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滝(右奥)「高峰さん、お料理とても美味しかったわ。今日はありがとう、うちへもぜひいらしてね」
安西(右)「うちも妹や弟がうるさいけど、来てちょうだい」
あすか(左)「うん、ふたりとも来てくれてありがとう」
久美子(左奥)「……」
久美子(右)「あれが安西さん?前に来たときと別人だわ。噂の滝さんもちっとも嫌な子じゃなくて、いいところのお嬢さんみたい」
あすか(左)「前の彼らじゃないからね。パラレルワールドから来た人たちと入れ替わってるから。うちの学校自体私立に変わってるし」
あすか(手前)「なんだ、エリックじゃないか。いつ来たの?どうしたの?全然気配がないとキモいよ」
エリック(左奥)「18時になるまで帰ってくるなって、ゴードンに言われた」
久美子「放置子か」
エリック「ゴードン、石神井公園にヴァンパイアカフェ作るって言い出して、今、小屋建ててる」
あすか(手前)「コンカフェか。ちゃんと自治体の許可取ったのかなあ。ゴードンやりたい放題だから」
エリック(左奥)「ホストクラブっぽくしたくて、秘密倶楽部なんだって」
あすか「なんだそりゃ」
エリック「きみのお母さん、教員辞めたんだろ。今、どうしてるの?」
あすか(左)「また、直腸脱が再発してね。入院してる。臓物一式取ってそれっきりサヨナラかもしれないんだって。痛くて座ることも出来ないんだよ。痛い痛いしか言わないし考えられないみたい。本人はそう言ってる。診察してみないと分からないんだけど、慰めてほしくてサヨナラかもって言ってるのかもしれないし、分からない」
久美子(右)「アンタ冷たいわよ」
あすか(右)「きみ、なんか臭いよ。お風呂入ってる?吸血鬼はお風呂に入る必要ないって聞いたけど、きみたちの種族って人間のものも食べるから雑食性でしょ。だから臭うんじゃない?」
エリック(左)「ほんと?」
久美子「水浴びぐらいしかしたことないんじゃない?お風呂入っていきなさいよ」
久美子(右)「ボディシャンプーの使い方とか分かるかしらね」
あすか(左)「指導してくる」
エリック「うわああああ、見られたぁああ!」
あすか「そんなの弟の見慣れてるよ。お洋服も洗濯して乾かしたし、これで清潔に帰れるね」
エリック(右)「きみのお母さん、吸血鬼になれば悪いところ全部治るし、病気もケガもしなくなるんだけどな。食事も普通に摂れるし、差別だって思ったほどされないよ?」
あすか(左)「うちもお母さんは普通から外れることが極端に嫌だって人だから。無駄だよ。耳の悪い人には親切に出来ても、肢体不自由な作家が不倫したらすごく見下げた言い方したりだから、自分が普通じゃなくなったら行方くらますと思うよ」
エリック「ずいぶんお母さんのこと突き放して見てるんだね」
あすか「小3で小6の問題解かされたけど、お祖父ちゃんが倒れたら介護私に押しつけて自分は学校でいい先生やってたんだから、そうなるよ。私は介護の方法とご飯の作り方は、パソコン見て覚えたんだ。当然上手くいかなかったから、お祖父ちゃん死んだときは特殊清掃入ったよ」
エリック「そう。お母さんキライなのに面倒見るんだね」
あすか「今、他に出来る人いないもの。みんな忙しくて」
エリック「だったら、きみがラクになる方を選んだらいいんじゃないの?それとも、きみは吸血鬼が生理的にキライなの?」
あすか「命を助けられたんだから、キライではないけれど、自分の親が吸血鬼になるっていうのは抵抗あるよ。そもそもお母さん、信じないと思うし」
エリック「ぼくは仲間を増やすことは出来ないけど、女王かゴードンならできる。ただ、本人の同意がないと吸血鬼にすることはタブーなんだ。説得しようよ、たったひとりのお母さんでしょ」
久美子「あすかっち、今のノンコ叔母さんはパラレルワールドの人間よ。あすかっちのよく知ってる頑固で怖いノンコ叔母さんじゃないと思うわ」
あすか「お母さんはジルコニアになったけど、身長が高すぎて不完全なものにしかなれなかった。この上吸血鬼にしたらどこがおかしくなるか分からないよ。人間のままでいさせてやりたい」
エリック「逢えないじゃないか。きみはそれで淋しくないの?」
あすか「淋しいよ。甘えたり頼ったりしたいよ。でも、一日中トイレとベッドに籠もって、ただ痛いだけの残りの人生でも、お母さんはそのほうがいいんじゃないかな。お母さんが捨てまくった私の吸血鬼の本のことを思うと、お母さん吸血鬼になっちゃったらどう思うだろうね?さぞ自分を呪うだろ。今は痛いからその時は同意するかもしれないけど、絶対後悔すると思うよ」
久美子「アタシは今のノンコ叔母さんと前のパラレルワールドのノンコ叔母さんは違う人だって思うわ。今はアンタの本を捨てたりしない。全然物腰が違うじゃない。学校の友達だって、顔は同じでも中身が全然違ったでしょ」
エリック(右)「このまま永遠に苦しんで、衰弱していくなんて可哀想じゃないか」
あすか(左)「生きたいって気持ちのなくなった人にしてやれることなんてないよ」
エリック「18時だ。帰らなきゃ……」
あすか「お母さんはもう自分でシモの始末も出来ない。かつて四肢のない作家が不倫したとき『奥さんにシモの世話させておいて図々しい』って悪し様に罵ったのが、今、自分に返ってきてる」
久美子(右)「アンタがノンコ叔母さんを嫌ってるのね」
あすか(左)「動けないままなら、いてくれてもいいんだ。元気になったらまたたくさん捨てられちゃうよ。友達とだって遊ぶなって言われるし、電話だって禁じられる。作家も辞めさせられて東大行って国家公務員目指せって言われる。服だってえんじ色の地味なものしか着せてもらえない。男子と口を利くとあとでうんと怒られる。お母さんはそういう人だから。パラレルワールドの違いでちょっとぐらい優しくても、根本は変わらないよ。ほんとは今のままがいい。自分を産んでくれた人がいなくなったら淋しいもの。でも、本人がそう言うんだから、私にはどうすることも出来ない」
(着信)
あすか「エリック、無事帰れた?」
エリックの声『小屋完成したんだけど、ゴードンが扉を作るのを忘れて……ただの巨大な箱がひとつ、森にあるだけになっちゃった……』
あすか「どうせ許可取ってないんだろ?さっさとバラすんだね」
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別のパラレルワールドから来たゴードンは、結城大和とどっこいのおっちょこちょいでした。
吸血鬼というのは、どこか抜けているのかもしれません。
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また明日も来てね。






















