$very50 現地レポート
津波の被害が甚大な海岸沿いの地域の中では町の規模としては特に大きい方のはずの石巻では、自衛隊やNGOだけでなく海外の救援部隊も含め多くの支援が集まっている。数百メートル離れた別の学校では電気が復旧していて避難者のために提供された灯油ストーブとテレビが各教室に一台ずつ置いてある。そこから徒歩数分の公民館は学校と違い教室のように何部屋もあるわけではなく一つのホールに多くの人が詰めて暮らしていて、衛生環境に問題がありそうな空気を感じた。4月以降は学校が再開されるに伴い、学校にいる避難者はこの狭い公民館に移ることになっているらしい。
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どういう基準で誰がどの避難所で生活することが決定されるのか、その答えは意外とシンプルだ。自宅から最も近いあるいは偶然被災した日にその避難所に辿り着いたといった理由で、それ以上でもそれ以下でもない。数分歩いた先の避難所の方が、明らかに生活条件が良いにもかかわらず、そうした避難所に移ることができないのは何故なのか。この答えもまたシンプルで、基本的に「生活活条件の良い避難所を選んで移動する」という行動原理が最初から選択肢にないようだった。もちろん皆がそうした行動原理で動いてしまうと大きな混乱が生じていただろうし、慣れた生活空間から飛び出して改めて人間関係や生活のリズムを整えるのは大きなエネルギーを消費するということもあるだろう。東京で買い占めが問題になっている時には東北にいてあまりその実態を知らないが、生活水準の低下を受け入れらない人がもしこの街にもたくさんいたのなら、避難所の運営はもっと混乱していたかもしれない。

盛岡からJRで一ノ関まで行き、そこから高速バスで約80分、仙台に到着。仙台から塩釜、松島を通って石巻市へ向かう。報道でもよく知られている通り、石巻市は最も被害が大きい街の一つ。
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避難所になっている小学校を訪問。電気ガス水道が復旧していないことは想定内だったものの、被災から2週間以上たった後も暖房がなく非常に寒く真っ暗な環境の中で生活していることには驚いた。これまで訪ねてきたどの避難所よりも過酷な環境だった。日没からは、個人的な懐中電灯のみの明かりで生活。日を増すごとに風邪やインフルエンザが広がっていて、体力の弱っている高齢者の方が病院へ運ばれていくという。それでも避難者の方はとても満足そうに食糧が無事届いており本当に多くの方の支援に感謝しているとしきりに伝えてくれた。が、どこかの体育館では一箱の段ボールも入らないくらい支援用の衣類が集積されているというのに、ここでは2週間前の被災当時に着ていた服を今も着続けているという。ここ石巻市では、被災者一人ひとりの境遇にだいぶ差がある。


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ほぼ全ての商店は営業停止状態の地域を歩いていると、フリーマーケット的なサービスが組織的に行われているのを見つけた。いらなくなった服や靴を市内の人から集めて、若干泥が付いたままのものも含めてクリーニングせずに、それぞれ100円で販売している。様々な作業で泥まみれになるのだから、きれいである必要はない替えの服や靴を必要としている人は多い。供給側も、瓦礫となった家から掘り出したものがゴミになるよりはよほどいい。無償の支援物資と異なり経済活動としての側面もあるため、運営主体となっているスーパーマーケットの営業再開にも貢献している。

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駅から海岸側の一体ではほとんどライフラインが復旧していない。主要な交差点では警察官が数人がかりで手信号を続けている。昼間の明るい時間帯に避難所から自宅付近に戻り、瓦礫の除去作業に励む方が多い。一体どこからやってきた何の物体なのかもわからないやたら重い鉄くずを移動させるのに一苦労。お年寄りの方だけで家の瓦礫の整理に取り掛かっている姿がよく見られる。まだ市外からのボランティアを受け付けていないが、人手の需要は非常に大きい。入江から内陸に伸びる川まで行ってみると、高さ3mはある堤防が、強大な津波の跡もヒビ一つ入ることなく川沿いにそびえている。強度も高さも、この町の津波被害に備えた管理が特別不十分とはとても思えない。
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3月21日から宮古市の被災者向けに災害情報の臨時放送、みやこさいがいエフエムがスタート。宮古市街地から宮古湾岸部までの地域で周波数を77・4メガヘルツに合わせると聴くことができる。この放送のチラシがバスの待合所や再開している商店など市内の人の目につきやすい場所に置いてある。内容は給水炊き出しの具体情報だけでなく、全国からの応援メッセージや、物資の入荷状況など。
盛岡に帰るバスを待っていると、それぞれ初体面の人が自分たちの状況を語り合っている。僕の番になって、正直に東京から来たことを告げると、
「また少し落ち着いたらゆっくり遊びにおいで。」といろんな意味で想定外の反応。
「何か困ったことがあったら連絡下さい。」と使い古された反応しかできなかったのが、少し悔しかった。