護衛艦「とね」、巡洋艦「利根」と呉 | 艦艇・船舶つれづれ

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「海軍艦艇つれづれ」からタイトルを変更しました。

 先日遠征した呉の大和ミュージアムですが、その隣にる呉中央桟橋ターミナルから見えるのがジャパン・マリンユナイテッド(JMU)にて何やら工事をしていた護衛艦を発見!
 
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 あとで確認したら、DE234「とね」であることがわかりました。
 「とね」というと、先代の一等巡洋艦の「利根」を連想します。そして、「利根」が終焉を迎えた地も呉でした。
 一等巡洋艦「利根」はロンドン海軍軍縮条約に基づくマル2計画の1艦として計画、最上型二等巡洋艦の5番艦とする予定でありましたが、友鶴事件や第四艦隊事件により計画変更し、15.5cm3連装砲4基の計画で昭和9年5月に三菱長崎造船所で起工されます。
 ロンドン海軍軍縮条約の失効後には主砲を20cm連装砲に変更し、昭和13年11月に竣工します。前部に主砲塔4基を集中し、後部は水上機運用甲板とした独特のスタイルですが、その航空機運用能力から大東亜戦争では機動部隊と行動を共にし大活躍します。
 
【要目(新造時)】
基準排水量:11,231トン 水線間長:189.1m 幅:19.4m 吃水:6.2m
主機:ギヤード・タービン4基、4軸 缶:ロ号艦本式8基
出力:152,000馬力 速力:35.0ノット
兵装:50口径20.3cm連装砲×4、40口径12.7cm連装砲×4基、
    25mm連装機銃×6基、61cm3連装魚雷発射管×4基、水上機6機
    射出機×2基
 ※出典:世界の艦船別冊「日本巡洋艦史」
 
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巡洋艦「利根」(1942年、出典:Wikipedia)
 
 前述の通り、大東亜戦争では大活躍しますが、レイテ沖海戦では戦艦大和・武蔵とともに栗田艦隊に所属し水上戦闘に参加します。そして護衛空母「ガンビア・ベイ」へ砲撃し撃沈に一役買います。この海戦では一等巡洋艦のほとんどを失い、姉妹艦の「筑摩」も没しますが、「利根」は内地に無事帰投します。
 昭和20年になると練習艦に指定され内海から出撃することがなくなり、7月の呉軍港大空襲により着底して最期を迎えます。そして、冒頭の「とね」が工事をしていたJMU呉事業所(当時の播磨造船所呉船渠)にて解体され姿を消します。
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大破着底した「利根」(出典:Wikipedia
 
 ちなみに3代目となった護衛艦「とね」はあぶくま型乙型護衛艦(DE)の最終艦(6番艦)として平成5年に竣工します。
 
【要目】
 基準排水量:2,200トン 水線間長:109.0m 幅:13.4m 吃水:3.8m
 主機:ガスタービン2基、ディーゼル2基、2軸
 出力:27,000馬力 速力:27ノット
 兵装:OTOメララ62口径76mm単装砲×1、Mk15-20㎜機関砲(CIWS)1基、
     ハープーンSSM4連装発射機×2、アスロックSUM6連装発射機×1、
     324mm3連装短魚雷発射管×2
 ※出典:世界の艦船2000/7「海上自衛隊護衛艦艇史1953-2000」
 現在最新のDEではありますが、今後DEは建造されないようなので、同艦種としては最終艦となるのではないかと思います。
 「利根」には防護巡洋艦である初代があるほか、明治初期に第ゼロ代ともいえる「第一利根川船」と「第二利根川船」もあります。また機会があればしょうかいしましょうか。