人じゃないです
監督：石井裕也
原作：辺見庸
脚本：石井裕也
撮影：鎌苅洋一
照明：長田達也
音楽：岩代太郎
企画・エクゼブティブプロデューサー：河村光庸
出演：宮沢りえ、磯村優斗、二階堂ふみ、オダギリジョー、長井恵里、板谷由夏、原日出子、鶴見慎吾、高畑淳子
作品名「月」
2023年10月13日公開
上映時間：144分
なかなかブログに綴ることができない日々が続いたけど、
この作品はどうしても書いておかなくちゃと思った。
僕の中では、宮沢りえのアカデミー賞主演女優賞です。
重度障害者施設での殺傷事件。
あの事件を題材にした辺見庸原作。
堂島洋子（宮沢りえ）は小説家だが、ある作品がヒットしたあと、
小説を書くことができなくなり、ある障害者施設で働くことになった。
その施設には先輩女性社員となるおなじ「ようこ」という名の
坪内陽子（二階堂ふみ）や、好青年の印象からあの事件を引き起こす
さとくん（磯村優斗）らが勤めている。
慣れない仕事に心配する洋子の夫 昌平（オダギリジョー）
障害者施設で働くことに、現実の問題と、現実の実情が描かれる。
実際に起きた事件を知っているから、その予想される展開はやってくるのだが、
僕が最も印象に残ったのは、その衝撃のシーンよりも、洋子やさとくんが
投げかける言葉。
これほど観る者の胸に心に突き刺さる言葉が映画の中にあっただろうか。
映画を観ながら、自分の心が痛むほどに投げかける言葉。
特に洋子が何度も何度もさとくんに強くぶつける「絶対認めない！」のシーン。
自分が決して正しいことをしているとも思っていない、
自分も同じ卑怯な人間、
そう感じながらも、さとくんに投げつける、
それは説得ではないのかもしれない、
実際の事件が起こっていて、
もう過去には戻れない、
けれど、それは絶対ダメで、絶対認められないもの、
それをひたすらに、実際の事件当日の犯人に向かって、
そしてあらゆるこの差別意識、あらゆる差別の根底にある無意識の概念に向かって、
叫んでいるかのようで。
今、ここに綴りながらも、同時に1,300円のパンフレットも読んでいるところ。
この映画を観て、
このパンフレットも必読。
プロデューサー河村さんの作品で「新聞記者」も衝撃を受けたが、
僕の中ではそれを超えるものだった。
そして、「湯を沸かすほどの熱い愛」の宮沢りえを超える作品になったと感じた。
あとはまだ上映中の映画館もあるので遠慮しておくが、ぜひ多くの方に観てもらいたい。
そして感じてもらいたい。
