VINTAGE FIVE STATE 修理の実績(79) PROPHET-5 オーバーホール | Vintage Five State

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SEQUENTIAL CIRCUITS PROPHET-5

SEQUENTIAL CIRCUITS PROPHET-5 rev.3の修理を受付けました。

 

年明けから、PROPHET-5の修理依頼がドドッと来ましたけど、その中の一台です。

 

MIDIなしでしたけど、個人的には、MIDIなしって潔くて好きなんですよね。

 

 

内部

動作チェックしてみると、こんな感じ。

 

1)鍵盤はガタガタ  キー接点の接触不良 多数

2)パネル ツマミの接触不良 多数

3)プログラムメモリー 消失

4)VCOの音程ズレ 1ボイス 

5)VCFの音色がおかしい 1ボイス

6)電源ケーブル 皮膜破れ

7)ベンダー センタークリックが弱い

8)MODホイールが効かない

 

故障箇所が多いですが、年数が経ったのPROPHET-5だと、ありがちな状態です。

 

 

キーボード

お見積りを出してOKをいただいので、修理に取り掛かります。 まずは、キーボード。

 

キーのインシュレーターゴム

経年変化で硬化してしまった、キーのインシュレーターゴムを全交換します。

 

キー接点

キー接点が折れていたので、補修とあわせて、キー接点が折れないように対策。

 

キー接点に「VFS」洗浄/保護処理を行なって、接点の接触不良を解消。

 

このあと、鍵盤の並びを調整して、キーの「潤滑」をすることで、新品同様の弾き心地が復活します。

 

 

つぎに、皮膜破れしていたACケーブルを交換。  皮膜破れは、感電やショートが怖いです。

 

内部の配線コネクターも、ここで「VFS」洗浄/保護処理しておいて、故障の原因を潰しておきます。

 

これをやっておかないと、原因不明の症状に悩まされることもあります。

 

 

パネル基板

それが終わったら、接触不良になっているパネル基板のボリュームをメンテ。

 

ボリュームの接点に「VFS」洗浄/保護処理を行ない、軸を「グリスアップ」して、回し心地がスムースになるよう復活します。全部で26個。

 

 

CPU基板

つぎに、プログラムメモリーの消失を修理します。 

 

CPU基板のバッテリーの電圧をチェックしたら、「0V」! 

 

これじゃ消えますねということで、新品に交換します。 問題なければ、10年以上は持つでしょう。

 

 

MODホイールが上げても効かなかったのは、使用している「IC」の不良でした。

 

これも、そのICを交換します。

 

 

シンセ基板

つぎに、調子の悪いVCOとVCFの修理をしていきます。

 
VCOは、ICを交換して、音程が安定するようになりました。
 
VCFも、ICと直近の抵抗を交換することで、音色が正常に戻りました。
この修理は大変でしたけど、PROPHET-5は、これでも修理がやりやすい方です。
 
 
最後に、アナログシンセ音源を調整して動作確認したところ、問題なし! 修理完了!
 
プログラムデータをロードして、それぞれの音色もチェックします。
 
さらに、ちょっと時間をおいて、最終チェック。
 

 

YAMAHA HS8

YAMAHA HS8で試聴すると、「PROPHET-5」らしい音がきちんと出ています。
 
修理完了ということで、軽くクリーニングした後でお客様に納品。
 
PROPHET-5のオーバーホールは大変ですけど、きちんとやれば新品同様に復活します。
鍵盤の並びに、わずかにバラツキが残りますので、ご容赦お願いします。

 


 

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