原発再稼動をするべきという意見を持っている人は、「原発をー再稼動しろー」というデモをすることはない。「原発反対ー」と叫ぶほど単純な思考ではないからだ。


また、消費税反対を叫ぶことも同じ。年金受給者の減額反対も同じ。現実を直視するべき。


もっとも、国の借金(国債)が増え続けることへの不安が高まっているが、果たしてその「漠然とした不安」は的中するであろうか。杞憂ではないか。



1.継続可能な国家財政への移行

・消費税増税
歳入を増やすには、消費税増税が最も確実である。
自営業者の所得補足率が低い現状からは、消費税が最も平等かつ着実な税収手段。


・原発の再稼動
貿易赤字の原因は、原発停止に伴う火力発電原料の輸入増加である。
理想として原発再稼動反対は結構なれど、物事を矮小化した議論につきあう必要なし。
原発止めて、国家財政破綻しては意味がない。

東電や保安院に乗り込んで、会議を妨害している輩に惑わされてはいけない。
エネルギー問題は安全保障の問題として捉え、最大利益を追求して政府は運営するべき。
なお、原発の新設に反対した結果、古い原発が稼動し続けるとなるのは愚の骨頂。
危険度合いとしては新型の方が遥かにマシなのは明らか。


・年金見直し
国民年金および厚生年金保険の見直しは必須であるが、見過ごしていけないのは既に受給者となった分も見直し対象とすることである。


現状の給付が苦しい状態となっているのは、人口減少社会において老人の給付を現役世代が支えきれないため。人口減少社会を作った責任は、社会で等しく負担するべきであり、老人=弱者という杓子定規の視点、もしくは有権者として反発を恐れて見直し対象から除外している政治家は、より大きな視点で対処するべき。

例えば、一律、給付額の月額1000円引きすることで餓死する人が現われるのか??必ず減額するべき。60歳以上の年金受給者も相応の「痛み」を分かち合う必要がある。




2.本当に国債金利は上昇するのか?

金利上昇し、インフレとなる場合、過去の1,000兆円の価値は未来に向かって「減額」される。つまり、インフレとは将来の円の価値が下がることであるため、政府借金も帳消し効果がある。金利上昇=利払い額増加=もう無理、国家破綻という発想。これは「金利上場」のみ発生し、インフレとならないことを想定しているが、果たして正しい想定であるのか疑問である。

なお、金利金利というが、短期金利と長期金利の違いも大きい。短期金利は日銀による金利調整の影響下にあり、長期金利は市場の需給によって決定される。

景気好調=株価上昇=資金が債券から株式に流入=長期金利上昇というのが一般的なシナリオであるが、株価上昇=信用拡大=債券も株式も上昇(金利上昇は起こらない)という可能性もある。実際、短期金利市場は世界中の中央銀行による潤沢な資金供給によって低い金利に抑制されている。短期金利が上昇するときは、まさにインフレのときである。従って、長期金利のみが一方的に上昇する可能性は、現状の中央銀行による潤沢な資金供給(=景気下支え)という構図が続く限りは、発生する可能性が低い。


国際収支の赤字によって国債消化に不安が、という論調も、国際収支赤字の場合は円安になる可能性がある点について見過ごされており、円安=輸出増=国際収支黒字という作用が働くはずである。


いずれにせよ、新聞・テレビなどの巷に言われるような単純な構図は現実的ではない。正直うんざりである。

国際収支、為替(円高・円安)、金利変動、インフレといった要素がそれぞれ複雑に影響しあっているため、一方の方向に強く傾くことは現実的には想定し難いのである。


欧州債務問題の本質は、国家および金融機関の信用収縮にある


金融機関の信用収縮は、国による資本注入によって終息が可能であるが、国家の信用収縮は、国家より上位に位置する信用供与機関が存在しないため、終息させることは困難である。


また、ギリシャ等の国債の価値下落→欧州の金融機関の自己資本欠損→信用収縮という流れを断ち切るために、欧州の金融機関に資本注入する必要があるが、グローバル化による肥大化した金融機関を救済するには、欧州の各国の国家規模はあまりに小さい。


よって、肥大化した金融機関を欧州各国政府による救済もままならず、かつ自国の信用も低下しているため国債償還への対応も困難さを増している。


抜本的な解決のためには、欧州全体の信用をまとめて「EU国債」を発行することが有力な選択肢と思われるが、ドイツ国内のコンセンサスを得るのが困難である。今よりも欧州債務問題の危機が深化し、混乱が各国に波及して疲弊を増すことで、ドイツ国内のコンセンサスを得るであろう。それまでには死屍累々たる金融機関の破綻や第二、第三のギリシャを積み重ねることでしか、次のステップに移行することは出来ない。


人は危機が現実とならない限り、痛みを伴う改革は実行しない。たとえ予測が可能だったとしても。

よって、欧州債務問題は小康状態と混迷を繰り返しながら、いつまでも続くであろう。



日本の国債は大丈夫?


一方で日本は、国債消化をほぼ全て国内金融機関(銀行・生保等)でまかなっているため、欧州債務問題のようなことはただちには発生しない。国内の潤沢な預金の元をたどると、貿易黒字によって溜め込んだ資金である。つまり、今まで日本人が貿易で稼いだお金(主に米国から)を国内に還流させたものだ。


しかしながら、円高進行により貿易収支の黒字幅は縮小してきており、輸出による資金獲得が困難となりつつある。よって、現状の放漫な財政赤字を垂れ流し続ける政策を続けることで、日本の国債消化の限界点は遠からず「K点越え」となるであろう。


ただし、その危機はギリシャショックのように、短期的な資金流出による資金繰り破綻という形にはならないと想定される。対外純債権国であり、ただちに資金不足によってマーケット圧力に倒されることはない。ただ、緩やかに、着実に金利が上がっていくことが想定される。デフレが続くのであれば、実質金利が上昇して経済活動の妨げになるかもしれないが、未知数である。


つまり、日本の国債は「ただちに危機的なことにはならない」のである。

週刊誌等が面白おかしく「日本国家破綻」と書き立てるノイズ情報に惑わされてはいけない。

いまさら書くまでもないが、中国政府系メディアが流す情報は、中国政府の利益に沿った、嘘も混じった情報である。


中国政府が流すプロパガンダを分析することで、中国政府の関心事も分かる。

例えば人民網の記事「米メディア:日本には民用プロジェクトを軍事転用する伝統がある」から

http://j.people.com.cn/94474/7354924.html


予備知識無しに読むと、まるで「日本は国際社会を騙して核開発を秘密裏に進めているのではないか」という疑念を持たせる内容である。

これは全くの日本のイメージを悪くさせる悪意をもった記事であり、中国人の諺「嘘も百回つけば本当になる」を地にでいくものだ。


たった一つの記事で突っ込みどころが沢山あるので、箇条書きにすると

①「日本の著名な記者」島津洋一氏 → 北京にある国立清華大学という中国の名門校にも居たそうで。要するに中国の手先。中国に都合の良い記事をせっせと書くアホなので、「日本の著名な記者」と持ち上げられいる。


②米「ニュー・アメリカ・メディア」 → 聞いたことありません。調べるのも面倒。「米メディア」と書くと、何やら「ニューヨークタイムズ」でも思い浮かべてしまうそう。共産党のお家芸であるプロパガンダの伝統は、今も脈々と生きている。「日本の著名な記者」とセットで出すことで、中国政府の自作自演色を消している。印象操作が上手。


③「国際世論が騒然」 → どこで騒いでいるのか・・・。これも印象操作。


④外国の救助隊を原発内に入れない理由が一つと断定、即ち極秘の核兵器開発である! → 馬鹿馬鹿しすぎる内容だが、受け取る人によっては「さもありなん」と思ってしまうので、一応なぜ「馬鹿馬鹿しい」のかを書くと、

 (1)結果としてメルトダウンして現時点でも極めて危険な状態である原発に、3月12日の時点で外国の救助隊が入ってどうするか。救助に入って被爆したら、中国なら「日本のために働いてやって被爆した」として、補償を請求しかねない。責任を負えないので、入れるのを制限するのはあたりまえ。死にたいならどうぞなレベル。アメリカも除染だけしたのか事実関係は不明だが、3月11日以降、米国政府は80キロ圏内からの速やかな避難勧告を出しており、化学部隊も例外ではなかったかと思われる。

 (2)極秘の核兵器開発 → 強引なこじ付けを見ると、逆に中国がいかに日本の核兵器開発を恐れているのかが理解できた。


④中国国防大学戦略研究所の金一南所長(少将)「日本は第1世代、第2世代原子炉の運用を長年続け、技術をアップグレードしていない。最も大きな可能性は、プルトニウムを貯蔵するためだ」 → 日本の原発開発は、自治体・住民の同意を取りながら進めないといけないため、原発新設も時間がかかる。新造コスト抑制等の観点からも、結果として古い原発も長く使用し続ける要因にもなる。また、国民感情から言って、こっそり核兵器を作るほど、日本政府に度胸のある人はいない。中国的な国家運営の発想では、秘密裏に核兵器開発でも、原発開発でも近隣住民への説明・同意など関係なく、ドンドンやるのでしょうね。


⑤「09年、IAEAは秘密の核計画の存在を疑い、その規定に基づき日本に資料の公開を求めたが、米国の庇護の下、日本の核計画の詳細はいまだ外部に知られていない」 → 1960年代に中国は国民が日々の食事にも苦しむ中、「極秘の核兵器開発」に邁進していたが、日本は原発開発を進めるにあたり、IAEAの優等生という振舞ってきた。更に、現在のIAEA事務局長は日本人(天野之弥氏)が09年から就任している。一体どんな根拠をもってこの記事は書いているのか?捏造記事も甚だしいとはこのこと。「米国の庇護の下」というくだりは、むしろ米国としては「庇護するので日本は核兵器持たないでね」というのが基本スタンス。中国から見たら、日本と米国は、核の秘密を共有する仲間に見えるのでしょう。こういう陰謀論を撒き散らすことで、日本への印象を悪化させたいのでしょう。


この記事から透けて見えるのは、中国政府が日本の核武装を恐れている、ということ。

核武装阻止という目的のためには、自作自演での嘘情報の発信なぞ「通常業務」なのでしょう。

○「一人一票実現国民会議」とは何か


楽天の三木谷社長等の有志が中心となって「一票の格差」是正のために活動をしている。「一人一票実現国民会議」(http://www.ippyo.org/index.html )と銘打って、新聞広告まで出している。


活動の最終目標は、国政選挙における1議員選出あたりの有権者数を同数とすることらしい。


その手段として、最高裁判官の国民審査において「×」(不信任)をつけるように誘導している。

発起人を見ていると、新興企業の社長や学者等が中心の様子だが、どういった経緯で「国民会議」なるものが結成されたかは分からなかった。


今回は、全国紙の新聞に広告を載せて反論することもできない、声なき声を代弁して、以下の通り「国民会議」に対して異論を唱えたい。


○「一票の格差是正」は正しいように見えるが果たして…

まず、完全なる格差是正の実現可能性は、低いと思われる。

定数が決められて、県単位で選挙区を割り振る限り、一定の差が出てしまう。

「国民会議」HPには、大学院生が数字遊びで「1倍」になったと掲載しているが、行政区分を無視して人口だけで割り振りをした、何の意味もない資料である。


重要なポイントは「一票の格差是正」が、即ち現時点で「格差の恩恵」を受けている県の地位を低下させることだ。
鳥取県や島根県、高知県などは、県代表すら選出できなくなる可能性がある。

戦後の高度経済成長の中で、農村から都市に人口が集中した結果、大都市を抱えない「過疎県」は、高齢化社会とともに人口減少の傾向を加速させている。そんな地方からの国政への選出議員を減らすことになる。


果たしてそれでよいのか疑問である。



○現実的な問題

①「一人一票」を実現するには、過疎県からの代表が無くなる?

様々な決まりごとは県単位で区分されることも多く、国政選挙においても県代表を選出しないことは現実的ではない。


②都市部の代表が増える結果・・・

農村部と比較して、都市部は地域の繋がりが希薄である。都市部で選出される議員も、安定的な地盤を固めることが容易ではない。

特に小選挙区制が施行されてから、選挙の度に当選議員が入れ替わっており、与野党に「チルドレン」と呼ばれる「新人議員」が顕著に増加している。

もともと、都市部から選出される議員数が多い割には活躍している議員が少ないように思われる(調べてはいないが)。

市部の代表が増えるということは、地盤の弱い「根無し草」議員が増えることを意味する。



③一人一票というが、そもそも都市部の投票率は低い

権利の上に眠る者は、権利を主張することはできない。選挙に対する関心が高いのであれば、まずは「選挙に投票に行こう」からではないか。



小泉内閣が終了して以後、日本の首相は4代続けて1年足らずで辞任に追い込まれている。現在の菅首相もあとどのぐらい続けられるかは不透明である。

その原因は色々あるが、根本的な制度面での原因として、選挙制度の問題がある。


日本の立法府は、二院制を採っており、参議院も衆議院とほぼ同等の権限がある。そのため、衆参ねじれが生じた場合に、法律が成立しない事態を招いている。


また、議院内閣制のため、立法府が機能不全となると、国政の長である首相の存立基盤も脆弱となっている。


首相が毎年実質的に「クビ」になることで、日本の統治制度が脆弱化する事態を招いており、早急に手当てが必要である。もちろん、今でも「菅よりまともな首相」を担ごうとする動きはあるが、そもそもの「制度疲労」を起こしていることに起因している面も強いため、「誰が首相になっても同じ」な可能性は強い。


・制度疲労を起こしている原因は主に3つある

①衆議院の小選挙区制

②参議院の存在意義の不明確性

③国政選挙・地方選・党首選等、選挙が多い


①衆議院の小選挙区制

1999年に小選挙区導入後、衆議院で一つの政党が大勝・大敗する事態が「想定どおり」起きている。一方で、参議院の選挙は3年に一度、議員の半分を対象に、大選挙区比例代表にて選挙するため、議員の入れ替えは「ゆっくり」としたものになる。つまり、衆議院のみ小選挙区を導入した時点で、「必然的に」参議院とはねじれるのである。これは国政選挙の制度設計ミスと言い切ってよい。


②参議院の存在意義の不明確性

戦前の貴族院は、国の形として天皇を頂点とした貴族制度を維持する目的から存在した。一般の選挙で選ばれた議員(=衆議院)だけに立法府を任せてしまう不安もあった(もっとも、所謂、普通選挙の実施はだいぶあとだが)。一方で、戦後、GHQ主導のもと貴族院は廃止となったが、紆余曲折あり二院制を維持するため参議院として衣替えした。

そこで参議院は「良識の府」として存在することとなったが、実態としては衆議院に追随することが多く、存在感を発揮することは乏しかった。恐らく、参議院が最もその権限と存在感を発揮したのが、衆参ねじれによって可決できない事態が生じたときであろう。

これにより、衆参は立法府として機能不全に陥ってしまった。機能不全の組織は不要であるため、仕組みそのものを変更する必要がある。


抜本的な変更案

「良識の府」でありたければ、(思いつくところでは)経済界・学士院・褒章受賞者などを対象に、勅選(指名)による議員選出を検討するべきではないか。当然、権限は衆議院よりも下位に位置づけられるが、名誉職として学識経験者の「良識」を発揮する機会として用意し、また、有為な人材のプールと、国政への見識を高める機会するのはどうだろうか。


③国政選挙・地方選・党首選などの選挙が多い

毎年、結果として半月~1年ぐらいの周期で何かしらの選挙をしているため、椅子を暖める時間すらない。これでは時間をかけてまともな政策を実行に移すことなど期待できない。特に国政選挙が終って1年後に党首選の結果によって首相がかわるなど、あり得るべからざることである。


大統領制は不要

なお、日本の首相がコロコロ変るのは議院内閣制が悪いからだ、ということで大統領制導入の意見もあるが、上記の様に、仕組みを変更することでも十分対応可能と思われるため、大統領制導入までは不要と思われる。