みなさんは、おしゃべりしていた相手が
こちらを無視してスマホを見だした、
なんていう経験はありますか?
日本語ではこの状況を一言で指す単語はありませんね。
でも英語にはあったんです。
phubbingです。
杉田敏先生の『現代ビジネス英語』(NHK出版)から
興味深い語彙やアメリカの現状についてちょっと紹介するシリーズ、
今回は2025年冬号からです。
p.100に定義を含んだ文が載っています。
One way that phones have hurt our relationships
is through "phubbing" ―
the habit of snubbing of a habit
of snubbing a physically present person
in favor of a mobile phones
when we break away from a conversation
to look at our screen.
snub 無視する、冷たくする、相手にしない
physically present 物理的に存在する
in favor of ~ ~のほうを選んで[好んで]、
break away from ~ ~から(突然)離れる、~から外れる
携帯電話が人間関係を傷つけてきた1つの方法は、
「ファビング」によるものです。
ファビングは、
実際にその場にいる人を無視して
携帯電話を優先し、
会話を急にやめて画面を見る習慣を指します。
p.102にはphubbingの説明が
あらためて載っています。
この語はphoneとsnubbing(無視すること)の合成語で、
会話中に自分のモバイル端末に気をとられて、
目の前の話し相手を無視することである。
このあとvignetteでは
携帯電話に最も依存している人は
ファビングする人(phubber)になりしがちだという指摘がなされ、
小中学校では
一部の生徒がファビングし始める
↓
ほかの生徒は自分の携帯をださねばと
プレッシャーを感じ出す
↓
あっという間に学校全体の文化が変わってしまう
という連鎖反応が描かれています。
おしゃべりをやめて、
みんな黙ってスマホの画面を見るようになる。
背筋の寒くなる見取り図です。
実はこのvignetteはブランコが
「PTAの会議で生徒が学校で携帯電話を使うことを
許可すべきがどうか活発な議論がなされた」
と言ったことが発端となっていました。
皆さんの学校や、みなさんのお子さんの学校でも
それぞれの対応策が講じられていることでしょう。
それなりに落ち着いてきているような気がしますが
どうでしょう。
最後にスマホの積極的利用の例をあげましょう。
以前勤めていた高校ではある若い英語の先生が、
自分のスマホに生徒の発表原稿を送らせて、
プロジェクターを使った生徒のプレゼンに役立てていました。
そのみごとさに舌を巻くか、
それくらい当然と思うか、
というギャップはしばらく続きそうです。