あなたにだけわかること/井上荒野
井上荒野の『あなたにだけわかること』は、大人の恋愛、孤独、家族の複雑な関係を淡々と、かつ深みを持って描いた作品です。
感情の揺れや秘密を抱える日常の瞬間を切り取る、独特の筆致で評価されています。
↑AI による概要
ふうん
これはGoogle
別のAIは
この物語って結局、
・誰かを本気で理解するのは怖い
・でも孤独も嫌
っていう、人間の業(さが)の話だと思う。
こうまとめてきた
そして最後は質問で返してくるお決まりのパターン
また別のAIは
短編集だと言い切って長々とでたらめを言ってきた
否定してやり取りするも、疲弊する、、
AIではないけど
帯もなかなかに最悪
万人受けする作家ではないと思うし、万人受けを狙わなくても良いと思うんだけどな
「小説家になりたい人が、小説を選ぶ人に聞いてみた。」
というインタビュー記事の中での井上荒野さんの言葉↓
「やっぱり大江健三郎さん。あとは父(小説家・井上光晴)に勧められたサリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』も私の原点と言える作品です」
おお、「ナインストーリーズ」
高校生の頃、お気に入りの1冊だった記憶が
同じくサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」
こちらは当時大流行で誰かにすすめられたのだけどちっとも夢中になれず
ナインストーリーズは自ら進んで買ったような朧げな記憶
でも内容あまり覚えてない
今また俄然読みたくなってきた!のだけど、どの訳者のにしようか
やっぱり王道は野崎孝訳?昔読んだのはこれだよね
◇以下「あなたにだけわかること」の話
ああ、こわいよね
どこへ行くのだろう
すたすた、てくてく、スイスイ、迷いなく歩いて行けるかな
さいごは
読後、ひきずる
良くも悪くも
本の世界の持つ、その空気感から全く抜け出せない
やっぱり好きだな、井上荒野さん
この何日かは、未読の作家さんの本を読むのにこだわってみたのだけど、
なかなかしっくりくるのに巡り会えず
井上さんの本に回帰したらそうそうこれだわやっぱり安心するわーという
人のどうしようもなさ、どうしようもない人を、リアルに、突き放して書く
どうしようもない人たちは、正論では決して救われない
泥臭くて、説明のつかない感情の中に生きている
物悲しい安心感
幸せな「時期」を俯瞰して回想するような
2人の主人公の、50年余りを描いている
その時々に思うこと、話すことがリアルで物悲しい
余計な心理描写がないのもいい
喜びも、悔しさも、どこか他人事のように流れていくこのかんじ
◇以下、ネタばれします
「花、買ってきたんだろ」
たぶんずっと唇のうちにあった言葉を、たぶんそれ故に、父はぎこちなく発する
少しずつ壊れていく駿の母
もともと壊れていたのかもしれない
生まれ持った、性質なのかもしれない
世間一般的には、壊れていない方の医師の父が、母を動かし日常を動かすために意を決して発する
わたしたちは笑う。
どうでもいいことをいくらでも話していられる。
実際には、何も話していないからだ。
違いを見つめ合うことに夢中になる、好き合う物同士の、ある限られた時期
わたしはもう水の中にはいない、と考えた。
千秋を知る以前のように、楽に呼吸ができるはずだ、と。
でもまだ苦しかった。
好き合う恋人の千秋とまだ続けることもできたのに
自分から幼馴染の駿と寝たと嘘の噂を流し千秋と別れる高校生の夏
4才で母を亡くし、父にも持て余され、父の元恋人の家に居候するも、ここでも持て余されはじめていると感じる夏
「そもそもパパはあの女を愛してたの?」
「親子でする会話じゃないだろ」
父は笑った。
いつも本当の表情を見せないー彼が努力することがあるとすればそのためだけのように思える
そんな夏の父の、娘に見破られている努力も、晩年にはなくなる
何も無くなっていく
千秋は新聞を読み、雑誌を読み、爪を切った。
ずっと切れていた廊下のダウンライトの電球を替えてくれもした。ひとつひとつの動作が奇妙にくっきりして見えるのは、どれも彼が本当にしたいことではないせいだろう、と思った。
動作がくっきり
なんて的確な表現
ひとはひとを愛するときと同じだけのどうしようもなさで、ひとを捨てるのだということ。
16歳の時に自分でもよくわからない感情のまま千秋を捨てた夏
16で出会い、17になる前に捨てて26で再会して27で結婚し、
自分が生きてきたのはこれを手に入れるためだったのだとさえ思えたのに
今千秋に捨てられようとしている夏
お父さんとの約束があると結局その前後も気持ちが拘束されるのよ
夏と千秋の娘、16歳の里香もまた
自分の人生を生きている
「本当にいたかどうか、このひとにはわからなくなってるのよ」
死んだ早苗の名を呼ぶ、まだらぼけ(まじぼけ?)の夏の父
元「ガールフレンド」の温子(はるこ)さんの腕をつかんで
夏が居候させてもらっていた温子さん
ありあわせの細い針金一本で、いかにも頼りなく枝にくくりつけてあるのに、風が吹いても大雨が降っても巣箱はなぜか落ちない。
きっと永遠に落ちないのだろうという気さえする。
感情や意思を持たないものとしての特権を振りかざして。
千秋がかつて娘の里香にねだられて取り付けた巣箱
千秋はいないのに
すたすた歩いていったのではないか。
肺に影が見つかり、自分の死を意識し、母の死を思い出し、
自分が死んだら自分の思いはどうなるのだろうとこわくなるもうすぐ定年の駿。
夏の父親も死んだ、失踪から7年経って法的に死んだと聞いて
目的を持って歩いていったのではと考える駿。
「訪問」を改題したらしい
うーん題って難しいね
井上荒野さんの本はたくさん読んだけど
ブログを書いたのはこれくらいか



