ファンタジーキャッスルの、あすかっちの家がある村の山奥。
女戦士「おい!子供たちだけでこんな山で何をしている?」
志のぶ「映画の撮影の下見に来ただけです」
女戦士「なんだ、大人か」
志のぶ「いえ、3人とも14歳です」
女戦士「自分から年齢を明かすとは愚かな。お前らは王都から来た日本人だろう。お人好しにもほどがある。用心棒も連れずにこんなところに軽装で来て、モンスターベアの餌になりに来たようなものだな」
了「ぶ、武器は持ってる……」
女戦士「フン、そんなオモチャみたいなマスケット銃で戦う気か。銃身が長すぎて重かろう、お前じゃ扱えん。じゃあな」
あすか「あのー、こういう場合は大人が出口まで送ってくれるとかー」
女戦士「甘えるんじゃない。アニメやゲームにつかり過ぎだ。自分の身は自分で守れ」
女戦士「と、余計なお喋りをしているうち、モンスターベアが我々を食い殺しに来たぞ」
志のぶ「は?こんなに小さいんですか」
女戦士「小さくてもその牙と爪は百獣の王ライオンより強く、皮膚はゾウよりはるかに厚い」
女戦士「この間合いでは剣で戦うしかないが、弱点はひとつしかない。外したらおだぶつだ」
(以下、残酷画像につき省略)
あすか「あっという間だったな。凄い腕だ」
志のぶ「これがモンスターベアなんですね。この小ささでライオンより強いなんて凄いです」
女戦士「ところで、最近、リトル・トーキョーの町外れの村に黒髪の作家が越してきたそうだが、子供の姿をしていると聞く。何でも恐ろしい怪力の持ち主だそうだな。知っていたら会ってみたいものだ」
志のぶ「す、凄いです!」
女戦士「やはりお前か。そのまま1㎞運んでいってくれたら300クレジットやろう」
あすか「300クレジットか。引き受けた」
女戦士「ここまでで1㎞だ。報酬をやろう」
女戦士「おっと、その前に熊から助けてやったぶんと、道中用心棒になってやった報酬をもらおうか。相場は300クレジットだから、これでトントンだ。お前らは金を持っていないだろう」
あすか「お前、騙したな!」
女戦士「私は最初から騙してなどいない。言うのが遅れただけだ。だから日本人は甘いと言うんだ」
あすか「じゃあ、お前の家まで担いでいってやろうじゃないか。そしたら熊から助けてもらった半分をくれ。どうだ」
女戦士(右)「よかろう。どうだ少年、いや、本当に少年かどうかは分からないが……守られてばかりで情けなかろう」
了(左)「オレはこの村で2年間熊撃ちをやった。パーティー組んで、飛び道具は得意だ」
女戦士「ひとりで戦えるか?山をあるいていればこんなことしょっちゅうだ」
了「……」
志のぶ「む、無理しないでください、戦士さんの家はさっきより遠いです」
あすか「中1の時アメリカ旅行に行ったけど、もっと重いグリズリーを担いで下山したこともあったよ」
あすか「ここがあんたの家か」
女戦士「そうだ」
女戦士「大したヤツだ。名前を聞いておこうか」
志のぶ「自分から名乗らない人に答える必要ないですよ」
あすか「私は高峰明日香。あすかっちでいい」
戦士ゲルダ「いい名だ。覚えておこう。さあ、報酬の150クレジットだ。受け取れ」
あすか「ありがとう」
女戦士ゲルダ「私はゲルダ。戦士ゲルダだ。いずれまた会うこともあるかもな」
志のぶ(右)「あすかさん、今日は私の映画のために頑張ってくださってありがとうございました。肩をお揉みしましょう」
あすか(左)「こちらこそ、臨時収入が入ってホクホクだよ」
志のぶ「どうしてあんな無茶をしたんですか?びっくりしました」
あすか「そんなに無茶ではないよ」
志のぶ「すごかったです」
女戦士ゲルダの声が反芻される了くん。
戦士ゲルダの声「(一人で戦えるか?山を歩いていればこんなこと、しょっちゅうだ)」
了「……」
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2年間も弓矢の腕を磨いたけれど、ちょっと銃に手を出してみたくなり年齢不詳の女戦士にバカにされてしまった了くん。チームワークで戦うのが得意な了くん、ファンタジーキャッスルに来たはいいけれど、一人で山へ入れないでしょう。
勘のいい読者様ならお分かりでしょうが、どんな武器を使っても目を狙わなければ倒せない、はずはありません。なぜなら全身鋼鉄並みでは熊を捌くのに、毛皮を剥いだり内臓や肉を取ったり出来ないからです。
特攻覚悟で柔らかいお腹にズドン!もしくはグサッといけば倒せるのです。ただ、モンスターベアは頭がよく、なかなかお腹を狙うチャンスを与えてくれません。それに毛皮に汚い傷がついたら値が下がってしまいます。
さらに、いったん脚に食らいついたらそのまま食いちぎってしまうでしょう。あとは一瞬です。あすかっちや了くんは骨だけになっても何週間かすれば元に戻りますが、志のぶちゃんはただの人間です。だからあすかっちも今回はうっかり手を出せなかったのでした。
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明日は美味しいものが出てきます。




















