何に急かされることもなく、その瞬間瞬間を味わう。
何時までにこれをして、あれをしてという日常に追われる切迫感から解放される。
思いっきり、主人の時間感覚。
実際フランスに入ってから、語学堪能な主人に任せっぱなしなので、彼の嗜好での観光になっても何も文句は言えない。
と言うか、私は自分の行きたいところを散りばめるだけよりも、
この方が新たな発見があるので、がちがちのモデルコースよりも贅沢に時間を使える。
SEILLANS(セイヤン)に行ってみるとマックス エルンストの美術館は冬季の営業時間が異なっていたため閉まっていた。
この街は、マックス エルンストが生前住んでいた。
休館だったのは、残念だったが、マティスやシャガール、ゴッホほどは、プロバンスで接したいとは思っていなかったので、それほどの落胆とはならなかった。
ほぼ観光客なしのような街を家族でまわるのも中々楽しい。
アーティストの街のようで、ささやかな展示会も行われていた。
このプレゼピオは宗教的シーンだけでなく、土地の特色も表されていた。
旦那さんが長年コレクションして倉庫に置いていたものを、
奥さんが、
「こんな、場所を取るものは捨ててしまおう!」
と文句を言っていたプレゼピオが、
毎年クリスマスのシーズン毎に、街で展示される貴重な代物になったというのも、興味深い。
楽焼きのテクニックを使って制作をしている作家さんなどにも出会う。
前日食べ過ぎで、ちょっと胃腸がお疲れ気味だったので、
軽くサラダでもと思ったら、
かなりがっつりとしたサラダがやって来た。
パイナップルと鶏肉入りのサラダだったが、胃腸云々と言っていたくせに、
ペロリと平らげてしまった。
旅に出ると胃袋も拡張するようだ。
前日の美食の様子は
そして主人の訪れたい場所、ロマネスク建築のシトー会修道院、
ル トロネ修道院修道院へ。
こちらは1160年から1230年まで建設が続き、
13世紀初頭には約20人の修道士と、数十人の助修道士が暮らしていたという。
装飾の少ない簡素な作りが、フォルムの美しさを際立たせている。
上部から回廊をゆっくりと眺める。
回廊を子供たちと歩いていると
ピーッ
という笛の音とともに、
ガタンッ
と施錠されるような音がして、
焦る私たち。
入場の時に、閉館時間が近いと告げられてはいたが、
閉じ込められてはたまったものではない。
大急ぎで出入り口へ走る。
主人はこのままここに閉じ込められても全く問題ないほど、ロマネスク建築を愛しているのだが、
皮肉にも短時間の見学となる。
そして、われわれは次の滞在地、アルルに向かう。
今日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。