http://miyagi.no-blog.jp/Nightmaretext.pdf
ケビン・メア米国務省日本部長(前在沖米総領事)が昨年12月、米国務省内でアメリカン大学の学生に対して行った講義を記録したメモの全文は以下の通り。ちなみに、アメリカン大学とは、ワシントンDCにある私立大学。
私は2009年まで在沖米国総領事だった。日本にある米軍基地の半分は、沖縄にあると言われているが、その統計は米軍のみが使用している基地だ。もし日本の自衛隊と米軍が共同使用している基地を考慮すると、沖縄の基地の割合はかなり低い。議論になっている在沖米軍基地は、もともと田んぼの真ん中にあったが、今は街の中にある。沖縄人が、基地の周囲を都市化し、人口を増やしていったからだ。
冒頭、沖縄の基地問題の一つである、「沖縄は米軍基地の半分が集中して、過大な負担を強いられている」という主張に対して、「米軍と日本の自衛隊が共同使用している基地を考慮すると、沖縄の基地の割合はかなり低い」と述べて、論拠の一つを否定している。
試しに「米軍基地 自衛隊 共同使用」にてググッてみると、こちらの↓資料があった。
http://www.mod.go.jp/j/profile/choushi/archive/zainichibeigun/pdf/jimoto_qa/kanoya/060203_a_op3-5.pdf
私は軍事専門家ではないので詳しい分析はできないが、リストに沢山の基地が載っているため、メア氏の言うことも間違ってはなさそうである。
ここで、メア氏は明確に安保は、「日本にとって有利だが、米国にとっては損失だ」と述べている。その理由として「日本が米国を守る義務がない」点を挙げたのち、「集団的自衛権は、憲法問題ではない、政策の問題だ」として、日本は「政策」的に、「日本は米国を守る義務がない」状態を選択しているのだ、としている。一方で、米国の立場としても沖縄に基地を置くメリットを挙げている。
(東アジアの地図を指し示しながら)在日米軍は、東京に司令部がある。物流中核の位置にあり、危機が発生した場合、補給と軍の調整ができる。米国の基地として最もロシアに近い三沢基地は冷戦時に重要な基地だった。岩国は韓国からたった30分だ。その上で沖縄の地理的状況は、地域の安全保障に重要である。
日本における米軍の基本戦略を述べている。
沖縄はかつて独立した王国で、中国に貢ぎ物を献上していた。とはいえ、中国の一部では決してなかった。米国は1972年まで沖縄を占領していた。
沖縄の歴史を簡単に触れている。「中国の一部では決してなかった」として、中国が将来的に沖縄の領有権を主張することも念頭においていることが伺える。
沖縄県民は、米国よりも直接日本に対し怒りを持ち不満を募らせている。民主党政権は沖縄を理解していない。日本政府はコミュニケーションの「パイプ」を沖縄に持っていない。私が沖縄県民にコンタクトを取りたいと依頼したとき、民主党の高官は「ぜひ! ぜひやってください」と言った。まだ自民党の方が、最近の民主党よりも沖縄に通じていて沖縄の懸念について理解していた。
自民党のほうが「沖縄の懸念について理解」の意味は、沖縄県民が日本(本土・政府)に対して不満を持っている自覚している、という意味か。その点、民主党は理解していないし、理解するためのパイプもない。
3分の1の人たちが、軍隊がなければより平和になると信じている。そのような人たちと話をするのは不可能だ。
要するに、平和ボケした馬鹿だと述べている。残念ながら、軍隊がなければ平和になると信じている人は意外と多いのが日本だ。
2009年の総選挙は、民主党へ力をもたらした。それは日本政府の初めての政権交代だった。鳩山氏は左派の政治家だった。民主党政権で、鳩山総理大臣だったのにもかかわらず、日本とアメリカは5月に2+2(ツー・プラス・ツー)合意を成し遂げた。
(メア氏は教室を離れ、同僚2人が日米の経済関係について講義した。その後メア氏が戻って講義を再開し、2人は部屋から出て行った)
鳩山という左派の困ったチャンが総理大臣になったけれど、アメリカは合意できた、ということは、アメリカなりに頑張ったということを言いたいのかな?
米国は、沖縄における軍事的負担を減らすため8千人の海兵隊を普天間からグアムへと移転させる。この計画は米国が、地域での安全保障や抑止力を保つための軍事的なプレゼンスを維持するものになる。
つまり、「米国なりに沖縄の軍事的な負担軽減を考えてあげて、グアムに移転してあげよう。その代わり、引き続き沖縄にはちゃんと基地維持して、米国は頑張って活動するからね」という意味か。
ロードマップの下で、日本政府は移転に必要な資金を提供するとしているが、このことは日本側の明白な努力の証しだ。民主党政権は計画の実行を遅らせてきたが、私は現行案を履行してくれるものと確信している。
自民党政権でせっかく移転決めたのに、民主党はぐだぐだ言って計画実行を遅らせている、と。つまり民主党の責任だと言いたい様子。
東京は沖縄の県知事に伝える必要があるのだ。「お金が欲しければ、(移設案に同意し)サインしなさい」と。
ここで言う「お金」とは、沖縄で進む振興策、カジノ構想やら、各種補助金のことを指しているのだろう。沖縄は、基地をダシにしてお金をせびっていると「正直」に述べている。こういう視点では普天間は語られることが少ないが、これも真実なのだろう。
ほかに海兵隊を配置する場所はない。民主党は本土での代替施設を提案したが、本土には受け入れる場所がないのだ。
本土でも基地新設は無理でしょう。それゆえに沖縄側も、米軍側の事情で基地が「動かせない」「動かしたくない」のであれば、なるべく沢山のお金をゲットしよう!と思うわけだ。
日本の「和(調和)」を重んずる文化は意見の一致に基づいている。合意形成は日本文化において重要なものだ。日本人はこれを「合意」と呼ぶ一方、それは「ゆすり」を意味し、彼らは「合意」の文化を「ゆすり」の手段に使っている。合意を模索するとみせかけ、できるだけお金を引き出そうとするのだ。沖縄の人々は日本政府を巧みに操り、ゆすりをかける名人である。
今回問題になった「ゆすり発言」の箇所ではあるが、これが嘘であるならば、なぜメア氏はこんなことを言ったのか?わざわざ嘘を言う必要があるのか?否、アメリカン大学というそれほどすごい大学でもなく、注目も大して浴びない場所での発言であることを踏まえると、メア氏の実体験として「沖縄の人々(=県?)」はゆすってきたのだろう。『基地を置いておきたければ、もっと沖縄振興策のために金を』と。
沖縄の主要産業は観光業だ。農業もあるが、主要産業は観光業だ。沖縄の人たちはゴーヤーを栽培しているが、他県の栽培量の方が多い。沖縄の人は怠惰すぎて栽培できないからだ。
沖縄は離婚率、出生率(特に非嫡出子)、度数の高い酒を飲む沖縄文化による飲酒運転率が最も高い。
なぜ「ゴーヤー栽培量」が沖縄人の怠惰な基準となるかは意味不明だが、他県と比べると沖縄県の民度は低いと言いたいのだろう。そしてそれは外れではない。
日本に行ったら本音と建前に気を付けるべきだ。本音と建前とは、言葉と本当の考えが違うということだ。私が沖縄にいたころ、「普天間飛行場は特別に危険ではない」と話した。沖縄の人たちは、私の事務所の前で発言に抗議した。沖縄の人たちは普天間飛行場が世界で最も危険な飛行場だと主張するが、彼らはそれが本当のことではないと知っている。福岡空港や大阪伊丹空港だって同じように危険だ。
沖縄の本音=金くれ、建前=普天間危険だ。これ以上基地はいらない。
実際のところ、市民活動家の中には本気で基地を沖縄から無くそうと活動している人はいるでしょう。ただ、活動家の目的と行動は単純かつ近視眼的な活動であるため、世間一般の支持は得られていない。つまり、今回のケースでは沖縄県の「コマ」の一つと言える。
また、福岡空港、伊丹空港も確かに住宅地の中にある。日本のマスコミ含めて、真実を報じず情報を捻じ曲げている共犯なのである。
日本の政治家はいつも本音と建前を使う。沖縄の政治家は東京での交渉で合意しても、沖縄に帰ると合意していないと主張する。日本文化があまりにも本音と建前を重視するので、駐日米国大使や担当者は真実を話すことによって常に批判される。
まさに今回「真実を話すことによって」「批判」されている。当の本人が予想したとおりだ。そういう意味でも、メア氏はきちんと理解しているとも言える。
米軍と自衛隊は思考方法が違う。米軍は起こり得る展開に対し準備して訓練するが、自衛隊は実際の展開を準備せずに訓練する。たいてい夜間に戦闘が起きている現代の戦争では夜間訓練は必要だが、地元の人は米軍の夜間訓練に反対する。夜間訓練は抑止力維持に不可欠だ。
なるほど、これが米国政府の自衛隊に対する認識。実際の戦争が夜間が中心である事実を直視せず、現実に対応した訓練をしていない自衛隊は張子の虎。第二次世界大戦のときと同じく、日本は相変わらず現実を直視していない。
私は、日本国憲法の9条が変わるべきだと思わない。私は、そもそも9条が変えられることを疑問に思っている。もし日本が米軍を必要としないことを理由に改憲したのなら、米国にとってよくないことだ。もし改憲したら、米国は米国の利益のために日本の土地を使用することはできなくなるだろう。日本政府が現在、支払っている高いホストネーションサポート(接受国支援)は米国にとって有益だ。私たち米国は日本に関して非常によい取引を得ている。
結論部分でもいろいろ大事なことを述べている。メア氏が考える「憲法9条」の変更内容とは何なのか。「もし日本が米軍を必要としないことを理由に改憲したならば」との発言から推測するに、9条変更にて明確に日本の自衛権を規定し、より充実した軍隊を保持することを想定している様子である。つまり、米軍に頼った国防ではなく、自立的な軍隊を保持すること。その場合、防衛費が現状の5兆円程度から倍増することも想定されるが、支出に占める割合が10%未満であるならば、他国との比較感では特段大きいというわけではない。
つまり、米国は日本の土地を使用して基地を使わせてもらっている立場なのに、さらにお金の援助までしてもらっている大変オイシイ状態だ、とメア氏は結んでいる。
相手の利益は当方の不利。逆も然り。ということは、米軍にとって、日本に基地を維持することがメリットが大きいのである。一方、日本にとって安保を維持することが本当にメリットが大きいのか。例えば、米軍が駐留しているお陰で日本の国防費は低く済んでいるのか。また、周辺有事の際には、米軍がいるお陰で日本を守ることができるのか。未知なる世界であるため、日本の政治家も踏み出すができないのである。