Geisberg ガイスベルグ
Ribeauville リボヴィレ
力強い酸味と信じられないほどのフィネスが、「山羊の山」ガイスベルグが生む偉大なリースリングの特徴。子山羊の敏捷性を盗んだかのような精密さと明確さ。
- 土壌の種類 泥灰土・石灰岩・砂岩
- 栽培面積(ヘクタール)8,53
- 畑の方角南
- コミューンリボヴィレ
- ALTITUDE250~320m
- ブドウ品種(割合%)
- リースリング 100%
-
ワイン
泥炭土・石灰岩土壌の特徴である力強い酸味、しかし、このテロワールの独自性の大部分はこの酸味の中にこそ見いだせます。クリスタルのような非常に繊細な酸味は、他とは一画をなす。
テロワール
リースリングに相応しいガイスベルグのテロワール
果肉またはレモンなどの柑橘類のゼストをほのかに感じさせる、洗練された魅惑的な香りがあります。口の中では、きれいに造りこまれ、ほぼ粒子状になった酸味が特徴のエレガントなストラクチュアと強烈なアロマが一体化し、このワインに洗練さを与えています。調和のとれた、テロワールならではのミネラル感が長く、控えめに、しっかりと広がります。
ここはリースリングが支配するテロワールです。このグラン・クリュが持つ、ほど良い酸味と成熟ブドウの見事な味わいが、果汁たっぷりのレモンの果肉を想像させ、唾液の分泌を誘う
自然
急勾配になったガイスベルグのテロワールは、複雑な地質構成を持っています。風の性質と畑を取り囲む石垣によってミクロクリマが発生し、主にリースリングにとって最適なブドウのゆっくりとした成熟をうながします。
場所
キルシュベルクとオストベルグの間に位置するガイスベルグは、リボヴィレ三大グラン・クリュの1つです。村に向かって、南に下る斜面に位置するブドウ畑は、3つの区画間で自然の境界線の役割を果たすStaffelwegの田舎道によって区切られています。これらの3つの区画は、ガイスベルグ山頂の交差地点で再び合流します。
標高は250m~320m、急斜面のため、切石もしくはドライストーンで石垣を作って支えたテラス状の段々畑 (Kammerle)でブドウ栽培を行っています。
土壌
ガイスベルグは、第二紀中期、主にジュラ紀ムッシェルカルク階の泥灰土を生んだ海の堆積土によって構成された地質を近接する区画と分かち合っています。3つのテロワールは、同じ根源岩の上に広がっていますが、それぞれに違う個性を備えています。ガイスベルグでは、起伏が不均一で、畑は南の方角に向いています。粘土と貝殻石灰岩から形成された土壌は、泥灰質砂岩、上部には石膏質の堆積物が重なっていることから、独特な質感を与え、ワインの味わいに大きな影響を与えます。
ミクロクリマ
南に向いているため、このテロワールでは開花期が早く訪れます。同様に特級畑を取り囲む低い壁が、日中の間は熱を蓄え、夜になると熱を放出します。しかし、ここでの最も注目すべき現象は、渓谷から吹く冷たい夜風(Tahlwendala)が日中の暑さを中和し、ブドウ畑の衛生状態、ブドウのアロマ、酸味を維持しつつも、ブドウをゆっくりと成熟させる点です。
ブドウ品種
ここでは、リースリングが君臨しています。長く丁寧な成熟を必要とするこの品種にとって、ガイスベルグはまさに理想的なテロワールです。
セルジュ・デュブス氏いわく:「ここは間違いなく、アルザス地方のブドウ品種の王様であるリースリングに、その風格に相応しい表現力を存分に引き出してあげる事のできるテロワール・気候の1つでしょう。ここは、「品質的なポテンシャルが莫大な」テロワールです。」(前掲書
人々
ガイスベルグの偉大なリースリングは、14世紀以降から栽培が始まり、現在では名の知れたテロワールから生まれます。その壮大さと独自性を知る生産者は、特別なワインを造るために努力を続けています。
受け継がれる遺産
グラン・クリュの名前は、恐らく山羊の放牧に利用されていたと考えられる急斜面の土地の名前(Geissberg、「山羊の山」の意)に由来しており、もともとは藪に覆われていたようです。過去には、次のように名前が変化しています:
- 1308年:「am GEISEBERGE」。
- 1319年:「 an dem GEISSEBERGE」。
- 1483年:「am GEISPERG」
その他の説によると、一部の人々はグラン・クリュの名前は「霊魂」(ドイツ語でGeist)からきていると考えています。悪霊という意味ではなく、ライン川の反対側に住む人々が美味しいワインを味わったときに、「dieser Wein hat Geist」(このワインには体(ボディ)がある)と言うことが出来るようにと言われています。
Victor Canales
Synvira
ブドウ畑と土地に対する愛情
テロワールの古いを尊重するため、生産者は経験論による栽培方法を中心とし、古い樹齢のブドウの木に重点を置いています。そのため、樹齢60年以上の区画も珍しくはありません。
ガイスベルグは比類なきテロワールで、土壌を構成する何かが常に新しい味わいをワインに与えます。生産者は、このテロワールの豊かさ全てを反映する事の出来る、複雑で見事なフィネスと並外れた熟成能力を誇るワインを造ることを目標にしています。
土地に対しても細やかな気配りを忘れず、1つになった生産者の意志が、単調な均一性とは一味違ったガイスベルグの様々な異なる表現力を大切にしています!
選び方とサーブ
ヴィンテージ
ガイスベルグの当たり年:1921年-1924年-1937年-1947年-1949年-1964年-1967年-1971年-1975年-1976年-1983年-1985年-1988年-1989年-1990年-1995年-1996年-2002年-2005年-2007年-2008年-2010年
ヴァン・ド・ガルド(熟成向きワイン)
熟成年数によって異なる味わいを見せるクリュなため、個人的な好みを基準に楽しむことをお勧めします:
3年まで
白い果実と柑橘類の香りを鼻だけでなく口に入れた瞬間に感じます。時によって、レモンの砂糖漬けとスパイスの香りが、終盤に現れることがあります。
ガイスベルグの辛口ワインは、切れ味の良いナイフのような酸味による緊張感があります。
ヴァンダンジュ・タルディヴまたはセレクション・ド・グラン・ノーブルは、並外れた爽やかさと酸味が特徴です。ここでは、残糖量を過小評価することは珍しくありません。この段階では、複雑性とミネラル感は依然として隠されており、表現することは難しいのですが、「噛む」ことで、「終盤」に品よく伸びる深さを感じます。余韻は唾液の分泌を誘い、塩味を感じます。
4年から10年
フルーツコンフィ、柑橘類、はちみつの香り(辛口に分類されるワインであっても)を頻繁に感じることが出来ます。ヴィンテージによって、コショウ、松の木、ベルガモットの香りが漂い始めます。しかし、余韻は常に爽やかで緊張感があります。最初の熟成段階では、果実味は残されているものの、少しずつ、第二のアロマにその座を受け渡していきます。全体的なアロマの輪郭が複雑性を帯びてきます。
11年から25年
この段階では、多くの場合柑橘類の香りが松の樹脂、テレビン油、バルサミコ酢の香りに移り変わります。サフランとミントのほのかな香りも漂い始めます。常に酸味が支配する味わいですが、果実味が消えミネラル感が現れます。前半と中盤により強く感じる第二アロマが、余韻に現れる第三アロマと混ざり合います。
25年から50年
この段階では、燻製、バルサミコ酢、ミント、ワックス、蜜蝋、甘草の香りが支配します。その密度を失うことのなく、見事なほど生き生きとした味わい。第二アロマと第三アロマが、このワインに希少な複雑性をもたらします。
50年以降
ここでは、メゾン・キンツレー(Kientzler)のヴィンテージ1937を例に取り上げます:「深くきらめく古びた黄金色が特徴です。アカシアのハチミツ、最高級のランシオ、松の樹脂、ミント入りカカオのアロマが鼻をくすぐります。並外れた複雑性が、アロマティックで表現力の豊かな味わいが生まれます。より控えめになった複雑性ですが、バランスの良さに影響はありません。多くを物語る、見事な長い余韻を残します。年老いた貴婦人のように、まだまだ私たちに聞かせたい物語があるかのようです。ボトルに詰めた永遠。もしくは、時間に対するリースリングの挑戦と言えるでしょう。」
(2000年5月、La Revue du Vin de France、ピエール・カザマヨール)。
熟成
3年から4年までは、ガイスベルグのワインの果汁感によって、非常に心地よい飲みやすさを感じます。続いて、ワインはミネラル感を醸し出しますが、このクリュのまろやかな甘味を邪魔することなく、まろやかな果肉と塩味の風味を引き立てるミネラル感です。
お勧めの料理
ガイスベルグの綺麗に造られたエレガントなストラクチュアは、繊細で洗練された料理によく合います。地中海料理、舌平目やイシビラメ、ヒラメなどの海水魚との相性が抜群です。スズキのムニエル、オリーブオイルでコンフィした野菜、レモングラス風味のイシビラメのムニエルなどが、このグラン・クリュの繊細な複雑性を完璧に引き立てます。
ロマン・イルティス
2012年度フランス最優秀ソムリエ & 2015年フランス最優秀職人賞(MOF)受賞