
津波の被害が甚大な海岸沿いの地域の中では町の規模としては特に大きい方のはずの石巻では、自衛隊やNGOだけでなく海外の救援部隊も含め多くの支援が集まっている。数百メートル離れた別の学校では電気が復旧していて避難者のために提供された灯油ストーブとテレビが各教室に一台ずつ置いてある。そこから徒歩数分の公民館は学校と違い教室のように何部屋もあるわけではなく一つのホールに多くの人が詰めて暮らしていて、衛生環境に問題がありそうな空気を感じた。4月以降は学校が再開されるに伴い、学校にいる避難者はこの狭い公民館に移ることになっているらしい。

どういう基準で誰がどの避難所で生活することが決定されるのか、その答えは意外とシンプルだ。自宅から最も近いあるいは偶然被災した日にその避難所に辿り着いたといった理由で、それ以上でもそれ以下でもない。数分歩いた先の避難所の方が、明らかに生活条件が良いにもかかわらず、そうした避難所に移ることができないのは何故なのか。この答えもまたシンプルで、基本的に「生活活条件の良い避難所を選んで移動する」という行動原理が最初から選択肢にないようだった。もちろん皆がそうした行動原理で動いてしまうと大きな混乱が生じていただろうし、慣れた生活空間から飛び出して改めて人間関係や生活のリズムを整えるのは大きなエネルギーを消費するということもあるだろう。東京で買い占めが問題になっている時には東北にいてあまりその実態を知らないが、生活水準の低下を受け入れらない人がもしこの街にもたくさんいたのなら、避難所の運営はもっと混乱していたかもしれない。



