著 ディーター・ウィズナー
マイケルのことが知りたくて購入した一冊。
本書を読むにあたり、マイケルの歴代マネージャーが知りたかったのだけど、なかなか見つからない。
仕方ないから英語で検索をかけると、マイケルには父親を除いて、5人のマネージャーがいたことがわかる。
間違っていたらすみません。
1人目はFrank Dileo(84-89)。
恐らく一番有名で、日本でも名前を聞いたことのある人物。
2人目はSandy Gallin(90-時期不明)。
3人目は本書の著者であるDieter Wiesner(96-03)。
4人目はRaymone Bain(恐らく05-07)。
そして5人目がDr Tohme Tohme(08-09)。
ディーター・ウィズナー曰く、マイケルのビジネスを乗っ取り、マイケルを外部から遮断した人物。
コロニー・キャピタルの代表で、投資会社だが、高利貸しのようなものだという。
マイケルが亡くなる少し前に、フランク・ディレオがマネージャーとして復帰している。
本書には書かれていないが、マイケルからマネージャーに復帰するよう依頼があったという。
これだけのマネージャーがいて、そのほとんどが突然解雇されたり、マイケルと直接連絡が取れなくなったりしていて、なんだか恐ろしく感じた。
ディーター・ウィズナーもある日突然マイケルの新しい取り巻きによって、クビ宣言を受けている。
マイケルの周りには、元妻のリサが言うように、ヒルみたいに寄生する金の亡者が常に付き纏っていた。
彼をその取り巻きから守ろうと奮闘した人々がいたことは確かだが、マイケル自身でさえその巨大な力から、完全に離れることはできなかった。
マイケルは良くも悪くも、人を信じやすく騙されやすい性格だったと思う。
ただひとつ思うのは、マイケルがビジネスや物欲を捨てていたら、もう少し周りにつく人々も違っていたのではないかと思う。
例えば、ビートルズの版権やディズニーやピクサーなどの買収計画など。
お金の集まる所に、人々は集まるのだから。
マイケルは慈善事業やビジネスをするには、優しすぎたのかもしれない。
それを象徴するのが、ネバーランドに住まわせていた一家と、裁判の問題。
どんな善人でも巨大なお金と権力を手にすると、少しずつ変わっていってしまう。
マイケルが良かれと支援していた一家も、最初から悪人だったわけではなかったはずだ。
人を助けるのは難しい。単にお金や安全な場所を支援し提供し続けるより、その人が自立していく道を一緒に探す方が良いのかもしれない。
本書を読むと、マイケルはたくさんのビジネスや夢を抱え、2000年以降も前向きに活動していたことがわかる。
決してネバーランドでひっそりと老後を迎えようとしていたわけではないのだ。
マイケルにはまだまだたくさんの夢と野望があった。
しかし、裁判によってマイケルは安らげる場所であるネバーランドを奪われ、近隣住民からの苦情で新しく住む場所も追われ、安息の地がなかったのは本当に悲しい。
今までマイケルを歓迎してきた人々が、一斉にマイケルに背を向けるのだ。
それはどれほど残酷で悲しかっただろうか。
マイケルが安息の地を求めて、家にこだわったわけもわかる。
そのためにやりたくもなかったThis is itツアーにサインをしたのだ。
そしてそれさえも叶わず、マイケルはこの世を去ってしまった。
マイケルの死後、今までの攻撃的な報道とは打って変わって、キングオブポップと賞賛する報道に変わったのはなぜか。
あれだけマイケルを苦しめていたメディアの変わりようはなんなのか。
マイケルが死んで得をした人物はどれくらいいるだろう?
背筋が凍るほど恐ろしくなる。
そして更に恐ろしいのが、いまだにマイケルが性的虐待をしたと訴え、それをもとにしたドキュメンタリーがつくられ、お金を儲けようとする人々がいることだ。
そんなものは信じないでほしい、見ないでほしい。
マイケルの言葉を借りるなら、そんなことに人々はお金を費やしてはいけない。
人々はもっとマイケルの音楽や、今まで築いてきた彼の功績に目を向けるべきだ。
そういえば最近、YouTubeで松本人志が裁判中のマイケルについて語っている動画が話題になっている。
松本は“俺の判断ですよ。全部嘘やと思う”とあの時既にマイケルの無実を見抜いていたのだ。
マイケルは極度のお人よしで、周りが賠償金目当てで好き勝手言っているだけなのではないかと。
まっちゃんはわかっていたのかーと感心したが、そんなまっちゃんも今酷いことになっているので、なんとも皮肉だ。
人は見えるものばかり信じてはいけないし、自分の目で見たもの以外、簡単に信じてはいけないのだと改めて感じた。
まっちゃんも無実であってくれよ、と思う。
無実かそうでないのかは裁判の結果も出ていないし、わからないのだけど、私たちはあまりにもそういう情報だけに左右されすぎていないかと思う。
マイケル・ジャクソンが無実の罪で何年も訴えられ、何十億というお金が費やされていく間、ハーヴェイ・ワインスタインやジェフリー・エプスタインやジャニー喜多川は平然と罪を重ねていたのだから。
アメリカや日本の警察、メディアはそこをもっと深く反省すべきだと思う。
ひとりのスーパスターであり善良な市民であったマイケル・ジャクソンを傷つけるのではなく。
本当の犯罪者を裁くべきなのに。
ディーター・ウィズナーの本はマイケルのことやその周りで起きた出来事を、とてもわかりやすく描いていて読みやすかった。
心温まるような話もいくつか紹介されていて、ファンとしては嬉しい。
特に最後に書かれているピザの話や、マイケルが日本人ファン2人のことを“お魚ちゃん”と読んでいた話や、パリスへのマイケル記者のインタビュー話など笑
思わず笑ってしまう話もある。
マイケルは意外と頑固だったんだなあー。
気になる人はぜひ本書を読んでほしい。