薫(右)「あすかっち、『リトル・フォレスト』読み終わったから返すね、面白かった。こういう料理ものの漫画ってあるんだね」
あすか(中央)「うん。この作者の本はどれもレアだよ。『リトル・フォレスト』は単に料理だけじゃなくて農家の生活が描かれてるよね」
真夏(左)「料理もの?わたしに簡単な料理教えて!」
薫(左)「そっか、真夏ちゃんのお祖母さん倒れちゃったのか」
真夏(左)「うん。今、お母さんが必死で世話してるけど、家の中のこと全部お祖母ちゃん中心になっちゃって。ご飯もあたらないから、わたしが作ろうかなって」
真夏(左)「あすかっちもお祖父さんのお世話したことあるんでしょ?」
あすか(右)「アレは私が小3だったからねぇ。お世話どころか、2人で8ヶ月もただ飢えているだけだったよ。小2の時に小4までの勉強を終わらせていなかったら留年していたね。今、こども家庭庁がヤングケアラーの子供を気分転換にキャンプに連れて行くなんて言ってるけど、子供はそんな暇あったら勉強したりゆっくり本を読んだりボーッとTV見たりしたいんだよ」
薫(右)「そんな……勉強やTVの時間もなくなっちゃうの?」
キワナ(左)「お祖父さんのお世話って、そんなに大変だったんだね」
あすか(右)「お祖母さんいくつ?」
真夏(左)「67歳」
あすか「なら、まだまだ先は長いね。きみが家事できた方がお母様、介護しやすいよ。でも、家事はしても、ヤングケアラーにならなくて済むならならないほうがいいな」
真夏「え?」
あすか「お母様いっぱいいっぱいになっちゃって、きみに寄りかかったら、きみが潰される。きみがヤングケアラーになったら、高校も行かせてもらえなくなるよ、今大事な時期なのに」
キワナ「そんなに介護って大変なの?」
キワナ(左)「真夏ちゃん頭いいのに……高校は行きなよ」
薫(右)「そうだよ。真夏ちゃんは先生から期待かけられてるんだから、勉強やめちゃダメだよ」
キワナ(右)「あすかっち小3の時、学校行かなかった?」
あすか(左)「お風呂に入る暇がなかったから、学校行けなかったよ。やること山ほどあったよ、お母さん仕事で忙しかったからね。家事と介護同時多発作業の8ヶ月だった」
キワナ「うわー」
真夏「何で児相行かなかったの?」
あすか「児相は一番行っちゃダメなヤツだ。私語禁止、服もボロボロの着せられて、ただ生きてるだけの場所だから」
あすか「真夏ちゃん、家事を手伝うのはいいけど、介護を一手に引き受けることのないようにね」
真夏「なんか経験者が言うと重みがすごいな」
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真夏ちゃんのお祖母さんは、その後介護施設に入所しました。
お祖母さんにまだお金をかけられる家だったので、真夏ちゃんのお母さんは家事と仕事に復帰出来ました。そして、真夏ちゃんは料理をするようになりました。お勉強もいつも通り、普通の生活は戻ってきました。
「真夏ちゃん」は、もとはジェニーフレンドの「ちひろ」です。ブロ友さんのカスタムドールでした。
学級委員長のキャラクターを探していたところ、ブロ友さんがカスタムドールをみなさんにくれるというので、でこ出し+三つ編みの、ど真ん中な子がいたので即、いただきました。
「リトル・フォレスト」は五十嵐大介さんの漫画で、全2巻と読みやすい本です。農家を一人で切り盛りしているいち子という女の子の丁寧な日常を描いたもので、とても面白かったです。