自分の好きだったことを思い出すと人生を彩るカードが増えていく | 人生の果実を味わう彫金職人の暮らし フィレンツェ物作り物語

人生の果実を味わう彫金職人の暮らし フィレンツェ物作り物語

フィレンツェ在住22年の、ジュエリークリエーターKaorukoが、物作りについて、イタリア子育て生活をまじえながらお伝えします。

日本の皆様、おはようございます。


今年最後のテニス納めは、ミックスダブルス。

いつもの日本人メンバーは、年末の旅行で揃わなかったので、日本人は、女性陣だけで、男性陣はイタリア人。


シングルス上級者が加わってくれると、一気にレベルアップ!

とは行かないまでも、


それなりに皆、一生懸命対応していたので、中々面白かった。


二時間体をしっかりと動かした後、中央市場近くのアジアンフードのお店で、お節に必要なものを少し買い足し、家に帰る。


寿司用のサーモンとマグロの買い出しは主人と長女に頼んでおいたので、

これで、なんちゃってお節と、長女が友人たちとの持ち寄りパーティーに持って行く寿司の用意はできそうである。



そして、午後からは主人とストロッツィ宮で行われているコンテンポラリーアートの展覧会へいく。





インド人現代彫刻家、アニッシュ カプーア



母の容態が悪くなって日本へ帰国し、最期を見届けて、お葬式など行っていた時に、

イタリアに戻ったらしたいことの一つに美術館賞があった。


ルネッサンス美術で良かったのだが、元々、ベネチアビエンナーレに出展されるような現代美術が好きな私の好みを慮って、主人が選んでくれた展覧会だった。


視覚に訴える作品は、想像力を刺激して、たくさんの想起が浮かんでは消えていった。




ワックスでできたこの作品Svayambhu、ぱっと見良く理解できなかったのだが、ゆっくりとレールの上を移動していくうちに、作家も意図していない造形に変化していくというもの。


30分間で、二つの部屋の間を移動する。



ちょうど部屋と部屋の出入り口にピッタリとおさまったところ。



隣接した部屋にはこうして少しずつワックスのかたまりがレールを通っていどうしてきている。


この部屋には、



Endless Column

天井を突き抜けるような錯覚を抱かせる柱のオブジェが設えてあった。


この前の部屋には、可愛らしいこちらの作品。To Reflect an Intimate Part of the Red





そして、



正面の様子。写真で見ると凹凸が多少分かるけれど、裸眼で見ると、白い壁は真っ直ぐに見える。

光を9割型吸収する素材を使って作られたこれらは、目の錯覚で、見る者を動転させる。


横から見るとこんな感じ。



正面から見るとただの黒い円に見えるこの作品は

横から見るとこのようになっていた。






これは正面から見るとやはり白い壁にただの黒い円が描かれているかと思いきや、横から見るとお皿のような形であった。


この次の部屋は、鏡を使った不思議部屋。

すでに目が眩んでいた私は、こちらを飛ばして、座って主人を待つことにした。


鏡の間に入った主人は、目がまわるように作ったという作者の意図にまんまとはまり、気持ち悪くなっていた。





エンジェル(天使)というタイトルのこちらは、


素材は岩とピグメント。


重い素材を軽く見せている。


そして写真では角度が悪いのだが、良く見ると天使の羽のような岩を二枚見つけることができた。


作者の意図があるかは分からないが、タイトルとの関係性を見つけることができた気がした。



インタビューの中で、正反対とか逆を意識しての作品作りというフレーズがあったのだが、


上の作品で言えば、重さと軽さ。


その他、白と黒。生と死。凹凸などなど、


今回展示されている全ての作品の中に対比を見つけることができた。



アンチ現代美術の主人もこの展覧会には、かなり感動していて、見た後にすぐに詩が生まれたようなので、創作意欲を刺激する何かが詰まっていたのだろう。


芸術においても、ビジネスにおいても、誰もが見逃している普通のことを深く掘り下げると(しかし、誰の目にも止まらないところを深掘りできる着眼点があるかどうか?)

こういう傑作が出来上がる。


一見普通っぽい作品なのだが、見る人のパズルが合致するというか、哲学的で詩的で謎解きをするように作品を眺めることできる。共感性もそこで生まれ出しているのかもしれない。


主人と一緒に意見を交換し合ううちに、自分の考えも固まっていくのが興味深かった。


内省というとか、内観というか、

空っぽのように感じていた(特に最近、手強い本の読書から離れているので)時だったので、


ただの感想のように口走っていることも、それなりに今までの読書や美術館賞の裏付けがあるから、出てきたことだと感じて、ほっとするとともに、

無駄なことは一つもないのだと感じる。


ここのところ実利主義に走り過ぎていて、そこが主人との距離感となっていたことも確認しながら、


私の基本はこうだったのだな!

と思い出すことができて、良かった。


テニスも好きだが、こうした世界も好きだった。


自分の好きを思い出して、再び育むことも悪くない。


テニスを思い出して深掘りしているように。



ポケットから色々なカードが出てくる度に、人生は色濃くなっていく。


こちらのフィレンツェ、ストロッツィ宮での展覧会は2024年2月4日まで開催されているので、ご興味がある方はこちらのサイトから


また、同時期に日本でもカプーアの展覧会が2024年1月28日まで表参道のジャイル・ギャラリー(GYRE GALLERY)

行われているので、日本の皆様も是非お見逃しなく!






オンダ イヤーカフ 925シルバー ブルートパーズ



それでは、本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。



Kaoruko Nakashima がフィレンツェで制作しているハンドメイドジュエリーにご興味がおありの方はどうぞこちらをご覧ください。 

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