まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

まねき猫ホスピタル院長 獣医師・石井万寿美 ペットのいる暮らし

小動物臨床をしている獣医師です。書くことが好きで本も書いています。自分の勉強したことを伝えて、少しでも世の中に還元できれば、こんな嬉しいことはありません。

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↑眼窩 鼻腔内リンパ腫が寛解してもうじき6年以上のいちごちゃん

 

私たちの動物病院は、がんの子を多く診察しています。

 

そこで、セカンドオピニオン、サードオピニオンという風に多くのもふもふちゃんが来院されます。

それを見ていると、動物病院選びは難しいなと思います。

 

飼い主さんの情報能力にかかってくるのです。

ネットには情報があふれていますが、それで何を自分は信じるか?が難しいです。なぜ、このようなことが起きるのかを考えてみましょう。

 

【なぜ、動物病院選びは難しくなったか?】

 

ワンコさまは平均15歳、ネコさまは16歳と寿命が延びています。

それに伴い慢性疾患も増えています。そのため、動物病院選びは命に関わる重要なポイントです。

 

以前なら、喧嘩や拾い食いをしたなどが多く、抗生物質やステロイド剤などで治ったのですが、そうじゃないと病気が増えたのです。

 

【専門の人に診てもらう】

 

その疾患に詳しい獣医師に診てもらうことが理想です。

たとえば、私はがん治療を得意としており、専門的な診察と治療を行いますが、眼科や整形外科の分野は専門の病院を紹介するようにしています。

 

【飼い主さんのできること】

 

飼い主さんとしては、一つの病院で全て診てもらえたら理想かもしれませんが、動物の健康を守るためにも、病気に応じて適切な病院や専門医を選ぶことが大切です。

 

 

↑眼窩 鼻腔内リンパ腫が寛解してもうじき6年になるいちごちゃん

 

私たちは、毎日、がんのもふもふちゃんを診察しています。

 

もちろん、全員ではありませんが、寛解をしている子がいます。

 

飼い主さんの考え方で、定期的に来ていただいていると、早期発見ができるのですが、寛解したらしばらく来られない方がいます。

しばらくぶりに来院されたら、再発や違うところに原発できたりしています。

 

●なぜ、がん再発や他のところにできるのか?

□がんになりやすい体質になっているから

□年齢を重ねると免疫力が弱るから

 

などです。

 

●飼い主さんのできること

□食事療法をする

□体を酸化させない

□尿のpHをアルカリ性に

□定期的血液検査や尿検査をする

血液検査をしていてもリンパ球の数を調べてくださいね。

 

私たちは、がんは慢性炎症で体を変えないとがんになりやいと考えています。

一度、寛解してもがんになりやい体にしていると、そこが寛解しても他のところが原発でできたりしますので、気をつけてあげてくださいね。

 

 

文春オンラインでは、ペット購入時のペットの健康トラブルについて以下のように報じています。

男性が雄のロシアンブルーをペットショップで購入しました。その「健康診断書」には「耳(耳道内)」「心臓(聴診)」など13項目中12項目について「異常なし」とし、「陰睾」は「未確認」となっていたそうです。

ところが、近所の動物病院に連れて行くと検査をして漏斗胸であることがわかったそうです。

ペットショップの店長からは、「同じようなのでいいですよね。取り換えます」と言われたそうで、男性は納得がいかず、チェーンの経営者に謝罪を求めると、役員から電話で「裁判してもらって構いません」と告げたとのことです(文春オンラインより)。

 

ペットショップで購入時“健康トラブル”「系列の動物病院に連れていく」の落とし穴(石井万寿美) - エキスパート - Yahoo!ニュース

 

 

当院では、がんの動物の治療を行っています。

口腔内に腫瘍がある、または食欲が落ちている動物も少なくありません。

そのような場合は、流動食のような食べやすいものを与えるのがおすすめです。ただし、市販品にはがん治療に適したものが少ないため、以下の手順で手作りしてください。

【用意するもの】

  • 魚のみを主成分とするタンパク質フード
  • コーヒーミル

【作り方】

  1. ペットフードをコーヒーミルで粉末状にします。
  2. 35度程度のお湯を注ぎ、よくかき混ぜます。

お湯の代わりに、ハンドミキサーでペースト状にした野菜スープを薄めて使用するのもより良い方法です。

【与え方】

シリンジ(注射器)を使用すると与えやすくなります。

【注意点】

体重が減少している場合は、この食事にアミノ酸やプロテインを加えることで、体重の減少を防げることがあります。

食事は治療の重要な一環ですので、工夫しながらしっかりとサポートしていきましょう。

 

 

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↑眼窩 鼻腔内リンパ腫が寛解して5年半以上経っているいちごちゃん

 

和田洋巳先生のがん治療を学び始めてから、およそ8年が経ちました。

 

「がんとは何か?」という基本的な問いを考えずに治療を行うと、なかなか寛解には至りません。

がんは慢性炎症の結果として発生することが多いため、炎症を放置してはいけません。

そのため、治療の際には以下の項目を確認しながら進めています。

 

  • CRP
  • SAA
  • 好中球/リンパ球の比率
  • 尿のアルカリ性

また、がん治療として以下の方法も取り入れています。

  • 食事療法
  • 重曹療法
  • 高濃度ビタミンC点滴
  • 丸山ワクチン
  • 有機ゲルマニウム療法

これらの方法を用いて「もふもふちゃん」が炎症を起こしにくい体質にすることで、がんのリスクを下げることができます。

これらを理解している飼い主さんのもとでは、もし「もふもふちゃん」ががんになっても、寛解しやすい傾向が見られます。