呉・アレイからすこじまからの続きです。
潜水艦の桟橋の陸側に2隻の掃海艇が係留されています。しかし、艇名は読むことができません。
令和2年11月21日・アレイからすこじまにて
画面右の艇はうっすら「ながしま」と読めます。
画面右の艇の艇尾
画面左の艇は、こちらもうっすらと「ゆげしま」と読めます。
画面左の艇の艇尾
この2隻ですが、元掃海管制艇の「ゆげしま(MCL-731)」と「ながしま(MCL-732)」です。
この2隻は「うわじま(MSC-672)」型掃海艇の8番艇、9番艇として、平成6年度計画で建造されました。
「ゆげしま(MCL-731)」は日立造船神奈川工場で、「ながしま(MCL-732)」は日本鋼管鶴見造船所でそれぞれ建造され、両艇ともに平成8年12月に竣工し、呉に配備されています。
【要目】
基準排水量:490トン、満載排水量:570トン、船質:木、全長:58.0m、幅:9.4m、吃水:2.9m
機関:ディーゼル×2、推進軸:2軸
出力:1,800馬力、速力:14ノット、乗員:28名
兵装:20㎜多銃身機銃×1、SAM管制装置×1
※引用:世界の艦船別冊「海上自衛隊2020-2021」No.928、2020年7月、海人社、P63
掃海艇「ゆげしま(MSC-679)」(引用:Wikipedia)
(海上自衛隊, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48458221による)
平成29年・函館港の掃海艇「ながしま(MSC-680)」
「ゆげしま(MSC-679)」は、平成16年2月に大湊へ転属、平成28年11月には掃海管制艇「まえじま(MCL-729)」の除籍に伴い、掃海管制艇への類別変更工事を受けます。
平成29年3月に掃海管制艇に類別変更、艇番号も「MCL-731」に変更され、定係港も呉に戻ります。
掃海管制艇「ゆげしま(MCL-731)」(引用:Wikipedia)
(Kaijō Jieitai (海上自衛隊 / Japan Maritime Self-Defense Force) - https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/mcl/ieshima/#731-1, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=84678981による)
一方、「ながしま(MSC-680)」は、平成17年2月に舞鶴へ転属、さらに平成24年3月には大湊に転属し函館が定係港となります。
平成29年12月には掃海管制艇「くめじま(MCL-730)」の除籍に伴い、掃海管制艇への類別変更工事を受けます。
平成30年3月に掃海管制艇に類別変更、艇番号も「MCL-732」に変更され、定係港も呉に戻ります。
掃海管制艇「ながしま(MCL-732)」(引用:Wikipedia)
(Kaijō Jieitai (海上自衛隊 / Japan Maritime Self-Defense Force) - https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/mcl/ieshima/#732-2, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=84679193による)
そして、令和2年10月1日付で2隻とも除籍されました。
ちなみに、「ゆげしま」は愛媛県・芸予諸島の中の上島諸島に属する「弓削島」から、「ながしま」は鹿児島・西岸は東シナ海、北岸および東岸は八代海に囲まれ、長島列島の主島である「長島」から艇名が採られています。
なお、「ゆげしま」には先代があります。
昭和19年6月に米国海軍のアルバトロス型掃海艇「スワロー(AMS-36)」として竣工し、戦後にモスボールされていたもの貸与を受けた「うじしま(MSC-655)」型の6番艇で、「ゆげしま(MSC-660)」は昭和30年4月16日に貸与を受けています。
【要目】
基準排水量:310トン、満載排水量:375トン、船質:木、全長:42.0m、最大幅:7.1~8.4m、
吃水:2.5~2.6m、深さ:3.7~4.0m
機関:ディーゼル×2、推進軸:2軸、出力:1,000馬力、速力:15ノット、乗員:39名
兵装:40㎜単装機銃×1、20㎜単装機銃×2、掃海具1式
※引用:世界の艦船別冊「海上自衛隊全艦艇史」No.630、2004年8月、海人社、P45
掃海艇「ゆげしま(MSC-660)」
(引用:「丸スペシャル 機雷艦艇1」No.72、1983年2月、潮書房、P.44)
「ゆげしま(MSC-660)」は他の「うじしま」型と異なり、煙突がなく舷側排気方式となっているのが特徴でした。昭和41年3月に特務船「YAS-40」に変更され、昭和43年3月に除籍・返還されています。
冒頭の写真は、「ゆげしま(MCL-731)」「ながしま(MCL-732)」の除籍後の姿でした。写真に写ってはいないものの、艇番号も消されています。
竣工から20年強の間、掃海艇・掃海管制艇として地道に働き続けた艇の最後の姿として、価値のある一枚だと思い取り上げてみました。