時空を超えたタイムトンネル< パサージュ博物館>へようこそ!
朝の光線、長くも短い夢のトンネルを抜け出て
現実という世界に我が身は暫したゆたう
だが次に向かう先も19世紀の夢を真空パックした
パサージュという名のタイムトンネル
このトンネルは奥深く出口が見えない
過去と現在、タイムスリップを繰り返すうちに
ある時それぞれの記憶の断片が一瞬で
ジクソーパズルのように繋がる悦び
だからさらに深く奥へと突き進んでいく
光を、出口を求めて
パサージュ・デ・パノラマはパサージュの代名詞と呼ぶに相応しい存在だ。
モンマルトル大通り11番地の入り口
まずはこちらからどうぞ
パサージュを語るのに忘れてはならないのがやはり老舗。
1800年初頭に開通のパノラマと共にずっと歩み続けてきた活版印刷の店。
STERN Graveur(ステルヌ)
店の紋章ライオンとSの頭文字とを組み合わせた看板
だが実は今回御紹介しようと思っていたのは別の店だったー。
一目でショーウィンドウに釘付け!!写真は撮ったがそれ以上の詳しいことは判らずじまい。
写真だけの情報を基にいろいろと調べているうちにあれっ?!となった。
以下、私vingt-sannの名(迷)探偵ぶりをとくと御覧あれ!!
まずはリブログ記事のほうでも取り上げたこの写真。
2008年7月当時に訪れた時は柱周りのディスプレイの演出に心惹かれた。
ご覧のように一見は夏のsoldes(sale)のポップが目立つ婦人服店。
再び眺めて感じたこの写真への既視感(どこかでみたような気が…)
それはやはりこの黄色の柱周りにあると確信した。
左の柱文字はパッサージュ・デ・パノラマ、右の柱文字はギャルリ・デ・ヴァリエテ(歩廊)
これはパリの街角の住所を表すプレートと同様、この店が2つの通りが交わる場所にあるということだ。
因みにヴァリエテ歩廊とはこのパッサージュの特徴である4本の支脈のうちの一つを指す。
この先は実際にパッサージュの中に入って調査を進めてみることにしたい。
モンマルトル大通り側の入り口(左側)からメイン通りを真っ直ぐ進んで行き
およそ2/3ぐらい来た地点で周囲を見渡してみたのが下の写真
この写真から調査に関わる幾つかの具体的な事実を知ることが可能である。
その前にトリビアを一つだけ。写真〇のガス灯に!ご注目を!!
リブログでも触れたがイギリス人ウィンザーにより1817年に試験的に導入されて後、
このガス灯はパノラマの売り物となったばかりかパリ中に普及していった。
それとほとんど同じような型のガス灯がこの町にも…
私が住む国立市大学通りのガス灯である
PARISから取り寄せたということである
調査を続けよう。
今度は真ん中より右側の〇で囲った部分に注目してほしいのだが、
これはさっき拡大して見てもらった柱の場所である。
住所はGalerie des Variétés, 47 passage des Panoramas
またその少し上に看板→で示した先にあるのは裏側からでわかりにくいが、
STERN Graveur(ステルヌ)のライオンマークの看板なのだ。
ということは…おそらく皆様のご想像どおり…
STERN Graveur(ステルヌ) ※1830年創業の活版印刷の店
ごの看板を見れば一目瞭然。1834年の改装後は店構えがほとんど変わっていない。
名刺、カード、ボタンなど多くの商品が並ぶ。(出典/パリ華のパサージュ物語/荻野アンナ著)
高品質な製品は王侯貴族を始めとしてクライアントは世界中に。パリの有名レストランの
メニューにメダル、紋章、銀行の紙幣、証券などの仕事を一手に引き受ける。
ちょっと待って play back play back
それなら2008年7月にSaleをやっていたあの婦人服店の存在は
ここまでお付き合い頂いた皆様にそろそろ謝らなければならないことが…。
実はステルヌの店はもうとっくに閉店していたのである
私の推理によれば、老舗として頑張ってきたステルヌも時代の波には抗えず?
2008年の何月か断言はできないが、私が訪れた7月前に店を閉じたのだ。
その後空き店舗になった場所をSale期間中のみ婦人服店が借りたと思われる。
そうか~なるほどね ( 納得していただけましたか)
それで現在ここの場所はどうなっているかといえば、
※ 画像拝借
「あれっ?黄色の柱も看板も元のままじゃないのでも何か雰囲気が…」
「あの店の前にたくさん並んでいるテーブルと椅子は?」
「それよりもショーウィンドウを御覧なさいよ。何か動物が!!犬みたいなのが2匹向かい合って…」
もっと近づいてよく見ましょう
Caffè Stern
Galerie des Variétés, 47 passage des Panoramas 75010 Paris
え~と皆様、私vingt-sannがここで御説明を
まずこの動物は犬と言えば犬であると言っても間違いはないが、
正確には食肉目イヌ科イヌ属でオオカミの近縁にあたる<コヨーテ>であります。
「コヨーテ」
そうです。小型の剥製なのです。
「剥製、でも翼が付いてる。ペガサスじゃあるまいし」
それは一先ず置いときましてこの店がどういうものかをまず御説明すると、
2008年閉店。6年後の2014年9月にはCaffè Stern(カフェ・ステルヌ)として再開。
カフェといえどもれっきとしたベネツィアの三ツ星シェフが経営するイタリア料理店であります。
ここでもう一度私の最初の言葉を思い出してほしい!!
<だが実は今回御紹介しようと思っていたのは別の店だったー>
それはこのカフェ・ステルヌのことだったのだ
個性的な内装を手掛けたのはデザイナーのフィリップ・スタルク
最初この翼のある動物を見た時は驚いたし、なんの店か見当がつかなかった。
2009年にステルヌの家具及び装飾品は歴史的建造物として登録されたために、
外観および内装などはそのまま生かされているという。
今度行く機会があればぜひその内装と、本格的イタリアンを堪能してみたい。
100€ぐらいなら、清水の舞台から飛び降りたつもりになって。
よろしければぜひコチラも→パサージュ・デ・パノラマ< 心に残ったものたち>
よろしくお願いします