父とふたりでのヨーロッパの旅は、スイス、オーストリアでした。
もう30年ほど前のことです。
山あいの小さな集落が好きな父との旅ですから、
ゴトゴトと列車に揺られ、
民宿に泊まりながら、山間の道を進んでいくのでした。
エメラルドグリーンの湖にいくつも出会いました。
小さなコテージの民宿でも、木でできた素朴なオルゴール、カッコウ時計(日本でいう鳩時計)がありました。
菜園では、野菜やハーブの足もとで、小ぶりな花たちが風にゆれてリズムを刻んでいました。
そこでは樹木に共鳴する響きが生活に密着していることを実感しました。
大自然が与えるサウンドセラピーをひとびとは存分に受け取っていました。
また、塩、ハーブが健康維持に役立つものであることを知りました。
学会の後の旅行は、ほんとうは母がいっしょに行きたかっただろうな。
(介護があって、弟・妹がいて、犬がいて、無理でしたが)
そんなことを思った日もありましたが、私は父と趣味の合う旅を楽しませてもらいました。
こうして父はサウンドセラピーや自然の中で生きるすべを無形の遺産として残してくれたのでした。
(その5→★)
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