↑F-117A Nighthawkに随伴するT-38 Talon
Talonの尾翼にはF-117Aを示すシルエットが描かれた白い帯が入り、胴体下のポッドには同じくF-117Aと自身のT-38を示す白抜きの機影と「チーム・ホロマン」の文字が白く記されています。
撃墜されたステルス機の出撃基地の疑問
T-38 Talonは長年使われてきた機体ですので、ペイントが豊富で見飽きません。ホロマン空軍基地を拠点とする第49戦闘航空群に所属するT-38は黒一色にペイントされ、機体の下にあるポッドも黒色、そこに白い文字で「戦う49」だとか「チーム・ホロマン」のロゴが描かれていて洒落ています。
ホロマン空軍基地はニューメキシコ州のアラモゴルド近郊にあり、1942年に陸軍の基地としてスタート、戦後1948年に空軍基地として再指定され、ドローン、ミサイルなどのテストエリアになり、可愛そうなチンパンジーを使った宇宙飛行訓練もおこなわれるなど、米国の兵器開発の一端が伺われる歴史に興味が湧くところでもあります。
基地の管轄は、1968年より第49戦闘航空群が務め、2018年に航空教育訓練軍団(AETC)に再編されています。
ホロマンでは、それまでのF-15 Eagleにかえて、F-117A Nighthawkをホストすることになり、その準備として1991年よりLIFT(戦闘機前段階練習機)型のAT-38Bが導入されました。その後F-117Aの退役が決まり、2006年よりF-22 Raptorへ移行した段階では、すでにT-38Aがチェイス機となっていたようです。2014年には早くもホロマンでのRaptorの時代が終わり、それとともにT-38もお役御免とあいなります。
ところでコソボ紛争では、初の実用ステルス機とされるF-117Aが、はるばる大西洋を越えてベオグラード近郊まで進空したところで撃墜されてしまいます。1999年3月27日のこと。「見えるはずのない爆撃機」を「狙い撃ちにできた」のが、当時のユーゴスラビア連邦共和国防空軍のS-125(SAM-3)ミサイル。旧式なミサイルシステムでしたが、レーダーを改造しステルス機を探索可能にして待ち構えていたのでした。
知らなければ怖いものなしですが、裸の王様状態のこのF-117Aが出撃した基地はどこだったのでしょうか。ネバダ、あるいはトノパーテストレンジ空港からとされていますが、上述のようにホロマン基地がF-117Aをホストすることになって、一部ネリス基地へ移動したものはあるようですが、1992年7月8日のF-117Aの移送を最後に、トノパーの第37戦術戦闘航空団は非アクティブ化され、当該時期のトノパーはもぬけの殻状態でなかったかと思われます。ホロマン基地から出撃と見るほうがよほど妥当です。
前回触れた大統領府爆撃のF-5といい、出撃基地という初歩的事項すら結構怪しいなんて、Wikipediaを含めて安易にネットを信じるのはよしたほうがよさげです。
偉そうなことは言いながら、自分では次の画像のF-22のようにテールコードを適当に似せただけのフェイク画像を載せているのもどうかというものです。
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| ↑見たことのある写真の構図に似せたF-22 Raptorと随伴するT-38 Talon こちらのTalonは尾翼と胴体下ポッドにF-22を示すシルエットが描かれ、同じポッドに白く「戦う49」と記されています Raptorの方もテールコードを改めそ少しだけペイントをいじりました。 |
さて、現在のホロマン空軍基地は、F-16 FightingFallcomの時代(2014年〜)、UAVのMQ-9 Reaperの時代(2009年〜)となっているようです。

