「現場のことは、古参のベテランに聞かないとわからない」 「先代の頭の中にある『勘』が、自分には受け継がれていない気がする」

これから会社を継ごうとする後継者の方から、そんな不安を伺うことがあります。 実は、事業承継の最大の壁は、相続税でも株式でもなく、現場で起きている「情報のブラックボックス化」なのです。

今回、私が注目したのは、製造業である「理化工業株式会社」様の「IT導入補助金2020」の活用事例です(https://it-shien.smrj.go.jp/pdf/article/jirei-rika.pdf)。この活用事例を「事業承継」という観点から探ってみたいと思います。
(なお、実際には「理化工業株式会社」様と「事業承継」とは関係ございません。予めご了承ください。)

 

1. 「紙と記憶」に頼る経営の限界

かつての「理化工業株式会社」様では、工程管理はすべて手書きの伝票。進捗は各担当者の「記憶」の中にしかありませんでした。 この状態でバトンを渡されるのは、いわば「計器類がすべて故障した飛行機」の操縦を任されるようなものです。後継者にとって、これほど怖いことはありません。


2. IT導入は「管理」のためではなく「信頼」のため

同社が取り組んだのは、工程管理ソフトによる「見える化」でした。 ここで強調したいのは、ITを入れたことで起きた本当の変化です。

  • 情報の民主化: ベテランも若手も、そして後継者のあなたも、同じデータを見て対等に話ができるようになった。

  • 心理的安全性の確保: 「言った言わない」の争いが消え、現場に「次は何をすべきか」という自律性が生まれた。

【経営課題】
・製造現場での帳票類が手書きのままで労力がかかっていた。
・記入ミス、システムへの再入力が発生していた。
・ 新しい基幹システム内のデータ(入出荷、加工履歴情報等)を毎日既存システムへ移行する必要があった。データ量が多く、再入力の手間もかかっていた。

【対応策】帳票を電子化し、ペーパーレスを実現!
・経営者自らが経営計画にIT化を組み入れ、電子帳票ツール、RPAの導入に至った。
・iPadを活用し、設備点検記録を電子帳票化できるようになった。
・RPAの活用により、新しい基幹システム内のデータを既存システムに自動で移行できるようになった。

【ITツール】
・i-Reporter 基本パッケージ ライセンス費用
   生産現場の手書き帳票を電子化する電子帳票ツール
・WinActor フル機能版 年間ライセンス
・定型業務の業務効率を支援するソフトウェア型ロボット(RPA)

【成果】
・夜間・休日もRPAフル活用。
・業務の自動化・無人化により人件費を削減!
・RPAの活用で生まれた時間をデータ分析や事業アイデアの検討に活用。
・電子帳票化により現場作業者の負担低減につながった。今後、製品の質、利益率のUPを目指し本格導入推進、品質管理にも活用予定。


3. PMI(引き継ぎ後の統合)という視点

私が専門とするPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の観点から言えば、IT導入は最高の「組織の接着剤」になります。 先代の「勘」を「データ」に変えること。それは、後継者が自分の代で新しい挑戦をするための「守りの基盤」を整えることでもあるのです。


4.結びに代えて:つないだバトンを、確かな「成長」へ

事業承継は、単に古いものを維持することではありません。 ITという武器を使って、今の時代に合った「強い現場」を再構築する絶好のチャンスです。

「これなら、自分にも経営ができる」 そう思える環境作りを、私は全力でサポートしていきたいと考えています。


尾﨑中小企業診断士事務所 代表 尾﨑 友和 
URL:https://ozaki-smemc.com/
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