「漁船」を主題とした書籍 | 艦艇・船舶つれづれ

艦艇・船舶つれづれ

旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

今日は奥様のお姉さまが、奈良県の大和郡山でピアノスクールの発表会がある、ということで行ってきました。

 

やまと郡山城ホールの小ホール

 

ホールの正面には、近鉄の線路越しに郡山城址に再建された櫓が見えます。

 

近鉄電車の線路越しに見える郡山城址の櫓

 

前回のブログでは、「漁船」を主題とした書籍を基にしたものでした。

今回は、これに因んで「漁船」を主題とした書籍を集めてみました。

 

前回取り上げたのは、和歌山県内において日華事変から大東亜戦争に至る一連の戦争で徴傭を受けた漁船について記載されていた「常民の戦争と海」という書籍でした。

 

「常民の戦争と海」中村隆一郎、1993年8月、東方出版

 

機帆船「明宝丸」について記載したページ

 

前回も書きましたが、数少ない戦時下の漁船の状況について、当時の乗組員への聞き取りを中心に書かれた貴重な書籍です。

 

同じような性格を持つ書籍として、「漁船の太平洋戦争」という書籍があります。

 

「漁船の太平洋戦争」服部雅徳、1992年6月、殉国漁船顕彰会

 

特設監視艇の哨戒範囲についてのページ

 

焼津市の鰹・鮪漁船「第5福一丸」について記載したページ

 

ハードカバーの立派な書籍ですが、戦前に静岡県の焼津漁協に所属し、帝国海軍の特設監視艇として徴傭された漁船についての概略から数隻の具体例などが記載されたもので、当時の漁船の状況について第一級の資料です。

 

もう一冊、漁船に特化した書籍を。

その名も「日本漁船史」という、大上段に振りかぶった書名の書籍です。

 

「日本漁船史」日本漁船史編纂委員会、1986年10月、漁船協会

 

「まき網付属灯船」の解説ページ

 

大型漁船用ディーゼル機関の発達についての解説ページ

 

「付録 漁船協会50年の歩み」の表紙

 

戦後の漁船およびその機関・装備などの発達と、漁船協会の歩みについて記載された書籍で、こちらもハードカバーの立派な書籍です。なお、こちらは非売品だったようです。

 

次は文庫本です。

「戦う日本漁船 戦時下の小型船舶の活躍」という、光人社NF文庫の書籍で、前回のブログでも写真等を一部引用した書籍です。

 

「戦う日本漁船」大内建二、2011年10月、光人社

 

戦時中に急造された機帆船の状況を示すページ

 

米国において漁船を徴傭し特設掃海艇とした例を示すページ

 

この書籍は、「漁船の太平洋戦争」と同じような、特設監視艇などとして徴傭された遠洋漁業用の漁船、機帆船などの大東亜戦争における運用の概略が記載されているほか、海外における漁船の徴傭の状況などを網羅的に開設した書籍です。

 

このほか、船舶・艦艇全体の構造等を記載した書籍として、漁船についても記載のある「船の種類」「船体各部名称図」などの書籍があります。

 

「船の種類」池田勝、1974年7月改訂、海文堂

 

各種漁船の構造を示したページ

 

「改訂 船体各部名称図」池田勝、1979年9月、海文堂

 

漁船の内部構造等を示したページ

 

また、造船側から見た昭和期の漁船の発達については、明治百年史叢書の造船関連4冊「日本近世造船史 明治時代/大正時代」「昭和造船史第1巻/第2巻」の4冊や、「船舶百年史 前篇/後篇」などには、近代の漁船の発達について、項を設けて体系的にまとめてあります。

 

明治百年史叢書の造船関連書籍4冊

 

「船舶百年史 前篇/後篇」

 

船としての「漁船」を題材とする書籍は新刊で入手できるものはほとんどありません。

今回取り上げた書籍も、すべて古書で入手したものです。

 

「漁船」そのものが、「船舶」から見ても、「造船」から見ても主要な題材ではなく、また海の近くに住む者から見れば身近すぎ、また日常の生活から見ると遠すぎる存在であるため、趣味とするにはインパクトが弱い存在であるといえます。

 

それでも、歴史的には「船」の出現とともにあり、大東亜戦争では多数が徴傭を受け失われた悲惨な事実もあります。

そして、今でも我々の主要な食材のひとつである「魚」を得るために重要で、捕獲する対象により、また漁法により多種多様な形態を持つ「漁船」という存在。

 

港に行った際には、観察してみるのも面白いかもしれません。