【口腔腫瘍】歯が抜けた口の中に赤いものが出きている #エプリス#メラノーマ#扁平上皮がん | まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

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小動物臨床をしている獣医師です。書くことが好きで本も書いています。自分の勉強したことを伝えて、少しでも世の中に還元できれば、こんな嬉しいことはありません。

 

イメージ写真

 

↑高齢の犬の上顎の腫瘍 歯石が蓄積

 

 

高齢の犬が、前歯が落ちて、何か赤いものができているということで、来院しました。

口腔内のケアをしたことがないようで、歯石はたくさん付いています。

口腔内を見せてくれず、飼い主さんの動画でなんとなく把握。

 

上顎の前歯だったので、奥まで見えず、鎮静をかけて以下のことをしました。

・組織を取り病理検査へ

・歯石の除去

・レーザーで患部を蒸散

・レーザーで歯肉内の細菌の処置

 

病理検査はエプリスでした。

良性の腫瘍でした。

 

【口腔内の良性腫瘍について】

 

口腔内の腫瘍は、メラノーマや扁平上皮がんなど悪性のものが多いですが、エプリス乳頭腫は良性です。

 

エプリス:

歯肉にできる良性腫瘍です。

歯周病の併発や歯石が蓄積しているなど、口の中の状態が悪いパターンが多いことから、口腔内炎症なども誘因になると考えられています。

 

線維性エプリス、骨性エプリス、棘細胞性エプリスの3つの種類に分類されます。棘細胞性エプリスは進行が早く、再発も多く見られます。

 

良性でも再発などがあるので、麻酔などができる状態なら、取った方がいいですね。

 

乳頭腫:

皮膚乳頭腫と呼ばれる小さなイボのことで、イヌパピローマウイルスによって引き起こされます。

通常はせいぜい1㎝以下の大きさで、口の中や唇、まぶた、頭、背中、足など、皮膚や粘膜のどこにでも発生します。

対処せずともイボが自然に消失することがありますが、切除手術の対象になることもあります。

 

エプリスなどは、病理検査をしないとはっきりと診断できないことが多いです。

 

【口腔内の予防法】

やはり歯磨きは基本です。

口腔内にトラブルがあると、飲水量も減って腎臓疾患になりやすいし、食欲も落ちるので、飼い主さんは、もふもふちゃんの口腔内ケアをしっかりしてあげてください。