こんにちは!

野菜ソムリエコミュニティー岡山の藤本です。

 

風薫る5月。山々の新緑が鮮やかに輝いていますね。


前回はピンクに染まっていた桃畑にも、葉が茂ってきました。

そして葉の間には小さな桃の実をたくさん見つけることが出来ます。




今回のテーマは「摘果」


桃の実を間引く作業のことで、

収穫する実に栄養を集中させ、大きく味よく育てるために行われます。

 



岡山自然流ならではのポイントは


体験させていただく中で、その場にいた皆が感じたのが

「思いの外たくさん実を落とすんだな」ということ。


それもそのはず、ここで残すのは全体の1/6程度。


最終的に残す実の1.21.5倍まで絞っていくため、どんどん落としていきます。

その数は、品種の特性などによって異なるそうです。



予備摘果、本摘果の2段階があります



間引くのは、

受粉に失敗して小さいままのものや、傷のあるもの、形の悪いもの、実のついた場所の悪いもの。


左が摘果する桃、右は順調に育った桃


ここで必ず残したいのが、短い枝についた実です。



↑このようなもの

これが浅原園芸組合が取り組む

岡山自然流(超弱剪定)のキーポイント。



長い枝は伸びて生長するのが役割なので、栄養は枝葉にぐんぐん使われます。


その分短い枝はその役割がないため、実の生長に栄養を集中することができるのです。




長く伸びる枝



桃の樹には手入れをしてはいけない期間がある!?



作業する期間にも大きな意味がありました。



そのキーワードは「硬核期


こうかくき、です。

 


摘果作業は、

桃の花の満開から30日後から45日後頃までの約2週間で終わらせます。


45日後から何が始まるかというと、核(種)の変化です。


柔らかく白かった核は茶色みをおびて硬くなり、

中では胚(新しい芽や子葉になる部分)が出来てきます。


これが硬核期です。(満開70日後頃まで)



このように、

子孫を残すための劇的な変化が起きている期間、

桃の樹はまるで妊婦さんのようにデリケート。



摘果で急激に実の数を減らしてしまうと、

その反動で、残った実の核が割れてしまうんだそうです。

(残った実に栄養が集中し、急激に肥大することで、核の生長が追いつかず割れてしまう)



核割れした実は、

樹から落ちてしまったり、変形したり、味が乗る前に熟してしまったりと、

桃の品質に大きく関わります

 


なので、摘果は硬核期までに終える。

このタイミングはとても大切なのです。




おわりに


てんとう虫がたくさんいました。アブラムシを食べてくれる益虫です。


回を重ねて、ひとつひとつの作業の意味を知るにつれ、
一番最初に室山組合長からうかがった

「おいしい実をいただく代わりに、桃の樹が持つ力を精一杯出せるように人間が手助けさせてもらう」

という言葉が沁みてきます。


次回は、岡山の白桃作りに欠かせない「袋掛け」の作業をお送りします。
お楽しみに🍑

今回も濵田さんにお世話になりました。
ありがとうございました!

 



《筆者自己紹介》
倉敷市在住の野菜ソムリエプロです。
小学生2人を育てる母。
先日、庭に種まきした在来種の野菜の生長が楽しみです🌱