ひりつく夜の音/小野寺史宜
大人の男はなかなか泣かない。
ではなぜ、下田保幸(47)は、その夜ひとりで号泣してしまったのか?
すべてをあきらめていた男が、もう一度人生を取り戻すまで。
その一年間の全記録。
【著者紹介】
小野寺史宜[オノデラフミノリ]
1968年、千葉県生まれ。
2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。
2008年、第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作の『ROCKER』で単行本デビュー
【内容】
年収100万円強。
元、いや現役のクラリネット奏者、46歳男。
警察からの一本の電話が彼の人生を変えた。
男のための超絶号泣小説。
大人の男は、なかなか泣かない。
では、なぜ下田保幸(47) は、ひとりで涙を流しているのか?
元、いや現役のクラリネット奏者、年収はパート並だが狭小住宅所有。
スーパーの安売りと朝食海賊が数少ない楽しみで、一心同体だったはずのクラリネットに触ることはほとんどない。
でも――。
その夜の警察からの電話が彼の記憶を揺さぶる。
もしかして――。
すべてをあきらめていた男が、もう一度人生を取り戻すまで。
その一年間の全記録。
(紀伊國屋書店公式サイトより)
◇◇
ディキシーランドジャズも
クラリネットも全く縁がなく、
バンジョーと聞けば
「バンジョー♪ かき鳴らしうたいくる~ み~んなでわ~になって聴い~たんだ♪」
という歌が頭でぐるぐる鳴ってしまう
(わかる方いたらうれしい)のですが、
楽しめました
それにしても
「ひりつく」 って男の言葉だなあ
ひりつくってなかなか使わないし、思わない
ハードボイルドな単語
この小説も、ある意味ハードボイルドなのかも
なよなよ系ハードボイルド(失礼)
主人公、中年男性だし。
となると、多かれ少なかれハードボイルド的要素が含まれるものなのかもしれない
物語には、中年独特の諦念感がある
「ウェンディーズのチリ」とか、
そういう単語にノスタルジーを感じる中年以降の年代には懐かしさもあるし楽しめると思う
章ごとのタイトルも、ハードボイルドっぽい。(中年男っぽい)
特に「清秋」
「厳冬」「憂春」「烈夏」ときて、締めが「清秋」
そう、やっぱりハードボイルド!!
清秋というタイトルは、中年男の心情を表してるよね
諦念しつつも理想にひといき落ち着く、という物語のラストも。
大団円気味のラストがちょっと気に入らないのですが、
女性でも楽しめました。
◇◇
読み終わってすぐ、タイムリーな内容のNHK SONGS をたまたま視聴
福山雅治 SONGLINE 歌い継ぐ者たち
第3回 アメリカ ニューオーリンズジャズの魂 聖者の行進
何となく知ってる、「聖者の行進」
[When the saints go marching in]
が、世界一明るいといわれる!ニューオリンズのお葬式で演奏されている様子に驚いた!
奴隷として、つらい日常を送った歴史をもつ彼らにとって、
死は、苦しみから解放される喜ばしいことであり、祝福されるべきことなのだという考え方なのです
番組では、ニューオリンズの町の様子、
ミュージシャンの演奏、
ダンサーが小ぶりの傘!?をもって踊る姿も見られた
◇◇
以下、本文より
(ネタバレします)
一般論は正しい。
一つ一つを見ていけば、どれも正しい。
だがそれですべてを乗りきっていけるわけではない。
「でも、もう伸びしろはないよ」
「そんなことないでしょ。
楽器演奏は技術だけじゃないし。
ってやっぱりわたしなんかが偉そうに言うことでもないけど。
ただ、伸びなくても、ふくらむことはできるんじゃない?」
「おれなんか、五十になった今でも、日々、打ちのめされてるよ。
二十代、三十代、四十代。ずっと打ちのめされどおしだよ。
マイルスだってコルトレーンだって、打ちのめされてきたはずだ。
打ちのめされなくなったら、そのときはもうおしまいってことじゃないか?」
