昨年のいつ頃だったかな。
実家に帰ると、みやぴんが一生懸命何かを描いて作っていた。
「かあちゃん、ヤバイ、明日出さなきゃいけないのに間に合わない」
「宿題?何を作ってるの?」
「あのね、みんなにオススメしたい本の、帯を作るの」
「へー!本の帯!!」
自分が読んで面白かった、心に残ったと思う本の推薦文と絵を描いた帯を作るのだという。
みやぴんは青春小説が好きで、選んだのは『あさひなぐ』のノベライズ本。
映画を観に行きたいと言われてたのに行けなかったのを、ノベライズ本を買ってあげたら一生懸命読んでたもんね。
「いいじゃん。みやぴんらしいセレクトだと思うよ」
「帯だから大きいとダメでしょ。○センチ以内って言われて作ってるんだけど、これで大丈夫かなぁ」
「えーっ!?もうだいぶ書いちゃってるじゃん!!大丈夫かなぁって言われても、そこは最初に測ってから作ったんじゃなかったの!?」
「いや、大体測ったんだけど、ちゃんとは測ってなくて…」
なんじゃそりゃ実にみやぴんらしい。(細部は詰めずにとにかくやってみるのがみやぴん笑)
そして、みやぴんの言う大きさの基準より、ぱっと見たところちょっと大きいように思える。定規を出して測ってみると…
「どうしよう、ちょっと大きい。」
「どうしようって言ったって…どうする?」
「…切る?」
パニックになると突然何の無茶をしでかすか分からないのもみやぴん。
「まぁ、大きいんだから切るしかないよね。でも、切るところを考えようよ」
ということで、上下少しずつ切って詰めることでなんとか規定の範囲内に収めた。
「これ、いつ出された宿題だったの?もっと余裕があれば良かったのに」
「いや、宿題じゃないんだけどね、今学校で募集してる本の帯コンクールってやつなの。で、応募が少なかったらしくて、先生に『みやぴん、是非出してね』って言われて『分かりました!』って答えちゃったから」
「ありゃー、そういうことか。じゃぁ、先生は待ってるかもしれないんだね」
「そう!だからちゃんと書いて出さないと!!」
その日は遅くまで絵と文を描いて何とか無事に帯が完成、翌日提出したのでした。
そんなことがあったのもすっかり忘れていた先週。
「かあちゃん、月曜日、私表彰されるんだって」
「何の?」
「本の帯コンクールの」
「へ?あれ、表彰とかあるの?」
「うん。賞状もらうって」
「そうなんだー。先生に『出して』って言われてみやぴんは慌てて描いて出したけど、一生懸命描いたのはそうだもんねー。」
そして、いただいてきた賞状は…
「名古屋市教育委員会」って書いてあるー
まじかー。
私は学校単位の、読書習慣向上施策の一貫だと思っていたのです。
だから、作品を見せてくれたときもそのうち戻ってくるものだろうと思っていて、「みやぴんらしい本の紹介文が書けたねー。これは読んでみたくなるよ」と言ったのは覚えてるけど…名古屋市に提出して返ってこないと分かってたら写真撮っておいたのに…内容まで覚えてないよう苦笑
ハハ、試されてる?
みやぴんは体を動かすことが大好きで、じっと座って本を読んでいることはそんなにありません。好きな本はすごく没頭して読むけどその数はごくごく限られていて何でも読むというわけじゃないし、割となんでも本を読んでいた子どもだった私からすると「この子はちっとも本を読まないなぁ」と思って見ています。
でも、だからこそ、その本に対する純粋な「私はこのお話が好き」で「みんなにもオススメしたい!」と思う気持ちが帯に現れていて、それが伝わったのかなと思います。
どんなだったかは覚えてないけど
でも、まっすぐで衒いのない想いほど伝わるものはないのだ、ということをムスメから教えてもらいました。
ありがとう。
おめでとう、みやぴん。