先日長崎に行ってきた際に、三菱長崎造船所の外れに一隻の奇妙な形をした船が停泊していました。
遊覧船の解説によると「NTTのケーブル敷設船 きずな」であるとのことでした。
【要目】
全長:109m、 幅:20m、 総トン数:8,598トン、 速力:13.2ノット
(出典:NTT WE-マリンHP)
そういえば、帝国海軍にも「電纜敷設艇」なる種別の敷設艇がいたな~。と頭に浮かびました。
調べてみると、「初島」型4隻が在籍していたことがわかりました。他の3隻は「釣島」「大立」「立石」の名称でした。
この4隻は昭和14年度予算で建造され、昭和15年から16年にかけて竣工しました。4隻は4か所の鎮守府に配属され通信線の敷設に従事していました。
【要目】
基準排水量:1,560トン、全長76.80m、幅:10.80m、吃水:3.53m
機関:直立三段膨張式レシプロ×2、缶:ロ号艦本式×2
出力:2,300馬力、速力:14.0ノット
兵装:8cm単装高角砲×1、13mm連装機銃×1
(出典:丸スペシャル47「敷設艇」)
戦局が悪化すると電纜敷設艇も船団護衛に駆り出されるようになり、昭和20年に入ると「釣島」を除く3隻は失われます。
ただ1隻、戦争を生き抜いた「釣島」は当時の逓信省が連合軍に掛け合い、昭和20年末に許可を得て「鶴島丸」として運用されることなります。さらに昭和23年に改造され本格的な海底電線の敷設船として活躍します。
(出典:「写真と図による 残存帝国艦艇」 木俣滋郎)
昭和27年に日本電信電話公社が設立されると「釣島丸」も移管され、昭和43年3月まで第一線で活躍をつづけました。
そして、昭和60年に電電公社が民営化され「日本電信電話株式会社(NTT)」に継承されます。
この「釣島丸」は、冒頭で紹介した「きづな」の大先輩に当たる船であったのですね。「きずな」写真を撮っておいて良かったです。