令和2年12月12日・サノヤス造船の「神鷹丸」 | 艦艇・船舶つれづれ

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旧帝国海軍および海上自衛隊の艦艇、海上保安庁の船艇、主に戦前の民間船舶を中心としたブログです。
「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

昨日は午後から休日出勤でしたので、少し早めに車で出発してサノヤス造船の対岸へ。

 

海上保安庁の巡視船等は見当たりませんでしたが、少し変わった船がいました。

船名は「神鷹丸」と書かれています。

 

 

令和2年12月12日・サノヤス造船の「神鷹丸」

 

「神鷹丸」の船首

 

Wikipediaで調べてみると、「神鷹丸(しんようまる)」は東京海洋大学海洋生命科学部が保有する海洋調査船・練習船、とあります。三菱重工下関造船所で建造され、平成28年4月に竣工しており、現在の船は4代目に当たるそうです。

 

東京海洋大学海洋生命科学部のHPを見ますと、下記の記載があります。

「日本周辺から太平洋赤道海域までを航海し、水産・海洋に関する実習、海技教育などに取り組み、高度な海上技術者を養成しています。海中はもちろんのこと海底下までも調査できる最新鋭の観測装置を搭載しています。」

 

 

 

【要目】

 総トン数:986トン、全長:64.55m、全幅:12m

 主機:ディーゼル機関(発電機)×3、主電動機×2、推進軸:2軸

 出力:1,600kW、航海速力:13.56ノット、乗組員数:76名

 ※引用:Wikipedia

 

海洋調査船・練習船「神鷹丸」(引用:Wikipedia)

(Ootahara - 投稿者自身による作品, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=59025159による)

 

このブログでは、以前・帝国海軍の給糧艦「荒崎」から練習船「海鷹丸」になった話を取り上げました。(戦後に客船に変身したジミ艦 給糧艦「荒埼」

 

「神鷹丸」の向こうにいるのは気象庁地球環境・海洋部の海洋気象観測船「凌風丸」のようです。

 

海洋気象観測船「凌風丸」の船尾

 

「凌風丸」は、石川島播磨重工業・東京第一工場で平成7年6月に竣工し、その任務はWikipediaによると「主に海洋の大規模で長期的な変動を監視するため、海底の地形、海洋の表面から深層に至るまでの水温や塩分、海流などの海洋観測を行うとともに、海水中の重金属や化学物質、油分のほか、二酸化炭素やメタンなど地球温暖化の原因とされる温室効果ガス、オゾン層を破壊するフロンなどの洋上および海水中の濃度を観測している」そうです。

【要目】

 総トン数:1,380トン、全長:82.00m、型幅:13.00m、型深さ:6.00m、吃水:4.71m

 主機:ディーゼル機関×1、推進軸:1軸

 出力:4,000馬力、航海速力:14ノット、乗組員数:60名

 ※引用:Wikipedia

 

海洋気象観測船「凌風丸」

(Ootahara - 投稿者自身による作品, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18148273による)

 

サノヤスホールディングスは、創業以来の中核会社である「サノヤス造船」を「新来島どっく」へ令和3年2月に譲渡することになりました。「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」に、以下の通り記載されています。

 

「水島製造所の操業確保のため製造原価を下回る船価での新造船受注を甘受せざるを得ず、ここ数年、大幅な赤字決算を余儀なくされたことに加え、当年度は新型コロナウィルス感染症流行の影響から、新造船の不振を補完すべく期待していたM&T事業の事業環境も不安 定な状況となりました。

ここに至り、いまだ回復の兆しが全く見えない事業をこれ以上継続することは当社の財務体力上困難であり、また、将来、新造船市場が回復したとしても、中韓において巨大な造船会社 が誕生し、資機材調達に係るコスト競争、環境規制・デジタル化推進といった新造船の技術開発競争が熾烈化する中、当社単独の造船事業規模では生き残っていくことは難しいとの判断から、造船事業の未来を繋ぐために、新来島どっくに譲渡することを決定いたしました。」

 

また、ジャパン・マリンユナイテッドが今治造船と資本業務提携、三井E&Sホールディングスが三菱重工業に艦艇事業を譲渡、三菱重工の香焼工場を大島造船へ譲渡(これは決定していませんが)など、日本の造船業は再編が進んでいます。

 

海に囲まれた海洋国家として、船は欠かせない輸送手段であり、防衛手段でもあります。

日本の造船業界の今後が心配されますね。

また、今後も木津川で海上保安庁の船艇を見続けることができるよう、祈っています。

 

令和2年6月27日のサノヤス造船・大阪製造所の全景