男の子「あんた、ベランダに開いた穴から落ちたんだって?かっこ悪ぃ~。どんなボロ家だよ。さっきポケモンカードいじってたよな」
あすか「そうで~す。ベランダの穴に落ちたお姉ちゃんで~す。ポケモンカードが何だって?」
男の子「おれ、ミナト。ポケモンカードが大好きな小6。何年生?」
あすか「中2のあすかお姉ちゃんだよ」
ミナト「へー、ババアじゃん。おれ、あんたの隣のベッドなんだ。グリオーマで、もう半年ここにいるんだ。かっけーだろ」
あすか「半年もがんばってんだ。早く帰れるといいね」
ミナト「うん。ここでポケモンカードで遊べる奴がいなくて、つまんなかったんだよな」
ミナト「今からポケモンカードでゲームしない?」
ミナト『うぉっ!そのカード強い!』
藤村博士「何を広げてるんでしょうね」
ミナト「いや~、あんた強いな。おれ、これでもジュニアの部で優勝経験あるんだぜ。あと少しだったのに……」
あすか「お姉ちゃんもこんな強い対戦相手、初めてだよ。面白かった」
ミナト「だろ?おれ、来年はシニアの部にチャレンジするんだ。そこで勝ったら海外の人とも対戦できるんだぜ。もしおれが世界チャンピオンになったら、お嫁さんになってくれない?」
あすか「いいよ。世界チャンピオン目指してがんばれ」
ミナト「やったー」
……それが果たされることはありませんでした。ミナトくんは2日後、夜中に発作を起こして別の部屋に移され、それっきり帰ってこなかったのです。
藤村博士「高峰さん、包帯外しましょう。頭見せてください、もうキレイになってるはずですから、糸を抜く前に頭洗っていいですよ」
あすか「……頭洗っていいの?」
藤村博士「最近は早めに洗った方がいいという報告が多いです。もう、かゆいでしょう」
あすか「ふー、すっきりした」
了くん「じゃ、シャンプーしよう」
あすか「髪長いかな」
了くん「大丈夫。髪の長い入所者さんもいるから」
(水の音)
了くん『お客様~、かゆいところはないですかぁ~♪』
あすか『はーい。了くん美容師みたいだよ』
藤村博士「了くんがふざけてるなんて珍しいですね」
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あすかっちのたった3日間だけの恋人、ミナトくん。
ミナトくんはキューピー人形のようなお顔でかなりの太っちょの男の子の設定でしたが、ぽっちゃり体型の男の子のお人形がありませんでしたしキューピー人形を登場させるのも変なので、かけるくんカスタムの子に演じてもらいました。