アルフレッド(左)「もうすぐ寝る時間ですよ、お嬢様」
あすか(右)「…編集者のナタリーさんに、原稿突き返された。あと5時間で全部書き直せって。ジャーナリズムが中立からはずれたら雑誌には載せられないって」
アルフレッド「どんな内容ですか?」
あすか「小説だから。主人公のジャーナリストの青年が最後、権力に屈服してしまうオチなんだけど、まだ私がそれやるには早いって」
アルフレッド「それは同感ですな。バッドエンドのものはもっといろいろなことを体験してから書かれたほうが説得力があります。雑誌の色にもよりますが」
アルフレッド「ですが、あと5時間で書き直せと言われても、お嬢様の年齢でそれをおやりになるのは無茶です。明日の授業に障ります」
あすか「できるよ。ただ、出来上がったのが渾身の作だったから凹んでるだけ」
アルフレッド「どんなに頑張っても、『頑張りました』感の強い作品は面白くはありません。自分が読者になったつもりでお書きなさい」
久美子(左)「あすかっち~、もうみんな寝ちゃったわよ」
久美子(左)「もう寝たら?」
あすか(右)「〆切りが5時間後なの」
久美子「あーら、大変ね」
あすか「作品突っ返されたんだけど」
久美子「読んでほしいならそう言えば?」
久美子(左)「ん~、そうね、これは載せないほうがいいわね」
あすか(右)「なにがまずいと思う?」
久美子「ムカつくから」
あすか「…そう言われちゃ仕方ないな」
あすか「書こうと思ったら書けるもんだね。スタミナドリンクは偉大だ」
あすか「アルフレッドはもう寝て」
アルフレッド「寝ますとも。こちらも明日の仕事に障りますから」
あすか(右)「え、ナタリーさん来たの?メールに添付するって…」
ナタリーさん(左)「車の中で待ってたのよ。あすかっちは開き直ると〆切りの一時間前にきっちり原稿書きあげるから。今回もご多分に漏れずだわね」
ナタリーさん「悪くないわ。4時間でよくここまでやったわね。今度はジャーナリストは事実をありのままに伝える、ってことを主人公に貫かせたわね、お見事」
ナタリーさん(左)「OKよ、お疲れ様」
あすか(右)「あー、よかった」
ナタリーさん「あら、し、執事さん」
アルフレッド「どうも、ご苦労様です」
ナタリーさん「そこ通していただける?」
アルフレッド「いいですよ。ひとこといいですか?労働基準法違反ですよ。私は曲がったことが大嫌いなのです」
ナタリーさん「印刷所が待ってるのよ」
アルフレッド「そういったことも含めて、じっくり、またいずれ相談させていただいても?」
ナタリーさん「も、もちろんよ、お願い、今日は帰らせて」
アルフレッド「出過ぎたことをいたしました」
あすか「アルフレッド、起きてたの?ごめんね」
アルフレッド「この歳だともともとあんまり長くは眠れないものなのですよ。でもお嬢様はとっととお布団にお入りくださいね」
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こうしてあすかっちの長い夜は終わりました。

















