ベロニカのオススメ洋書☆ -3ページ目

ベロニカのオススメ洋書☆

洋書歴15年のベロニカが英語レベル別にお勧めの洋書を紹介します☆

Forget You Had a Daughter: Doing Time in the ’B.../Sandra Gregory
 

¥878

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難易度 ★★★★


10年ほど前の映画ですが、「ブロークダウン・パレス」という、タイで麻薬密輸の容疑をかけられ、無実の罪でタイの刑務所に投獄されるアメリカ人少女たちの映画がありました(クレア・デーンズ、ケイト・ベッキンセール主演)。この本は、冤罪ではなく実際に麻薬密輸の罪を犯し、懲役25年を言い渡されたイギリス人女性、Sandra Gregoryのタイ刑務所での壮絶な体験を綴った手記であり、実話です。題名の「Forget You Had a Daughter」は、彼女が獄中から送った両親への手紙に書いた、「娘がいたことは忘れて欲しい・・・」という言葉です。タイで英語教師として暮らしていた彼女がなぜ、麻薬密輸という罪を犯してしまったのか・・・そして、その劣悪な環境から皮肉を込めて「Bangkok Hilton」(バンコクのヒルトン)と呼ばれているLard Yao女子刑務所での過酷な生活、複雑な関係にあった両親の愛と、娘の恩赦を勝ち取るための戦い・・・ 自らの過ちを受入れた彼女が綴るこの手記は、読む者の同情を求めることなく、罪と償いを淡々と正直に語っています。実話ならではの迫力があり、未熟で無謀だった彼女が、獄中での体験で成長していく過程には胸を打たれます。タイで麻薬絡みの犯罪で逮捕される外国人は毎年、後を絶ちません。そのような外国人を裁くタイの司法制度の実情や刑務所の実態なども克明に記されています。

司法制度に関連する語彙を除いては難易度はそれほど高くなく、比較的シンプルな文体で書かれていますので、中上級に入れてはいますが中級の方でも読める作品です。

ブロークダウン・パレス [DVD]/クレア・デインズ,ケイト・ベッキンセール,ビル・プルマン

¥995

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One Child/Torey Hayden

¥705

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難易度 ★★★★


11月のある日、6歳のシーラは3歳の少年を木に縛りつけ、火をつけました。母親に道路脇に置き去りにされ、親戚知人にたらい回しにされ、刑務所帰りの父親には虐待され、シーラの傷だらけの心は怒りと悲しみに満ちていました。そして一人の教師が彼女に出会った時、誰にも愛されなかった少女と教師の癒しへの旅が始まりました・・・

この本は、誰もが匙を投げた障害児たちの特殊学級を受け持つ教師トリイ・ヘイデンがシーラと過ごした日々を描いた実話です。決して涙を流さず、不信感と怒りでいっぱいの眼で大人たちを睨みつける6歳の少女は、驚くほど高い知能の持ち主でもありました。人を信じることをすでに諦めてしまったシーラにトリイが与え続けたもの、それは決して揺るがない、条件なしの愛(Unconditional Love)でした。

近年、日本でも子供の虐待が社会問題になっています。心に深い傷を負った子供たちが、果たしてその傷を癒し、再び心を開いていくことができるのか・・・ シーラの物語は、それが不可能ではないことを証明しています。この本が、そしてシーラが私たちに提示しているのは「希望」そのものなのです。

本はそれほど厚くありませんが、教育者としてプロ意識の高い文章のために若干難易度の高い語彙を使っていますので、中上級者にお勧めします。実はこの本には続編(「Tiger`s Child」)があります。トリイは14歳になったシーラと再会を果たし、多感な年頃になった彼女と再び関わることになります。こちらも、「One Child」と同じくらい素晴らしい作品ですので、シーラの「その後」に興味がある方はぜひ読んでみてください。



The Tiger’s Child/Torey Hayden

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Eat, Pray, Love: One Woman’s Search for Everyth.../Elizabeth Gilbert
¥875
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難易度 ★★★


この記事を書く一週間前にちょうど、映画が公開されました。まだ観ていないので映画の出来についてはコメントできませんが、この作品の魅力は作者のユーモアに富んだ素晴らしい文章センスに依るところも大きいので、できれば映画を観る前に読んでほしい作品です。

著者Elizabeth Gilbertの自叙伝であるこの作品は、夫との別居、不毛な恋愛、そして泥沼の離婚調停に疲れ果てた彼女が、イタリア、インド、そしてバリ島への旅を通して自分を取り戻していくという話ですが、決して単なる旅日記ではありません。彼女が語っているのは異国への旅ではなく、魂を探索する旅(Soul Searching)なのです。この本は、社会的レッテルやプレッシャーなどの既成概念に囚われず、自分で自分の人生を定義づけることの大切さを教えてくれます。アメリカの女性は自由に生きているような印象を持っている人も多いかもしれませんが、実際にはアメリカ人女性も日本人女性と同様に、「母親」や「妻」、「バツイチ」、「独身」などさまざまなレッテルの中で葛藤し、迷い、もがいているのです。知らず知らずのうちに自分を縛り付けているものから自らを解き放ち、本当の幸せを貪欲に求めていくこと・・・男性であっても女性であっても、簡単なことではありません。

結婚して素敵な家に住み、「幸せであるはず」の彼女がある日気がついたのは、「もう結婚していたくない」という全く正反対の自分の気持ちでした。やっとの思いで離婚にこぎつけ、旅立った彼女は、イタリアで「食」の悦びを、インドで「祈り」の静寂を、そしてバリ島で「愛」を見つけます。

今まで私の読んだ本の中でもベスト5に入る作品です。ぜひ、この本を読みながら彼女と一緒に泣き、笑い、心を解き放ってください。この作品には続編(「Committed」)があり、彼女のその後の人生を語っています。読んだらまた、ここでご紹介したいと思います。




Committed: A Sceptic Makes Peace with Marriage/Elizabeth Gilbert

¥1,790
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Wild Swans: Three Daughters of China/Jung Chang
¥708
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難易度 ★★★★


この本を読もうと思ったのは、中国本土で禁書になっている本がある、と中国系の友人に聞いて興味を引かれたからでした。それまでは中国の歴史にはあまり興味がなく、知識もありませんでしたが、この本がきっかけで中国の人々が歩んだ苦難の歴史、特に毛沢東の最大の過ちであったといわれる文化大革命について非常に興味を持つようになりました。

この作品は、著者Jung Changと彼女の母、そして祖母という3世代の女性が20世紀の中国という波乱に満ちた時代に翻弄されながらも、それぞれのやり方で生き抜いてゆく姿を感動的に綴った実話です。30ヶ国語に翻訳され、世界中で1000万部以上のベストセラーとなった本書の著者Jung Chang1978年に故国を離れ、イギリスの大学で博士号を取得した最初の中国人となりました。

将軍の妾として嫁いだ祖母が歩んだ日本軍占領下の中国、共産党員の妻として文化大革命の狂気に晒され、過酷な運命を生き抜いた母、そして共産主義の闇を知り、自分の人生を切り開いていった著者・・・時代を超えた3人の女性の強さに心を打たれ、涙が止まりませんでした。

この記事を書いている現在、尖閣諸島問題で日中関係は激しく揺れ動いています。中国に対してネガティブな印象を持っている日本人は少なくありませんが、中国の人々が生き抜いてきた苦難の歴史を理解している人はどれだけいるでしょうか。この3人の女性の歩んできた道を知ることで、私たちには時に理解しがたい彼らの文化や価値観がどこから来ているのか、何かヒントが見えて来るような気がします。

本の性質上、歴史や政治に関連する用語がよく出てきますので、難易度は高めですが、一生心に残る作品になることは間違いありません。


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洋書を読むコツの一つとして辞書を出来る限り使わない、というお話をしました。とはいえ、読み慣れないうちは辞書を全く使わないわけにはいきません。 ただ、英和辞書からは一刻も早く卒業するのが、洋書を読みこなす近道です。洋書を読む上で一番障害になるのが、文章を和訳しながら読むクセだからです。 英語の文章を読み、それを頭の中で和訳してから読むことほど、頭を使う、疲れる作業はありません。「訳す」ことに気をとられ、ストーリーに「はまる」ことも難しくなります。英語で読んだものをそのまま映像として頭の中に思い浮かべながら読むことができないと、夢中になってページをめくる状態になることは非常に難しいのです。最近は、ハリーポッターなどの人気の洋書に、対訳や重要な単語の和訳を親切に書き添えてある本が出ていますが、ああいうものは絶対にお勧めしません。和訳して読むクセをわざわざつけているようなものです。

辞書を使うのであれば、日本語を使っていない辞書を使いましょう。英語の先生で、よく「英英辞典を使いなさい」と勧める先生がいます。でも私は英英辞典はほとんど使いませんでした。単語の意味をやさしい英語の文章で説明していて分かりやすいのですが、英語を和訳するクセがあるうちは、その文章を無意識に和訳してしまうのです。私がお勧めしたいのはThesaurus(類義語辞典)です。Thesaurusは、一つの単語の類義語がいくつも書かれており、単語の意味の説明はあまりありません。 英検2級程度の語彙力があれば、一つの単語を引いてみると必ずいくつかは知っている類義語が入っています。一つの単語に、似たような意味の複数の単語が「関連付け」され、「意味」というよりは「イメージ」として頭に入れることができます。それでもつい和訳してしまう人もいると思いますが、他の辞書よりはずっと、「イメージ化」しやすいはずです。そしてこれが、洋書をそのまま映像化しながら読むということにつながってきます。

試しに、洋書の分からない単語を5つほどThesaurusで引いてみてください(持っていない方はhttp://thesaurus.com/ )。5つのうち2~3個くらい、「漠然と」文章の意味が分かって読み進むことができれば、Thesaurusで洋書を読んでいく準備ができていると思います。もしほとんど分からないようであれば、もう少し語彙を増やす必要があると思うので、まずは単語帳などでてっとり早く語彙をある程度増やし(詰め込み学習は日本人の得意分野なので大丈夫です!)、その後で再度洋書にトライしてみることをお勧めします。


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Oxford Paperback Thesaurus (Thesaurus .../著者不明
¥1,101
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New American Roget’s College Thesaurus in Dicti.../Philip D. Morehead
¥617
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