どちらにもある言い分 | 高峰明日香の明日はどっちだ!

高峰明日香の明日はどっちだ!

1/6のSFホームドラマお人形劇場やってます。PCオススメ。
ジェニフレ・バービー・12インチフィギュア達で構成されてます。
読む前にプロフィール欄に目を通してください。
私が監督でドールは役者です。記事は予約投稿です。

松枝(まつがえ)くん「君の弟、猟師なの?やめさせなよ、動物を撃つお仕事なんて野蛮だよ、そんな風に命を取るなんて」

 

あすか「松枝くん、熊鍋の味を知らないね?熊肉は甘くて美味しいんだよ。特に脂身がいいんだ、みんなで鍋を囲んで食べると楽しいよ」

 

松枝くん「何も熊でなくてもいいじゃないか。きみが熊肉が美味しいなんて言うの、似合わないよ。野生動物は保護しないと、美味しいなんていってる間に滅んでしまう。リョコウバトだって昔は沢山いたんだよ?人間は今まで多くの過ちを冒してきたんだ、また滅びる動物の中に熊を加えようって言うの?」

 

あすか「君は人里に下りてきた熊がどんなに獰猛か、知らないようだね。熊の爪と牙はすごく大きくて鋭い。そして頭もいい。たくさんの人が餌食になっているんだから、増えたら大変なんだよ?」

 

松枝くん「きみは可愛い服を着てニッコリしていればいいんだよ。熊は捕まえたら大自然に返すべきだ。ぼくらは環境についてもっと学ばなければいけない。自然と共生して生きていかなければ、人間だって滅んでしまうよ」

 

あすか「ご高説ありがとうよ。だけど、理想論だけで人は救えない。目の前に熊に襲われている人がいたらやっぱり助けなきゃならないだろう?」

 

松枝くん「ぼくならそういう時、大人を呼ぶよ。ぼくら人間がすべきことは、戦うことじゃなく愛し合うことだと思う。そこに人間も動物もないよ。それにその人のイメージって大事だよ。ぼくは万人的じゃないことはしないし、他人にもさせたくない。ちょっと考えれば分かることだよ」

 

松枝くんが帰ったあとで。

了くん「そりゃ、松枝にも一理あるよ。間違ったことを言ってるわけじゃない」

 

あすか「なんでっ」

了くん「――ただ、たまたまヤツがおれ側の人間じゃないってだけでさ。おれだって罠にかかった仔熊を駆除するほど鬼じゃないよ。猟師になったきっかけは熊に襲われていたお爺さんを助けたことだけど、熊が憎いとかそんなんじゃないし、そもそも食うか食われるかだからね」

 

了くん「もちろん、この地球から滅びていい生き物なんていないよ。熊が滅びちゃったらおれの仕事はなくなる。自然が熊という生き物を淘汰するまでは、熊だって生き続ける権利はある。そして、おれたちは大切な誰かを失わないために奴らを追う」

 

あすか「理屈ではそうなんだけど、正論でモノを言う松枝くんに腹が立ったよ、了くん熊鍋食べたいな、獲りまくってよ」

 

了くん「先週から11月15日までは禁猟期間だから、狩猟は当分出来ないよ。どんな大義があってもルールは守らないとね。おれたちの出来ることって今のところは対症療法なんだよ。……あと今、滅んでいい生き物はないって言ったけど、おれゴキブリ恐いから、アレだけはいなくなってもいい」

 

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熊鍋を食べさせてくれるお店は滋賀県にあるそうです。都内ではちょっと無理です。松枝くんと了くん、双方主張はありますが、安全に暮らしたい地元の人の切実な状況もありますし。松枝くんのものの見方はグローバルだけど、料理を食べたいあすかっちにとっては面白くないようですね。

松枝くんはしばらく登場しない間に、意識高い系になっていました。