了くん(左)「食事の取れない入所者さんでも、口腔ケアって必要なんだよ。口の中って雑菌でいっぱいだからね。唾液の分泌が減って口の中が乾くと、本来唾液によって洗われて菌の繁殖を防いでいたのが減って感染症になったりするんだよな」
あすか(右)「歯を磨いてあげたりするの?」
了くん(左)「歯があって、普通に口が開くなら口をゆすいでからブラッシングする。顔に麻痺とかあるなら、口が上手く開かないので舌ブラシやスポンジブラシを使う。最初に上顎の外側、次に内側、下顎の外側、内側、最後に舌。舌のケアも大事」
あすか(右)「そうなんだ」
了くん「ちなみにスポンジブラシというのは口の中に入れる時は気持ち悪いらしいので、頬の部分、歯の外側からそっと入れる」
了くん(左)「誤嚥性肺炎が恐いんだよね。高齢者は口と喉と食道の筋力が低下しているから、本来食道に運ばれないといけない食べ物、水分、唾液が気管に入っちゃったり、あと、呼吸筋が低下して口腔内の細菌や唾液が気管内に吸引されたりして起こるんだよ。自力でうがいできない人は誤嚥を起こす可能性があるから、口腔ケアに水を使えない」
あすか(右)「た、大変だね」
了くん(左)「口の中をキレイにする時に、口腔ケア用ガーゼを使うこともあるよ。手袋をして、ガーゼを人差し指に巻き付けて、端っこを親指で握る。奥から前へ拭いていくのが基本」
あすか(右)「え?高齢者のお口にガーゼ入れちゃうの?」
了くん「そう。お口の中は傷つきやすいから、やさしく素早く」
了くん(左)「口腔ケアする時大事なのは、正面から、顎を引いた状態ですること。見づらいから上げたくなるけど、誤嚥の危険あり。できるだけ座った状態でするんだけど、無理な場合は頭を横向きにして、唾液や水を吐き出しやすい状態にする。麻痺のある人は健常側を下にすることが基本だよ」
あすか(右)「一人一人違うケアをするんだね」
了くん(左)「とはいえ、現場はほぼ戦場なので、基本通りに出来ないこともあったりするよ。スタッフも人間だから混乱する。入所者さんファーストが絶対のはずなんだけど、時間はないし手も足りないしで思ったようにいかない時もあるんだ」
あすか(右)「悩みどころだね。他にもケアしなきゃならないことがあるのにね」
了くん(左)「今から、あすかっちの歯を磨かせてくんない?」
あすか(右)「へ?」
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了くんの言っている口腔ケアのやり方はほんの一例です。プロの方々によっては色々と違うかもしれませんので、多少のアレはご容赦を。本当の現場で了くんぐらいの年頃の子が、高齢者の複雑なケアに当たることは、ないでしょう。






