■いまさら聞けない去勢手術 #精巣壊死 | まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

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小動物臨床をしている獣医師です。書くことが好きで本も書いています。自分の勉強したことを伝えて、少しでも世の中に還元できれば、こんな嬉しいことはありません。


20年前なら去勢手術は、
1.鳴いて困るから。
2.大人しくさせるため。
3.子供を産ませないよう。
4.そこここにマーキングするから

という理由でされることが、多かったです。

いまやそんな時代は、終わり病気にならないためにします。
もふもふちゃんたちは、長寿になりました。
10歳過ぎた頃から
1.精巣の病気
2.前立腺の病気
3.肛門の病気

などが増えます。

そんな病気は、去勢手術さえしていれば、防げる病気が多いです。

今回、ご紹介する子は、
『なんか精巣が腫れている』

というものでした。
写真では、わかりにくいですが、初診のときは、赤くなって左右差が、かなりありました。

『去勢手術してない子に、この手の病気が多いのよね』と思いながら、診察。若いときにして欲しいよね、と内心思いながら。

(治療法)
1.去勢手術すること。
2.シニアになれば、血液検査や心臓のチェックして、手術に耐えれるかどうか調べてから、
3.精巣を取り出したら、病理検査をして、がんかどうか調べてる。


これを読んだ読者のみなさん、
『そんなら病気になった時でいいわ』と思っていませんか。

ちょっと考えてください。
1.若いときに手術するか、年老いてするか?
2.元気なときに手術するか、病気のときに手術するか?

どちらがいいか、考えてくださいね。
シニアになると、病気になる確率は上がりますから。

↑左が壊死した精巣。   右が正常。

この子は、
『精巣壊死』
でした。

血管が捻れて精巣に血が行かず、壊死していたのです。放置すると精巣が腐ってくるわけですね。

この子は、がんではなかったけれど、がんになる子もいます。がんの場合は、手術だけで終わらないから、たいへんです。

(まとめ)
1,生後半年ぐらいになったら、去勢手術をする。
2.去勢手術をしていないもふもふちゃんは、毎日、精巣の大きさをチェックする。

私の個人的な考えですが、
10分から15分ぐらいで終わる手術、若いときにさっさとして、シニアの健康的な生活を手に入れた方がいいのに、と思います。

去勢手術の話をすると、男性の飼い主さんが、かわいそにと言われます。私は男性なデリケートな気持ちは、理解出来ないけれど、元気で長生きのもふもふちゃんを見たいのでね。