こんにちは。

野菜ソムリエコミュニティー岡山です。

 

9月に入り、残暑の中にも秋の気配を感じるようになってきました。

岡山では白桃からブドウへと季節が移り変わっています。

 


ですが、収穫が終わったからと言って、桃農家さんの仕事は終わりません。

実は、次の収穫に向けて最も重要な作業が始まるのです。


いつもお世話になっている濵田さんは

やり方の個人差が大きく、桃農家の一番の腕の見せ所」だと言います。

 


それが、樹の剪定作業です。



剪定を行うタイミングは2回。


収穫後からすぐに行う秋剪定と、

気温が3℃ほどまで下がり樹が休眠する頃に行う冬剪定です。



栽培方法によって、どちらの剪定をメインにするか、どれくらい切るかは異なりますが、

浅原園芸組合さんの岡山自然流(超弱剪定)では秋剪定がメインとなります。

 



  キーポイントは“樹勢”

 

秋剪定の大きな目的は、樹勢を調整すること。


樹勢というのは、読んで字のごとく樹の勢いのことで、枝葉や幹が伸びる生長の様子を表す言葉です。

 


桃栽培では「樹勢の判断が一番の肝」と言っても過言ではないそう。

 

というのも、

勢いが良い=栄養のある元気な良い樹

と思いがちですが、

樹勢が強すぎると枝葉ばかりが伸びてしまうので、

強くなく、弱くもない、中間の樹勢を目指します。

 

何を見て判断するかというと、葉の大きさです。


大きさは男性の手のひら程が良く、

色は緑が濃すぎると樹勢が強く、黄緑だと樹勢が弱いということ。


葉の色がよく、手のひらサイズで樹勢が丁度良い

葉の色が薄く、葉が小さくて樹勢が弱い

樹の全体をみると、根元から先端にいくほど色が濃くなるグラデーション=自然の樹の色が理想なのだそうです。

 



樹勢は、水はけや日当たりなど様々な要因に左右されるため、同じ圃場であってもそれぞれの樹で異なります。


大切なのは、一本一本の樹をよく観察すること。


樹勢が強い樹はしっかり剪定し、逆に弱い樹はハサミを入れずに置いておくなど、

樹の状態に応じた細やかな調整こそが、

桃農家さんの職人技なのです。

 

樹の形は上に行くほど広がる、扇形がベスト


  秋に枝を落とすワケ


剪定する枝は、3つのことを念頭に決めます。


①これから伸びる枝

②作業の邪魔になる枝

③日当たりを遮る枝

 

特に秋剪定で切るのは①です。


その理由はふたつ


・枝は細いときに切るほど樹へのダメージが少ない


切らずに置いておくと葉が茂り、光合成をして養分を蓄えることでさらに樹勢が強くなる

 

から。


このまま切らずに置いておくと、数ヶ月で人差し指ほどの太さにまで生長してしまう


特に上へと伸びている立ち枝は、ぐんぐん伸びるので今切り落とします。


取材前に思っていた「桃が実ったばかりなのに、すぐ枝を切って樹が弱ってしまわないのかな?」という疑問は解消し、
剪定の重要さと奥深さを知ることが出来ました。



  新しい桃の1年は、もう始まっている

 

剪定した枝を観察すると、なんと、もう次の花芽が!


この芽が来年また実をつけると思うと、生長を追いかけた身として何だか感慨深いものがあります。


今後は秋剪定を進め、9月下旬~10月中旬は肥料入れ、10月末~新しい樹を植えるための土づくり、

そして、12月になると定植、冬剪定、そして摘蕾も始まります。


摘蕾についてはこちら 

 


また次の1年に向けて動き出した浅原園芸組合さん。

これからも応援しています📣✨

(冬剪定にもうかがう予定です。お楽しみに)



藤本


筆者プロフィール


倉敷在住の野菜ソムリエプロ。小学生2人の母。

「剪定まで見に来るなんてマニアックですよ」と言われ、そうなんだと気づきました(笑)