに入って、

―じゃあ、行ってくる!と嫁さんに宣言すると、

「これ持ってきな」と、何やら袋を手渡されました。


中を覗いてみると、タオルケットやキャンプ用の毛布が詰まっています。



「もう、あっちの方はだいぶ寒いらしいよ」




…嫁ー!!





…いやいや、そんなことをやっている場合ではないのです。

礼だけ言うと、まずはかいてんさんとワカバヤシさんの二人を回収するべく颯爽と車に乗り込んだ僕だったのでした。






無事に回収を済ませ、車は首都高から東北道へ。


どうせ、道中二人は爆睡なのだろうと思っていましたが、僕と同じように興奮しているのか、あるいは運転手である僕に気を使っているのか、

社内の会話が途切れることはありません。




…ふと、フロントガラスにポツリと水滴が落ちてきました。

水滴はしばらくはポツポツと、しかしやがてザーッとフロントガラス一面を覆い尽くします。



―天気、どうなんでしたっけ。


二人に確認します。


「最初は曇り予報だったんですけどね、雨も降るっぽいですよ」


…車にはしっかりとレインウェアも積んであります。

昨年、磐梯山の天候に苦しめられた僕はちょっと大げさなくらいの防寒と、雨対策を万全に施してきたのです。


しかし、それが杞憂に終わるにこしたことはない、というのも本音。




「ただでさえ山の天候は変わりやすいですからね」



…それを経験している僕は大きくうなずきます。





9月の上旬。まだまだ夏を引きずっている関東と違い、既に東北の山々は秋に移行していると聞きました。

最低気温が10度を切るなんて情報もありましたし、レインウェアがあるとはいえ、そんな気温の中で釣りを続けるのは厳しすぎます。



―魚たちもすっかり秋モードなんでしょうね。




…言わでものことを聞いてみます。


わくわくそわそわとこの日を楽しみにしている間に、かいてんさんもワカバヤシさんも各々情報を集めていたようでしたが、

要約すると、8月の後半から桧原湖の魚たちは秋モードに移行し始め、9月にはすっかり移行が完了してしまうとのこと。




秋の釣り。


シャローからディープに魚が落ち始めて、カバーやストラクチャから離れてベイトを追い回すという時期。


正直に言うと、桧原湖に限らず秋は僕の大の苦手な時期です。



「7mくらいまで落ちているらしい」

「ワカサギの群れに付いているらしい」

「リアクションのキャロが効くらしい」

「フットボールのバンピングでもいいらしい」



…色々な情報が集まってきますが、なるほどね!というわけにはいきません。

僕にとっては、どれも未経験な釣り方です。


ただ、ベイトタックルでやれそうな釣り方も多い、というのが意外と言えば意外ではあります。

何しろスモールといえば即ちスピニング、というイメージが強いのが事実だからです。

それも深場に落ちているというならなおさらでしょう。



…魚探をかけて地形をイメージして、ベイトを探して、良い感じのところがあればキャロで探ったりジグを撃ったりしていく?

文章で書くとこんな戦略になるのでしょうか。


しかし、書けることとやれることは全く別次元の話です。

まして、自分にとっては限りなく初場所に近い場所。

そうそう、簡単に適応できるとは思えません。




…。

まぁ、でも、いいや。

あんまり色々考えたところで、どうせ結局は自分の引き出しの中で勝負するしか無いのだから。

好きなようにやってみるさ、楽しむために来たんだから。



かいてんさんとワカバヤシさんのバカ話に耳を傾けながら、そんなことを考えていると、

いつの間にか車は栃木県を抜け、標識に「会津」とか「喜多方」なんて文字が踊るようになっています。



…きたよ、福島。


思い返せば、一昨年から数えてこの道を通るのは3度めのはずですが、いつ来ても新鮮な興奮があります。




山を登ったり降りたり、濃霧に見舞われたりしながら、車は少しずつ、確実に磐梯山の麓へ近づいていきます。


―これが深夜でなければ、きっと素晴らしい景色が窓の外に広がっていたはずなんだけれども。

唯一それが残念ではありますが、しかしあと数時間後には、雄大な景色に囲まれながら念願の湖の上に浮かんでいるはずです。



車はただひたすら、ヘッドライトに照らされた道路を突き進んでいきます。




やがて高速を降り、一般道へ。

山を登り、桧原湖までの道中最後のコンビニと言われているセブン-イレブンに寄って、

そしてついに、出船を予定しているボート屋さんに到着です。



…いやー、長かった、遠かった。


バキバキになった体でノビをして、ひんやりとした空気をおもいっきり肺に吸い込みます。














桧原湖






346日ぶりの桧原湖。

僕が知るかぎり、もっとも美しい湖。


一昨年はただの様子見、昨年はぐぅの音も出ないほどコテンパンにやられてしまったけど、

今回はそうはいかないぞ。


今日という日のために、僕はある意味一年をかけて準備をしてきたのだ。


ついに、ギャフンと言わせる時が来た。



かいてんさんとワカバヤシさんと頷き合い、さっそくレインウェアを着こむと、

今日一日運命をともにすることになるボートを用意してもらうため、颯爽と受付に赴いた僕だったのでした。







…ということで、ここ最近あまり記事を書く時間がとれず、書きかけのうちのひとまず半分、前編を更新させていただきました。

なるべく速やかに後編も更新いたします…。


それと、何の脈絡もないタイミングでの告知となりますが、

第八回目の印旛水系釣り大会、これが僕とWestさん主催としては最後の大会となりますが、

その第八回目の大会を、11月7日(土曜日)に開催いたします。


非常に厳しい時期の大会ではありますが、これが最後ということで、

ぜひ、常連の方も、釣り友達を獲得したい初めての方も、大勢ご参加いただけると嬉しいです。


大会と聞くと何やら凄腕ばかりが集まるようで敷居が高く感じますが、ハッキリ言って今回は多分みなさん釣れません!

なので初心者の方も安心して(?)ご参加をご検討ください。


応募方法はWestさんのブログにてじきに公開される予定ですので、

公開され次第、僕のブログでも転載をいたします。


それでは、最後の大会を楽しく安全に開催できるよう、いつもどおりのお願いではありますが、皆様のご協力をぜひぜひお願いいたします。





後編に続く




「8月14日に亀山に行きませんか」とWestさんに誘われたのは、確か7月中旬くらいの頃でした。



―8月14日?

…何言ってんですか、平日じゃないですか。土日の間違いじゃなく?



「世間は盆休みですよ」





…ああ、なるほど、と思い至った僕だったのでした。

Westさんからすれば、僕の方こそ、何言ってんですかと言いたいくらいの感覚なのでしょう。




ちょっとだけ解説すると、僕が勤務している会社には盆休みというものがありません。

ただ、別に何が何でも休んではならないというわけではなく、

「世間的には盆休みだから休みたい人は業務に差し支えない範囲で休んでね」というスタンスです。



…ところが天邪鬼でならした僕にとっては、世間が休みだから自分も休もうか、なんて気分にはなかなかならないものです。


「普通は休み」というなら、それだけ暇を持て余したサラリーマンがその時期に世に溢れるというのは必然というべきなのでして、

きっと観光地やレジャー施設は大混雑、またはそれに至る道路はどこもかしこも大渋滞、なんてのは想像に難くなく、

何もそんな苦労まで世間一般に付き合うこともあるまい、むしろいつもより通勤電車が空いていていいわい、


僕にとっての盆とは、毎年その程度のものだったのでした。






―しかし、それにしたってWestさんから誘ってくるとは珍しい。

しかも亀山ということは一日釣行になるだろうに、大丈夫なんだろうか?



幼い子供がいるWestさん。

一緒に釣行するにしても、午前の早い時間まで、というのがいつものパターン。


同行者としてはちょっと寂しい気もするけれど、

家に嫁さんと幼い子どもたちだけを残して一日中ほっつき歩く旦那、

そしてその片棒を担ぐ僕、というのもなんだか居心地の悪い話ですから、それはそれでむしろ正常と言えるわけですが、

その日だけ特別ということなんでしょうか。



「その日なら嫁の許可が出ています」


いろんな幸運が重なった一日、ということでしょうか。

だったら、せっかくですからね。

僕もその日は空けるように仕事を調整しますよ。



いつも印旛水系大会に来て頂いている、タクさんとカタヤマさんにも同じように誘いがいき、

その日は4人で釣行しましょう、ということになったのでした。




ボートフィッシングに慣れている二人と、ド素人二人の組み合わせ。

それなら、玄人と素人の組み合わせで組んで2体2のゲーム形式にしましょう―。


自然とそんな流れになって、僕の相方はタクさんということになったのでした。



タクさんと亀山といえば、昨年もご一緒させていただいたもののその結果は散々なもので、

個人的には、その悪いイメージを今回の釣行で払拭できれば言うことはない。

しかもゲーム形式なのだから、タクさんに迷惑をかけるわけにもいかない。



こりゃあ、それなりに気合を入れていかないといけないぞ、と、

僕は普段の釣行以上に入念に準備を進めて、当日を迎えたのでした。







8月14日


この日の予報は直前まで雨模様だったものが、最新の予報では曇となっています。

真夏の釣行、むしろ降ってもらったほうが良い結果に繋がるような気もしていたのですが、仕方がない。



さて、この亀山ダム。

今更僕が紹介するまでもない、超々メジャーフィールドであり、千葉の代名詞と言ってもよいかもしれません。



「非常にタフだけれど、考える人には考えただけの結果を与える」

というのが、僕がイメージする亀山ダムです。



バサーなら誰しも憧れる、とんでもない見返りを与えられる可能性がある反面、

頭を使わないと満足する結果は決して得られない、シビアな面も持ち合わせたフィールド。



釣果情報だけに引き寄せられて、ちょっと行ってみるかと足を伸ばした挙句、

コテンパンにやられたバサーは枚挙にいとまがないでしょう。



そこで、もう二度と行くかと思うバサーもいれば、

畜生、ギャフンと言わせるまでやめられるかと思うバサーもいるはずです。







余談になりますが、バス釣りとはそれなりの覚悟を必要とする趣味です。


金銭的な面でも、時間も、何より続けようという根気に対して覚悟を必要とする趣味です。

あまり言いたくのない話ではありますが、僕がバス釣りを始めようと思い立った2010年、

バス釣りにここまでの覚悟を必要とするということを最初に知っていたら、僕は決して始めようとは思わなかったでしょう。



タックルは一度買ってしまえば半永久的に使えると思っていたし、

一度釣り場に出かければ、自分が思うままに、満足するまで魚は釣れてくるものと、そう思っていました。



しかし、やっている人なら誰しも知っているように、バス釣りとは決してそうではない。


わからないなりに考えなければ魚は釣れないし、

少しでも釣る効率を高めるためには色々なタックルを用意しなければならない。



一度魚が釣れたフィールドは一ヶ月後には別物になっているし、

一から考えなおすことが嫌なら、環境の変化を感じ取れるように通い続けなければならない。




僕は段階的にそれを知っていったから、今まで続けることができたけれども、

始める前にそのことを知っていたなら、「えー、そんなに敷居が高いなら、いいわ」と思っていたに違いありません。



僕は、それなりに釣りを続けている人がこの文章を読んでいてくれていることを前提に書いているけれども、

これから釣りを始めようと思う人がもしこの文章を読もうとしているなら、これだけは言っておきたい。


バス釣りはタフな趣味です。

金銭面も、時間も、根気も、

でも、それに見合うものが得られるからこれほど惹きつけられる人が多いのです。


不思議なもので、一度それを知ってしまうと、目の前の階段に足をかけ続けることが自然になって、

立ち止まることが「もったいない」と思えるようになってくる。



だから、細かいことは何も考えずに、まずはやってみてほしいと言いたい。

敷居が高いことは間違いないのだけれど、そこに一足飛びに至る必要はないのだから。




完全に余談でした。





ボートの用意を済ませ、タックルを積み込み、ジリジリと出船時間を待ちます。

いつものことながら、ダム釣行はこの時間が一番楽しい時間帯かもしれません。


タクさんとは事前に今日のプランの話をしてあります。

釣果情報では岩盤が良さそうということだから、シェードや風に絡む岩盤を撃っていこう、という方針を基本にして、

午前の早い時間帯はシャローで活性の良い魚を探してみようということになっています。

これは完全に僕の希望ではありますが、タクさんは快くそれを受け入れてくれました。





シャローをやるなら笹川方面に行ってみよう、とタクさんが言っています。

亀山の地形を知らない僕に否も応もありません。


みちみち、例えばボイルがあるとか、良さそうな状況があれば寄り道して…、



…お、5時半だ!

いよいよ出船です。



今日は満艇。

沢山のボートが様々な方向に向けて出発していきます。


バックシートから後ろを振り返ると、それなりの数のボートが後を追ってきています。

タクさんと同じようなことを考えている人たちがそれなりにいるということでしょうか。





岩盤と立ち木が絡むエリア。

立ち木の合間で、ちょっとしたボイルが発生しているようです。



「やってみますか?」


―やってみましょう!




手にしたのは、今年覚えたてのミノーです。

メガバスのVision 95。



ボイルが起きている地点から少し外したところに投げ、ジャークでその地点に寄せてみます。








…。


反応なし。





ルアーを回収するとまた同じ地点でボイル。

馬鹿にしてるのか。



僕がやるくらいのことは、きっと毎日毎日同じようにやり倒されているのでしょう。

人がやらないことを意識してやらないと、結果が出ないというのが、こういったメジャーフィールドの一種のクセのようなものです。



あまり深追いせずに先に進みます。



途中途中でタクさんが実績があるというポイントを撃っていきますが、反応はありません。

うーむ、こりゃひょっとしてシブイかなー、なんてことを考えますが口には出しません。

まだ始まったばかり、弱気に走るには早すぎます。




…ありゃ、Westさんとカタヤマさんが追いついてきました。



カタヤマ「爆釣ですわー!」












…まぁ、なんというんでしょう。

大会や試合におけるこういったやりとりというものは、「もうかりまっか」「ぼちぼちでんな」くらいの、

いわばテンプレート的なやりとりですから、

こっちだってさっきから入れ替えまくりですよーだ、くらいを言い返してさらっと流しておくこととします。






…すると、遠目にカタヤマさんがヒットしているではありませんか。

ただ、たいして引いてもいないようですし、ありゃどうせノンキーですわ、とタクさんと目配せしあってその場所を移動します。








…岸際がゴロタの岩場となっているエリアにやってきました。

さきほどのエリアと比較すると、明らかに浮かんでいる人が多くなってきています。


しかも、みんな岸際ではなく沖に向かって投げている。

投げているのはどうやらダウンショットやスモラバ…。





―なんだろう、どんな狙い方なんだ?




…すると、「ワカサギが入っているようですね」とタクさん。


なるほど岸際をよく観察してみると、ワカサギの群れと思われる魚影が時折確認できます。



「じゃあちょっとやってみましょうか」とタクさんはダウンショットを用意している様子。



僕は、どうしようか…。




地形的には、ゴロタに当てつつ巻いてみたいところだけど、根がかったら場を荒らしてしまうことになる。

だったら直上をミノーで流してみようか…。







「ジジジッ!!!」





突然のドラグ音に驚いて振り返ると、岸とは正反対の沖に投げていたタクさんのロッドがしなっています!









たく1



…おお、釣った。

しかも、何の変哲もない場所で。



「2,3メートルくらいのボトムでしたね。たぶん、ワカサギが通っているんだと思います」






…これです。この釣り。

ダムでなければなかなか経験できない、この釣り。



答えさえ聞けばなるほどと思いますが、普段の僕ならダウンショットなんてピン用のリグを投げようとは思わない場所。

少なくとも僕にとっては、なんの目印も目標もなく投げるべきではないように思える場所です。


こういう釣りは誰かが釣っているのを目撃しない限り、思いつきもしないでしょう。



…じゃあ、それにならって自分もやってみようとヘビダンを沖に投げてみますが、それには反応がない。


タクさんも、ここに魚がいることは間違いないと確信しているようではありますが、

ここはもともと笹川へ至る単なる通り道。



後でまた様子を見に来ましょう、と先へ進みます。





向かう途中でたまたま撃った岩盤。








亀山




着水してすぐにラインが走りましたが、残念ながら23cm。

キーパーに至らず。



お、これはひょっとして?などとしつこく付近の岩盤を撃つも後が続きません。


このところ、岩盤の調子が良いとのことだったのですが、今日はひょっとしたら正解ではないのかもしれない。



そんな考えが脳裏をチラリとよぎりつつ、先を急ぎます。






笹川。


岸にそってズラッとヘラ師の方々がボートを並べていますが、当然ながらシェード側を占拠しています。


日の当たる側の岸は変化には富むものの、魚の気配がありません。



―うーむ、シャローをやりたいという僕の希望にそってタクさんが選んでくれた本命エリアだったのですが…、

チラリとタクさんと顔を見合わせますが、渋い表情。


―ダメなのか。やはりここは希望が薄そうなのか。









…引き返します。







先ほどの「ワカサギが通っているかもしれない」場所。

岸際はたくさんの竹が枯れて水中に落ち込んでいます。


レイダウンとなった竹の合間を覗きこんでみると、何やらたくさんのギルが浮かんでいます。



―タクさん、なんかここめっちゃギルいますけど。


「バスも付いてそうですけどね。やってみます?」



―うーん、ただ、竹が密集しすぎていて、これじゃ掛けても抜けなそうですけどね。



「…まぁ、掛けた後のことは掛けた後で考えましょ」



―たしかに、それもそうですねぇ。




うなずいた僕でしたが、

とはいえ。



編み物のように入り組んだ竹の隙間は、大きいものでも幅が10cmあるかどうか、といったところ。



―こんなところで掛けてもなぁ…。




念のため、今日持参した中で最も強いタックルを手に取ります。

ロッドはXH、ラインはフロロ16ポンド。

そしてリグは10gシンカーのヘビーダウンショットです。




シンカーを10cm四方の竹の隙間に放り投げます。

スルスルと水中を沈んでいくリグ。




…すると突然、竹の隙間が真っ黒な何かに覆い尽くされるようにして、一瞬にして水中の様子がわからなくなります。



ほんの一瞬、混乱する僕。




まるでスターウォーズのオープニングの1シーンのように。

なにやら必死に攻撃をしている様子の宇宙船が画面を通り過ぎたと思った直後、

突如巨大な宇宙戦艦が画面全体を覆い尽くすあのシーン。


あれを初めて観た時と同質の衝撃が僕を襲います。




しかしすぐに我に返り、「今のはなんだ」と思う前に、僕の脳は既に一つの可能性を提示しています。




―今のは、リグを追いかけていった、バスの頭じゃないか?

それも、とんでもなく馬鹿デカい…、




そう思い当たった瞬間、全身の鳥肌が立って毛が逆立つ感覚が自分でもわかります。




―今、まさに沈めているリグをそのまま沈め続けるべきだろうか?それとも止めるべきだろうか?






…しかし、そんなことを僕が迷う間もなく、













…ドスン!!!!












手のひらから大量の汗が吹き出します。

リグを隙間に放り投げてからここまで、かなり時間が経っている感覚を覚えますが、実際は1,2秒というところでしょう。



口の中が急速に乾いて、ろれつの回らない舌で夢中で叫びます。









―喰った!!デ、デデ、デカい!!!!!









ラインがキュンキュンと唸りをあげます。

XHのロッドは根本まで折れ曲がり、リールシートがミシミシと悲鳴をあげています。




…そう言えば、デカいバスを掛けると、ロッドはこうなるんだったな。





予想外の大きなバスが掛かって慌てふためく自分と、不思議なことにどこか冷静な、もう一人の自分がいます。






―とにかく、浮かせてこられるか。


竹の隙間を抜くことはできなくても、水面近くまで浮かせることができればチャンスがあるかもしれない。






…ぬおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!、上がれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!







タックルの強さを信じて、抵抗するバスを無理矢理水面近くまで引っ張り上げます!







…ゴゴッ!!





竹にぶつかる感触。


…やっぱり、あの隙間を抜くのは無理か、でも、ここまで上げられれば後は手を水中に突っ込んで…、






…。

…って、あれ?





ウンともスンとも振動が…?




え、ウソ?


まさか!?










水中に沈んだ竹の一部に、ガッツリと引っかかっている5/0フック。




―バスが竹に引っかかって、これ以上はあげられない!


…と思っていたら、いつの間にかバスは外れて竹にフッキングしたまま、ウンウンと引っ張り上げようとしていた僕だったのでした。










…ああああああああああああああああああああああああああ…。



ウソ、ウソだ!


ウソに決まってるあああああああああああああああああ!!





―いつだ、いつ外れた?


水面ギリギリまで引っ張りあげたとき?

その前に、引っ張り上げるために無理したとき?

更にその前、最初に喰った直後か?

ていうかそもそも、喰ってたのか本当に?




…呆然。




…しかし、あの竹の隙間を一瞬で覆い尽くしたバスの魚影が、ハッキリと瞼に焼き付いている。






―デカかったぁ。



僕は間違ってもデカバスハンターというわけではありませんから、過去の経験と照らし合わせるなんてことはできないわけですが、

とにかく、馬鹿デカかった。

そうとしか言い様がない。




…未だこの10秒ほどの出来事が信じられないような、フワフワした気持ちのまま振り返ると、

同情に満ちたタクさんの視線が痛い。




―すいません、獲れませんでした。


「…しょうがないですよ!」





…立場が逆でも、そう言うしか無いでしょう。

そう言えばすっかり興奮して忘れていたけど、今日は試合形式なんだった。


ごめん、タクさん。




…ちょうどお昼ですし、移動しましょうか、と、

昼食をとれるボート屋へ操船してくれるタクさんに甘えて、

後ろの席で、しばし先ほどの余韻に浸る僕だったのでした。













午後。



昼食を済ませ、再び湖上の人となると、忘れていた眠気が二人を襲います。


前日は当然のことながらフルタイムで勤務していた二人。

睡眠時間はほとんどありません。


…休んでしまえよ、楽になるぜ、と脳みそが訴えかけてきますが、フン、僕をそんなに甘く見積もるなよ、と、

なるべく手先をよく動かせるような、巻物をメインに使っていきます。




無心でグリグリと巻いていると、ふと、タクさんが振り返って


「もう、今日はあそこらへんでやり通していいと思うんですが」





―タクさん釣ったとこですか。

たしかに、生命感アリアリでしたしね。


異論ないですよ、行きましょう。




ワカサギが通っているかもしれなくて、ギルがわんさか溜まっているポイントへ直行します。






…試しに、ゴロタになっている岸際にミノーを投げてチェイスを確かめてみます。



…おお、

いるいる!40アップを目視確認!




…しかし喰わないか。

こちらから見える範囲にいるバスは、やはり相当プレッシャーが高いのか。


距離をとって完全ブラインドから攻めるとか、ストラクチャと絡めるとか、もう一工夫が無いと…、






…バシャシャ!






たく2


…おお!タクさんまた釣った!


立ち木周辺のボトムか?

やっぱり、浅いところにいるバスはそれだけ警戒心が強いってことなんだろうなぁ。



カバーとか、ストラクチャ…、

ブツブツ言いながらデカバスをバラした竹やぶを覗き込みます。





…うむ。

相変わらず魚ッ気がハンパない。

さっきのようなチャンスが早々あるとは思えないけど、これは撃たないわけにはいかない。


そもそも、こんなゴチャついたところにヘビダンを放り込んだのが間違いではないのか。


リグを10gシンカーのテキサスに変更します。




…目に見える穴という穴に放り込んでいきますが、しかし、反応なし。

やはり、そんなにうまい話はないということか。二匹目のドジョウはここにはいないのか。



それでもしつこくしつこく、竹の隙間を狙っていきます。

これでもか、これでもかと、竹の隙間にリグを放り投げていきます。



テキサスでダメならラバージグを投げてみよう。

ラバージグでダメなら直リグを投げてみよう。



思いつくことはなんでも試してみましょう。


なんでもかんでも放り投げていきましょう。









…しかし、反応が、ない。





…じわじわと帰着時間が近づいていきます。


ここに魚がいるのは間違いない。

間違いないんだけど、やはり、執着しすぎではないかという気がしてきます。


残り時間はもう1時間もありません。

決断するなら今だけど、しかし、いまさら移動したところでまた一から魚を探していって、

果たして都合よく釣れてくれるものだろうか?


ここに魚がいることは間違いないのに…。






…んん、んんんんんんん…。





…タクさん!





「はい?」




―移動しましょう!

シェードになった岩盤やりましょう!



迷った時には初心にかえる!

今日は岩盤を基本にしようと言っていたのだから、後悔がないように岩盤で終わろう、

そう決めた僕に、既にリミットを揃えてあとは僕に釣らせるだけ、というタクさんに反論があろうはずもありません。



似たようなことを考えているライバル達の隙間をぬって、空いている岩盤へ直行します。

50cm間隔でテキサスを投げ続けますが、しかしやはり反応がない。


帰着時間ギリギリ、やはり既に撃ち尽くされているのか。

しかし、ルアーを投げ続けている限りは、たとえほんの少しだとしても可能性はあるはず。




…ふと見やった先に、岩盤のちょっとしたエグレがあります。

エグレにはゴミが折り重なっていて、ライトリグで流している人なら、まずあそこは撃たないだろうな、と直感します。




…僕が手に持っているのはなんでしょう?


そうです、10gシンカーのテキサスリグです!



迷うことなく、ゴミの最奥を狙ってキャストします。

ジャボン!という音とともにゴミを貫通するテキサス。



貫いて、沈み始めたかどうかというところ







…ゴン!!!









!!??





…きた??


これが起死回生の一本となるか。



…ちょっと送り込んでーの、せーのぉ!!


渾身のフッキング!!







…ギュギュン!!!






…乗った!?これもデカイ!






…ぐ?あれ、でも巻けない?ゴミに巻かれてる??



水面で水しぶきをあげるバス。


「ボートを近づけるから無理しないで!」と後ろからタクさんの声が聞こえますが、

耳には入っても頭には届いていません。



―太い竹が邪魔してるんだ。

あれを乗り越えさせれば大丈夫なはず!


…ぐぬううううう!!!!




…重い!!








おも…、あれ…?








ボートはゆっくりと、問題の竹ゴミに近づいていきます。

そこで目にしたものは、竹ゴミの幹を貫いて寂しく水面にたゆたっている5/0フックだったのでした。















…帰着して、結果発表。

当然、負けです。

僕のせいだ、ごめんタクさん…。



一本目はしょうがないにしても、二本目は獲れたバス。

二人乗りのボートなんだから、無理する必要は全くなかったはずなのに、気負って自分だけでなんとかしなきゃと思い込んでしまった。


チーム競技としてのメリットを考えられなかった、僕の完全なミスです。



「しょうがないですよ、逆の立場でも同じことしてたと思いますよ」


…タクさんの慰めが心にしみます。






…しかし、やはり思い返してみても、

他の人がやらないだろうな、と思ったことをやったときに、大きなバスが喰ってくる気がする。


これはおそらく気のせいではないでしょう。

そしてこの気付きが、亀山のようなメジャーフィールド特有の面白さへの第一歩なのかもしれません。



…しかし、タフな場所だ。

魚を釣るだけなら、迷わず他を勧めたいくらいの、タフな場所。



でも、ここの楽しみは魚を釣るだけじゃない。

プレッシャーのかかった状況すら、ここでは面白さの一因です。




―次はまた来年かな。


次に来る時も、亀山はまた万全のプレッシャーで、僕を迎え入れてくれるのは間違いありません。