『[新訳] 自警』(新渡戸稲造) | 読書ン!大魔王

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ハ ハ 読書ン!
くしゃみひとつで 呼ばれたからは
それがわたしの ご主人さまよ〜
ハ ハ 読書ン!大魔王

評価 ☆☆ (二つ星)

I 「一人前」の人と「一人前」の仕事

「一人前」とは何を標準とした言葉なのか

「一人前」と統計学者の言う「ノルム」

「一人前」の人と「一人前」の仕事と学業

測る標準は自分の内面にあるのか外面にあるのか

職業上の「一人前」と全人としての「一人前」

一人前の仕事とは天賦の才能と力量のあらん限りを尽くすこと

II 強い人

「克つ」という言葉に込められた二種の考え

独り相撲で力んでいるだけの人

文明時代に必要とされる「強い力」

『新約聖書』に見られる霊的な強さ

よく耐える人は強い人

いよいよというときに発揮する強さ

戦場における日露両国兵の比較

自己に克つ者が世界に勝つ

III 外見は柔、内面は剛

英雄に表れた内面と外見の差異

剛・柔の調和を保って円満な人格がつくり上げられる

心の持ち方は剛・柔どちらにするべきか

身を処するには剛・柔がそれぞれ必要である

やわらかく握るところに〝人生の真味〟がある

柔和な心は相手の柔和な心を引き出す

柔和な人がこの世を継承していく

世の中に譲っても差し支えのないことが多いものだ

譲れないところはあくまでも固守せよ

生活上こういう強さを持っておきたい

IV 心が強くなる工夫
私自身もひどく気弱だった

蛇を恐れない豪胆さのある人

身体からくる気弱の原因

身体の一部の故障からくる気弱

弱点の自覚から起こる気弱

顔かたちや秘密がされけ出されても恥とはならない

自分の心得の最善を尽くせば無作法も恐ることはない

「心に何か隠し立てしようとする点がないか」と反問せよ


V 恐怖心をなくす方法

初めての英語演説

演説の震えを止めた経験

恐怖心に対処する二種の考え

信じてかかれば恐怖心は起こらない

恐怖心の根本的矯正法は自分自重にあり

『失楽園』に現れた悪魔の姿勢

顧みてやましさがなければ恐怖心は起こらない

VI 悪口に対する態度

人に最大の不快感を与えるものとは

英雄も聖人も悪口を気にかけるものだ

世評は修養の補助となる

悪口は一時的なものが多い

悪口の大部分は気にかける価値がない

知らない人の批判には弁解は不要

悪口は自然に消える

言葉よりも実行をもって弁解せよ

悪口に対する理想的態度

VII 世にはびこる者は憎まれる

世にはびこる者は憎まれる

古今の事例がこれを示している

意志の遂行と社交の遠慮はどう調和するのか

所信の貫徹に潜む大苦心

善事の背後でさえも敵は現れる

VIII人生の成功と失敗

アメリカ南北戦争における名将

彼は成功・失敗よりも任務の遂行を目的とした

義務を全うするところに成功がある

ギリシアのソクラテスを見よ

成功と失敗は世間の目には見えないものだ

世論を標準として失敗と成功は測ることはできない

IX 広く世間を生きていく心がけ

好き嫌いと善悪とは違う

好き嫌いで人を判断するという間違い

測る物体と測る標準とが違う

反対説にも耳を傾ける度量を養え

狭い自分の好き嫌いを標準として世の中に対処するのは危険である


X 報酬以上の務め

私のための駕籠を担いだ台湾の人たちの好意

物の真価を誤ってとらえる計算法

報酬以上に務める教育者

職業に就く三段の区別

「報瓊」の志

報酬を求める考えのない夫婦の関係

報酬を求める手段としての務め

報酬以上の務めの真義

このような心がけがあって人生の旅は「幸福」になる

XI 実業を精神化せよ

アメリカ実業家の人生観

個人的利益と国家社会の利益

個人の最良の利益はすなわち社会・国家の利益である

国家のためという誤解の危険

「国家」というよりも健全な個人の思想が大切

人生に甘みを出させる心がけ

XII 知らない恩人に対する感謝

イギリスの碩学が観た新道の要

知恩は日本民族の特長

恩の観念は固有か輸入か

思わぬところに恩人が潜んでいる

人も知らず自分自身も知らずに受ける恩

今もなお不明な私の受ける恩

惨憺たる一高の入学試験

入学試験中、車を待たせた婦人

出会う人すべて有り難くない人はない

XIII 忠告の取捨

教訓を責め道具に使うな

教訓を味わう力が足りない

聖賢の教えはなぜ凡人に理解されにくいのか

私たちの学校時代には徳育がない

教え諭しの値打ちを知る方法

抽象的な教えも具体的に翻訳して初めて会得する

忠告を受け容れられる〝肥沃な畑〟

正しいときに正しい言葉を放つのが賢人

成功する忠告と失敗する忠告

XIV 潔い感情と正しい考え方

偉大な考え方がなぜ萎縮するのか

意気地のない感情、皮相の感情

大統領選に現れたアメリカ人の感情と考え方

感情乱用の弊害をなくす必要

XV 感情による職業選択

職業とそれに従事する者の不釣り合い

難しい職業選定の依頼

感情による職業選択は必ずしも誤りとは言えない

伊藤博文の発奮の動機

私の友人にも同じような経験がある

一時の感情かそうでないかを判断する方法

感情的誤解の根本原因

XVI 若返りの工夫

いつも若い人

回顧反省

心機一転

一年に二回の花盛り

XVII 理想と実現

幼少時代の「理想」の思い出

最も貴ぶべき青年時代の理想

幼年の「理想」は現在の「理想」とどれほど隔たりがあるか

主義を持つ者の世渡りの覚悟

理想家に対する世論の変遷

XVIII 理想の実現

犬車の前に垂れ下げた肉片

理想とはどこまで行っても到達しないもの

理想とは遅かれ早かれ実現されるもの

理想を行為に〝翻訳〟するのが人生

誤って〝翻訳〟した実例

最大屈辱を最大敬礼とした〝誤訳〟

理想の〝翻訳〟を誤る人が多い

理想の実行は地位の有無に関係しない

理想は実行の中に現れる

ここに焚く火の烟なりけり