あすか(手前)「明日から春休みだな」
了くん(奥)「たった2週間だよ?ひと月ぐらい休みたいね」
あすか(右)「3学期は今までつけていた日記をエッセイにまとめる作業に使っちゃったからね、春休みはゆっくりできそうだ」
了くん(左)「ああ、『Storyーエンジョイ・ザ・モーメントー』だっけ?あれエッセイなの?」
あすか「うん、エッセイだよ。先週から本屋に並んでる。売り上げはいいみたいだよ、ありがたいことに。リカちゃんとマオくん読んでくれたって」
あすか「あれ?ケイティさんじゃないですか、いつこっちに来たの?」
ケイティ「昨日よ。亭主がここから歩いて5分の家を買ったの。でもレンジが壊れちゃって。今日だけキッチン使わせてくれない?」
あすか「いいですよ」
ケイティ「また近所だなんて嬉しいわ、よろしくね」
了くん(左)「ケイティさんってリトル・トーキョー時代に近所だった人だよね?もしかして彼女も平行世界を移動してきたのかな?」
あすか(右)「もしかどころか、ほぼそれだと思う。多分、本人気がついてないから、この世界には怪獣も亜人間もいないってことを知らせておかなきゃね。常識が根本から違うからなー」
了くん(左)「あすかっちも、こっちに戻ってきてから何度か平行世界を行き来してるだろ」
あすか(右)「うん。私、いつもの私と違う?」
了くん「少しだけ」
あすか「変だったら言って」
了くん「別に無理にこの世界に合わせなくてもいいよ」
あすか「寝て起きたらいつもの世界と違うって恐いよね」
了くん「……よくあることだろ」
あすか「よくあるのか」
あすか(左)「ある日目覚めたら自分がいなかった世界とか、大事な人がいなかった世界とかだと寂しいな」
了くん(右)「そうなる前に平行移動しなくなるといいな」
あすか(右)「ケイティさん、アップルパイ焼いていった」
了くん(左)「あすかっちってケイティさんからアップルパイの作り方習ったの?」
あすか「うん。平衡移動能力も、時にはいい出会いをくれるよね」
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異世界にいた頃にご近所だったケイティさんが、現実世界にやってきました。
あすかっちは知り合いが多いので、異世界にいた時は亜人間なお友達もいました。現実世界に戻ってきても、パラレルな現象は続いています。