レティシア妃 その9 ご婚約 | スペイン王室

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スペイン王室の現役メンバーから、遡ってその先祖の方々まで、おもしろそうな逸話をピックアップしてお届けします!

2003年11月1日土曜日午前、当初の予定通り、フェリペ
皇太子とレティシア・オルティス嬢の婚約日時公式発表が
マスメディアを通じ行われました。

その日の発表で、お二人の婚約は11月6日木曜日に
パルド宮殿にて、そして結婚式は、翌年夏、マドリード
に新しく出来たカテドラル(大聖堂)にて行われる旨が
伝えられました。フェリペ皇太子とレティシア嬢は、この日
まで、お二人のご関係を極秘にしていらしたので、ほとんど
全てのスペイン国民は驚きをもってこのニュースを受け止め
ました。レティシア妃は、既にTVE(スペイン国営放送)の
ニュースキャスターとしてスペイン国民に顔を知られており、
このニュースに、メディアは、


“若く知的で活発なジャーナリストが未来の皇太子妃になる。”


と、喜び、騒ぎ立てました。ダビードさんの話では、レティシア
妃は、ご両親や姉妹のテルマさんやエリカさんのことすら
信用せず、この日に婚約日時の公式発表があることを
伝えていなかったそうです。その日の夜は、どのテレビ局も
こぞって、


"未来の皇太子妃とはどう言う人物か?”


と言う特番を組み、放送したようですが、その中の一放送局
の番組のインタビューに、レティシア妃の父ヘスース氏が
答えていたそうです。ダビードさんが見た限り、短い言葉で、
レティシア妃を褒めていただけだったそうですが、これは、
後に、


“沈黙を守らなかった。”


と言うことで、レティシア妃の不況を買うことになったそうです。
翌11月2日だか3日だったかに、ダビード氏は王室の儀礼
担当官から、6日の婚約の儀への招待状を送る旨を伝える
電話を受け取ったそうです。そして、当日の朝は公用車が
ダビードさんとパトリシアさんをアパートまで迎えに来ること、
何でも問題なり疑問なりあれば、24時間で応対する番号に
電話するよう伝えてきたそうです。


この日が、実質レティシア妃にとっても、ダビードさんらご家族
にとっても王族及びマスメディアとのお付き合い公式デビュー
の日でした。でしたので、ある意味まだオルティス・ロカソラーノ
家の皆さんも、まあ


“とにかく、やれる限りやってみよう。”


と言う気にはなっていたようです。


若いながらも弁護士と言う仕事についていたダビードさんは、
普段からスーツやネクタイの銘柄などにも気を使っていたよう
ですが、この日のために、大枚なお金をはたき、いつも以上に
仕立ての良いスーツを拵えたそうです。


11月6日、ダビードさんとパトリシアさんは、入籍こそしていま
せんでしたが、事実婚同様と言うことで二人一組で招待され、
当日朝も、サルスエラ宮殿から二人だけを迎えに来る車が
向かわされました。しかし、レティシア妃の妹のエリカさんと
その彼氏のアントニオ=ビゴさんの場合は、未婚の父と母では
聞こえが悪いと言うことで、この日の前に急遽籍を入れること
になったそうです。

ダビードさんとパトリシアさんがパルド宮に着くと、大広間に
通されました。そこには既にヘスース氏、パロマさん、テルマ
さん、エリカさん、そしてアントニオさんが待っていたそうです。
ヘスース氏とパルマさんは、この日までもうかれこれ3年も
顔を合わせていませんでした。しかし、王室ご一家、その日の
写真撮影及びテレビカメラの前では、普通の夫婦のように
写り、振舞わなければなりません。結果、なるべく会話が
自然体になるよう努めていました。アントニオさんは、テルマ
さん同様美大出身で、その人生において、この日までスーツ
など着たことがない内気で素朴な人でした。ダビードさんは、
そんな彼を元気付けるため、色々な言葉をかけたそうです。

しばらくすると、王室の儀礼係の長官が現れ、


“数分後に国王陛下のご親族、エレナ、クリスティーナ両王女
ご夫妻、フェリペ皇太子及びご婚約者、国王、王妃両陛下、
の順でご入場されます。……カメラの前では、ご家族とは
言え、レティシア嬢にも‘カーティシー’をされますよう。動作は
なるべく普通に自然なよう、お願い致します。”


[​IMG]

↑貴重画像発見!フアン・カルロス国王にカーティシー
でご挨拶する在りし日のダイアナ妃。左にチャールズ
皇太子。皆さん、お若いですね!!


儀礼係の長官がその場を去った途端、ダビードさんと
パトリシアさんを除くレティシア妃の家族の皆が、一斉に
王室ご一家への挨拶の予行練習を始めたそうです。
男性陣は、何度も軽くお辞儀をして握手をする練習を、
そして女性人は、より複雑なカーティシーの練習。実際は、
誰一人としてカーティシ-などやったこともなければ、
やっている人もみたことがないのに、お互いに、


“首を曲げ過ぎたら駄目だよ。”


“あなたは膝を曲げ過ぎ。私みたいにやりなさい。”


と、まるで自分こそ生まれた時から王族か貴族だったかの
ように、お互いに挨拶の仕方を教え合っている姿は一種滑稽
だったそうです。


フェリペ皇太子のご婚約と言うある意味プライベートな色合い
も強い儀式でしたので、この日は国王、王妃両陛下、エレナ、
クリスティーナ王女両ご夫妻以外にも、国王の姉妹である
ピラール王女とそのお子様5人(つまりフェリペ皇太子の
従姉兄)、マルガリータ王女とそのお子様2(同様に従弟妹)
そしてソフィア王妃の妹でフェリペ皇太子には叔母に当たる
イリニ王女もご参列されました。

Se cumplen diez años del anuncio, por parte de Don Felipe y la periodista asturiana Letizia Ortiz, de su compromiso nupcial. Tras la comparecencia ante los medios, toda la Familia Real secundó al heredero y a su futura esposa.

↑前列左からマルガリータ王女ご夫妻、ヘスースさん、ソフィア
王妃、フェリペ皇太子、レティシア妃、フアン・カルロス国王、
パロマさん、ピラール王女、イリニ王女。
二列目左からダビードさん、パトリシアさん、離れてイニャーキ
氏、クリスティーナ王女、テルマさん、エレナ王女、ハイメ・デ・
マリチャラル氏、エリカさん、アントニオさん。
三列目左から1番目<アルフォンソ・スリータ(マルガリータ王女
長男)2番目<マリア・スリータ(マルガリータ王女長女)、3番目
<フェルナンド・ゴメス・アセーボ(ピラール王女四男)、4番目<
トーレ子爵(ピラール王女長男)、5番目ベルトラン・ゴメス・
アセーボ(ピラール王女三男)、6,7番目<ブルーノ・ゴメス・
アセーボ夫妻(ピラール王女次男)一番右二人<シメオネータ・
ゴメス・アセーボ夫妻(ピラール王女長女)


この写真を見て、部外者である私達は、


“流石皇太子のご婚約の公式写真。一族揃って美しい写真
だな。”


と言う感想を持って終わりますが、その場にいた当の
ダビード氏は、ただでさえ結婚相手が王族だと言うのに


王族+親族 → 20人

   vs

オルティス・ロカソラーノ → 8人


通常の結納などでは考えられない両家の人数の差に圧倒
されたと言います。写真撮影の際には、2列目は新郎新婦
の兄弟、3列目は従兄弟にあてがわれていました。しかし、
3列目はフェリペ皇太子の従兄弟でいっぱいになって
しまったため(そう言うところを計算しないサルスエラ宮殿
側も宮殿側と言うスペインらしいエピソード。)、ダビードさん
とパトリシアさんは2列目に降り、その分気を使って左端隅
に立ちました。エリカさん夫婦も控えめに右端よりに立ち
ました。それに反してテルマさんは、この頃から目立ちたがり
屋根性発揮とばかりに、エレナ王女とクリスティーナ王女の
間で、2列目ど真ん中とう立ち居地をキープします。
100台を越すカメラの前と王族の前で大したものですね、
テルマさん。


さてさて、この日の婚約会見ですが、まずお二人の仲の
良さが印象的でした。ただ、

1.婚約会見と言う公式の行事にパンツスーツを着用した
  こと。

2.皇太子の言葉を、“口を挟まないで。”と遮ったこと。

をマスコミに非難されていました。
2に関しては、レティシア嬢が話していたところに、フェリペ
皇太子が口を挟もうとしたため、レティシア嬢が、

“口を挟まないで。”

と言った為、通常のスペイン人の会話では、マナー違反
は、フェリペ皇太子になります。しかし、この場合場面が
公の場で、相手が皇太子なので、マナー違反はレティシア
嬢になってしまった、と言うわけです。

ついでに、この婚約の儀では、レティシア妃以外、パロマ
さん、テルマさんもパンツスーツで出席しました。エレナ
王女もパンツスーツのように見えますが、それは叩かれ
ないんですかね?


そして写真撮影が終了すると、皆さんでサルスエラ宮殿
に移動して、昼食を取られたそうです。パルド宮から
サルスエラ宮殿までは目と鼻の先ですが、その間、国王
ご一家と一緒の車列に加わり、交通規制が敷かれた
道中を、ダビードさんらレティシア妃のご家族も前述の
公用車でVIPさながら移動したそうです。

サルスエラ宮殿に到着すると、大広間に通され、30分程
食前酒やカナッペなどが配られつつ、談笑の時間が
持たれたそうです。とは言え、ここには未成年の親族まで
加わり、相手方は30人程にまで増えており、ダビードさん
らレティシア妃方親族は、一切何も口にする気にはなれ
なかったそうです。

食前の時間は、まだ7人固まって座っていられましたが、
昼食が始まると、それぞれの円卓毎に分けて座ることに
なりました。テルマさんはクリスティーナ王女ご夫妻と、
エリカさん夫妻はエレナ王女ご夫妻と、ダビードさんと
パトリシアさんは、ピラール王女の長女、シメオネータさん
ご夫妻と同じテーブルと言う具合です。ダビードさんは
シメオネータさんのご主人(現在は既に離婚、今は無き
スペインの二大デパートガレリーアス・プレシアードスの
創業者の孫)と話が合い、その昼食は楽しめたと言って
います。しかし、食事中に、ハイメ・デ・マリチャラル氏が
途中気分を悪くして倒れ、王妃が介抱されると言う
ハプニングが起きたそうです。ダビードさんは、見ては
いけないものを見てしまったような気がして、必死に目を
そらしたそうです。それから間もなく、使用人が来ると、
昼食会も何事もなかったかのように続行されたそうです。



フェリペ皇太子・レティシア妃婚約発表ドキュメンタリー

フェリペ皇太子・レティシア妃婚約期間ご公務他



こう言うものがあるので、良かったら見てみて下さい。
私も久しぶりに見てみたのですが、この頃のレティシア妃、
自然体でとても良いですね。ちょっとボーイッシュと言うか
スペインで意思の強い女性特有の喋り方も素敵だし、
笑い方もカメラを意識したものではなく、とても自然です。
それにこの頃は、積極的に、自分から民衆に近付いて
行こうされています。


Se cumplen diez años del anuncio, por parte de Don Felipe y la periodista asturiana Letizia Ortiz, de su compromiso nupcial. Tras la comparecencia ante los medios, toda la Familia Real secundó al heredero y a su futura esposa.

↑さて、婚約の儀に戻って、こちらパルド宮の中庭。上に幌
を張って、室内のようにしています。レティシア妃から
贈られたサファイアと白金のカフスを見せるフェリペ皇太子、
嬉しそう。


Se cumplen diez años del anuncio, por parte de Don Felipe y la periodista asturiana Letizia Ortiz, de su compromiso nupcial. Tras la comparecencia ante los medios, toda la Familia Real secundó al heredero y a su futura esposa.

↑こちらはフェリペ皇太子から贈られた婚約指輪。


Se cumplen diez años del anuncio, por parte de Don Felipe y la periodista asturiana Letizia Ortiz, de su compromiso nupcial. Tras la comparecencia ante los medios, toda la Familia Real secundó al heredero y a su futura esposa.

↑フェリペ皇太子の両手は大モテ、大忙し・・・
Se cumplen diez años del anuncio, por parte de Don Felipe y la periodista asturiana Letizia Ortiz, de su compromiso nupcial. Tras la comparecencia ante los medios, toda la Familia Real secundó al heredero y a su futura esposa.

↑国王がたまに冗談を飛ばしては、場を和ませ、こんな写真を
撮らせていたとか。