軍産複合体
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世界の軍備が意味するところは、単なる物質の消費ではありません。 |
この文章を見聞きされたことはありますか? さしずめトランプ大統領ならば「共産主義者のプロパガンダ」とでもいうことでしょう。
実際には、元連合軍最高司令官の地位にあった軍人であり、第34代米国大統領を務めたドワイト・D・アイゼンハワーの演説(「平和の機会」演説1953年4月16日)の一節です。
↑軍産複合体の脅威を警告した第34代大統領アイゼンハワー
アイゼンハワーはまた次のような言葉も残しています。有名な大統領離任式のTV演説(1961年1月17日)で語ったものです。
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政府の審議の場では、軍産複合体(military‑industrial complex) が、求められたものであるか否かを問わず、不当な影響力を獲得することに対して警戒しなければなりません。誤った権力の破滅的な台頭の可能性は存在し、そして持続するでしょう。 |
軍産複合体(軍事と産業の結合を意味するアイゼンハワーの作った言葉)が、「私たちの自由や民主主義的プロセスを決して危険にさらすことのないように」と警告するなんとも含蓄ある言葉ではありませんか。
今回、アイゼンハワーの言葉を取り上げたのは、わが国で防衛産業を「経済成長を支える産業」にすることが公言される異常事態となっているからです。
確かに、観光くらいしか資源もなく、失われた30年の間に自動車産業やロボット産業でも他国に立ち遅れ、これといった産業もない日本ですから、経済をけん引する産業の創出を望む気持ちはわかりますが、それがなぜ防衛産業なのでしょう。
国民が貧しくなって物が売れず、技術力・開発力も落ちてTVも外国製品が幅を利かす時代ですから、日本企業を儲けさせるには税金をつぎ込んで経済を軍需産業化すればよいと安易に考えたものでしょうか。
経済力も技術力も劣り少子高齢化の日本が、大国と現代的な総力戦といわれる戦争をやって勝てるとは誰も思っていないことでしょう。おそらく危機感を煽り小競り合いあたりは覚悟して、防衛費を増やしていけばよいくらいに思っているのでしょうが、負けるとわかっていた戦争を止められなかったのが戦前の日本、始めたら簡単には終わらないのが戦争であることはウクライナ戦争でもあきらかになったことです。
何よりも資本主義では利潤の追求が規定的動機であって、搾取をしたいと思おうが思うまいがもうけて拡大再生産を維持できなければ競争に負けてしまうのが定め。軍需産業とて同じで、米国でもどれだけ有名な企業が淘汰、吸収合併されたことか。兵器は超高額であっても、またそうあるだけに、すぐには更新にならず次の受注までの期間を待たねばならないし、受注に失敗すれば大変です。経済的波及効果だと捕らぬ狸の皮算用をされても…。大企業から国民へのトリクルダウンがありえないことは定説で、これとて軍需産業も同じでしょう。
戦争を待ち望むとは言わないまでも、死の商人と呼ばれるのが軍需産業です。政治に携わる方々には、歴史に学び、今一度アイゼンハワーの言葉をかみしめてもらいたいと切に思います。
私たち国民も、「できるだけ防衛費も増やすのだから自衛隊は我々を守ってくれるだろう」なんて安易な考えは捨て、人任せでなく自身が銃を持ち前線で戦うくらいのつもりになって、真剣に問題に相対し考える必要があるように思います。







