シャニス(右)「アメリカの中高生が必ず読む本ってあるんだけど、『蠅の王』って知ってる?」
あすか(中央)「あー、映画になってるね」
久美子(左)「知らないわ。どんな本?」
シャニス「近未来のある国で、飛行機が無人島に漂着して、乗っていた同じ年頃の少年達が生き延びるために獣のようになっていく話なの。最初は知的なリーダーのラルフが民主的にやろうとするんだけど、みんな段々と野性的なジャックのほうに靡くのよ」
シャニス「ピギーという少年のめがねのレンズを使って火を起こした時から、力関係がおかしくなっていくの。極限状態の中で少年達は相争い、ピギーを殺してしまうの」
久美子「殺人事件?恐ーい」
あすか「偏った環境に置かれた少年達が狂気を纏っていく様は、絶妙に上手い書き方だったよね」
あすか(左)「ラストでホッとした」
シャニス(右)「そう?あたしはアレではホッとしない。あそこまで堕ちた子供たちがその後どうなったか想像すると、もう、まともな人間に戻れないんじゃないかと思うよ」
久美子(左)「そんなラストなの?希望がないのね、そういう本をみんな読むの……」
あすか(右)「あれは突出して恐かったけど、人間の本能って何だろうというとあんな感じなのかなとも思うね。理性は大切だ」
シャニス「ねえ、日本では中高生が読む本ってどんなの?」
あすか「色々だよ。ハリポタだったり、星の王子さまだったり」
シャニス「日本人作家のオススメはないの?」
あすか「中学生向けなら個人的には『かがみの孤城』を読んでみてほしい。中学生の悩みが真摯に書かれてる。英訳、出てるかな……?出てなかったら私が訳してもいいよ」
シャニス(右)「よろしく。ゆくゆくは日本語で読めるようになりたいな」
あすか(中央)「おー、チャレンジャーだね!ぜひ日本語を勉強してみて~」
久美子(左)「『かがみの孤城』ってアニメは観たことある。小説は読んだことはないわ。あれこそ救いのある物語ね」
シャニス(右)「あすかっちは大人の本を読んだりする?」
あすか(左)「読むよ。スティーブン・キングが好き」
シャニス「マジ?いいよねえキング、古い世代だけどあたしも夢中で読んだことある」
久美子「……アタシも読んでみる。キングでは何がオススメ?」
あすか(右)「キング面白いでしょ?」
久美子(左)「……長い」
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あすかっちが入った「本好きクラブ」の14歳の女の子、シャニスがウィスコンシン州から遊びに来ました。彼女が「アメリカの中高生なら読んでる本」として挙げた「蠅の王」、みなさん読んだことはあるかもしれませんが子供ばかり出てくるのに残酷な物語でした。「蠅の王」は高校生向けの本として紹介されていましたが中学生も読むようです。うーん、純真な子供があれを読むのか。大人びた子供が出来上がりそうですね。
あすかっちが「中学生限定」でオススメしたのは「かがみの孤城」でした。これは大人でも読めるファンタジーですが、「中学生の頃ってこんなことで悩んでいたよな」という「分かる分かる」系でした。これは感動のラストです。
そして久美子ちゃんも遅まきながらキングを読み始めましたが、彼女には長いようです。キングの何を読んでいるのかな?