スモールワールズ/一穂ミチ
一穂ミチさん2作目
こういう裏切られ方
一筋縄ではいかない
簡単に美談で終わらせないところがいい
裏切られてびっくりしてじんわりして
講談社BOOK倶楽部の内容紹介
【2022年 本屋大賞ノミネート】
【第165回直木賞候補作】
【第9回静岡書店大賞受賞】
【キノベス!2022 第4位】
最終話に仕掛けられた一話目への伏線。
気付いた瞬間、心を揺さぶる、鳥肌モノの衝撃が襲う!!
読売新聞、日経新聞、本の雑誌……各紙書評で絶賛の声続々!
「驚きの完成度!」――瀧井朝世さん(『スモールワールズ』公式HP書評より)
「BL界の鬼才恐るべし」――北上次郎さん(日本経済新聞 5月6日書評より)
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。
「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。
初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。
人知れず手紙を交わしつづける男と女。
向き合うことができなかった父と子。
大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。
誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。
下記特設サイトの、ライターの瀧井朝世さんの書評がすばらしい
こんなふうに言語化できたら、と思う
さすがプロだなあ
しかもこの公式サイト、特別掌編『回転晩餐会』などという
本編未収録のおまけ付き!
おまけのクオリティではない
しっかり裏切られて、しっかりじんわりする
◇以下、ネタバレします
【ネオンテトラ】
息ができない感じ、の描写がうまい
このお話は「え、」という展開
【魔王の帰還】
魔王がだんだん愛おしくなる、王道の展開
ワタサバ的な
ちょっとキャラ違うけど!
姉はどんな気持ちで受け取り、溜め込んできたのだろう
受け取って溜め込む
とにかく身体をこき使って現実から逃避したい気持ちがてつじにはよく分かった
現実逃避の手段の内、身体を痛めつけるというやり方
大丈夫だよ姉ちゃん
と今度は鉄二が思う
奇跡は起こらない
起こらないから傍にいてやれ
最後には負けが決まってるシナリオでも、立ちはだかるから魔王なんだろ
勇者のもとへ、音を立てて帰れ、魔王
奇跡は起こらないから傍にいる
この最後のくだりは拳を握って応援したくなる
【ピクニック】
まだ、この世の仕組みなど何も知らない生き物に、四六時中ジャッジされている気がしました
育児中の負の感情が実にリアル
【花うた】
何もかもが大事で、なくすと取り返しがつかないと思うと生きるのが恐ろしくなる
でも、あなたや、他の受刑者の人に必要なのは、その恐ろしさを思い知ることじゃないでしょうか
もしもわたしが秋生より先に死んだら、秋生は悲しむかもしれません
それは、わたしが兄を亡くした時の悲しみと同じかもしれない
わたしが秋生に悲しみを教えてあげられる、と思うと、とてもかわいそうで、少しだけ嬉しい
人の心をわかったつもりになどなってはいけない
答えが見つからなくとも
見つからないのが分かっていても考え続けなければならない
【愛を適量】
年とともに喜怒哀楽が硬直化してくるのか
感情のブレーキや方向転換がままならないことが最近増えた
不満を挙げればきりがなかろうと
心臓が止まるまではこの容れ物で生きていくほかない
自分が侮辱されたわけでもないのに
胃から喉まで土を詰め込まれたように声も呼吸もぐうっと詰まった
自分と同じ欠点を知り
やっと確かな愛情を感じるなんて、どこまでも小さな男だと思う
手をかければかけただけ
抜けば抜いただけ肉体には正直に表れる
ああ、身体なんか維持して生きていくのは面倒だな
55才の疲れた父
面倒というキーワード
自分の娘が勇気を出して父に救いを求めてきたのに
寄り添えなかったのは、面倒という気持ちが出てしまったから
こんなのみつけた
【直木賞候補作】
一穂ミチ『スモールワールズ』の魅力を映像で体感!
本作に収録された6つの短編作品の中から「愛を適量」をPV化
10分で物語の世界に一気に引き込まれます
■出演 光石研 <須崎慎悟 役> 土村芳 <岡本佳澄 役> 土屋希乃 <岡本佳澄(幼少期) 役>
【式日】
この先二年、三年と経てば蓄えた親密さの余熱も消えて心のうちを読み取れなくなり
いずれは完全な他人のなるのだろうか
あの時、自分も一息に言い切った
何も口を挟まれたくない
退屈な教科書の文章みたいに単純な情報として丸呑みし
解釈も深読みもしないでほしい
自分の人生を、物語みたいに味わわれたくない
わだかまった短い沈黙で心得たふりをして「そっか」と会話を打ち切って
それが配慮だと勘違いしていた
自分が身軽でいるために他人から何も受け取りたくないと耳をふさいでいたけれど
せめて今、聞けてよかった
やんわり牽制された、と思った
「嫌われたらそこで終わりじゃん
好かれたら始まっちゃうから、そっちのが怖いよ」
ありがとう
その言葉で
瞬間胸に射した光で、生きていける
なんと、あとがきにかえてのショートストーリーまで!
『スモールワールズ』の担当編集者が、刊行までの経緯を振り返りながら切り込んだという
一穂ミチさんインタビュー記事
『スモールワールズ』の執筆を依頼する時、私は「歪んだ家族を描いた短編連作を」とお願いしました。そこで一穂さんは「逆に歪んでない家族など存在しないのではないか」という思いから、収録の6作品をお書きになった。

























