こんにちは。
野菜ソムリエコミュニティー岡山です。
9月に入り、残暑の中にも秋の気配を感じるようになってきました。
岡山では白桃からブドウへと季節が移り変わっています。
ですが、収穫が終わったからと言って、桃農家さんの仕事は終わりません。
実は、次の収穫に向けて最も重要な作業が始まるのです。
いつもお世話になっている濵田さんは
「やり方の個人差が大きく、桃農家の一番の腕の見せ所」だと言います。
それが、樹の剪定作業です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210903/09/vgful-okayama/7e/62/j/o0720108014995643480.jpg?caw=800)
剪定を行うタイミングは2回。
収穫後からすぐに行う秋剪定と、
気温が3℃ほどまで下がり樹が休眠する頃に行う冬剪定です。
栽培方法によって、どちらの剪定をメインにするか、どれくらい切るかは異なりますが、
浅原園芸組合さんの岡山自然流(超弱剪定)では秋剪定がメインとなります。
キーポイントは“樹勢”
秋剪定の大きな目的は、樹勢を調整すること。
樹勢というのは、読んで字のごとく樹の勢いのことで、枝葉や幹が伸びる生長の様子を表す言葉です。
桃栽培では「樹勢の判断が一番の肝」と言っても過言ではないそう。
というのも、
勢いが良い=栄養のある元気な良い樹
と思いがちですが、
樹勢が強すぎると枝葉ばかりが伸びてしまうので、
強くなく、弱くもない、中間の樹勢を目指します。
何を見て判断するかというと、葉の大きさと色です。
大きさは男性の手のひら程が良く、
色は緑が濃すぎると樹勢が強く、黄緑だと樹勢が弱いということ。
樹の全体をみると、根元から先端にいくほど色が濃くなるグラデーション=自然の樹の色が理想なのだそうです。
樹勢は、水はけや日当たりなど様々な要因に左右されるため、同じ圃場であってもそれぞれの樹で異なります。
大切なのは、一本一本の樹をよく観察すること。
樹勢が強い樹はしっかり剪定し、逆に弱い樹はハサミを入れずに置いておくなど、
樹の状態に応じた細やかな調整こそが、
桃農家さんの職人技なのです。
秋に枝を落とすワケ
剪定する枝は、3つのことを念頭に決めます。
①これから伸びる枝
②作業の邪魔になる枝
③日当たりを遮る枝
特に秋剪定で切るのは①です。
その理由はふたつ
・枝は細いときに切るほど樹へのダメージが少ない
・切らずに置いておくと葉が茂り、光合成をして養分を蓄えることでさらに樹勢が強くなる
から。
このまま切らずに置いておくと、数ヶ月で人差し指ほどの太さにまで生長してしまう
新しい桃の1年は、もう始まっている
剪定した枝を観察すると、なんと、もう次の花芽が!
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210903/09/vgful-okayama/2e/f7/j/o1080072014995643500.jpg?caw=800)
今後は秋剪定を進め、9月下旬~10月中旬は肥料入れ、10月末~新しい樹を植えるための土づくり、
そして、12月になると定植、冬剪定、そして摘蕾も始まります。
また次の1年に向けて動き出した浅原園芸組合さん。
これからも応援しています📣✨
(冬剪定にもうかがう予定です。お楽しみに)
藤本
筆者プロフィール
倉敷在住の野菜ソムリエプロ。小学生2人の母。
「剪定まで見に来るなんてマニアックですよ」と言われ、そうなんだと気づきました(笑)