女王との勝負を分けた”質”と“幅”
【プレナスなでしこリーグ1部第2節】
開催日:2017年4月2日 13:00 KICK OFF
会場:上野運動公園競技場(三重県)
伊賀FCくノ一 0-3 日テレベレーザ
【得点者】<ベレーザ>田中(34、45分)長谷川(48分)
相手に囲まれてもボールを失わなかった伊賀の新主将・MF杉田。by伊賀FCくノ一公式HP
新戦力4人+コンバート3人
大幅に主力が入れ替わったくノ一
まさに春日和となった4月2日、三重県伊賀市の上野運動公園競技場は快晴でした。朝に自宅を出発した時は寒さを感じてダウンジャケットを持参した筆者でしたが、全く必要なし。(後半からは肌寒くなりましたが)
今年2度目の現地観戦となった伊賀フットボールクラブくノ一。前回は3月11・12日に地元・伊賀市が毎年のシーズン開幕直前に開催しているプレシーズントーナメント=第15回伊賀市長杯『忍びの里レディーストーナメント』でした。(今大会には1部・AC長野パルセイロレディースと2部・愛媛FCレディースが参加。筆者は2日目の愛媛FCレディース戦を観戦。)
その『忍びの里レディース』の2試合に、3月26日に開幕を迎えたプレナスなでしこリーグ1部の初戦・アルビレックス新潟レディース戦を加えた3試合を参考材料にすると、今季の伊賀FCくノ一は新加入選手の多くがレギュラーに割り込んでいる事と昨年の主力選手でもポジションをコンバート(再コンバート含む)された選手が多い陣容。
極め付けは4人構成の中盤にあって3人が新戦力で占められている事と、今季のチーム編成上、FW登録されている選手が僅かに2人しかいないこと。昨季限りで主将MF那須麻衣子さんが現役を引退し、右サイドバックを務めたDF武田ありさ選手が2部・オルカ鴨川FCへ移籍したものの、主力選手で抜けたのはこの2人のみ。それでもレギュラー陣に新戦力4人+昨季とは違うポジションで起用されている選手が3人いる布陣で今季を戦っています。
先発全員が代表選手
2連覇中の絶対女王=ベレーザ
ホーム開幕戦となったこの日に迎えたのは、現在リーグ2連覇中で昨季はプレナスなでしこリーグカップとの2冠を達成し、今季は皇后杯との3冠を目指す絶対女王=日テレ・ベレーザ。
先発メンバー発表の際に改めて感じましたが、スタメン11人全員が代表経験者で占められている超豪華布陣(右SBの清水梨紗選手はU23代表まで各年代の主力、MF隅田凛選手は先日、初代表に招集)。2年連続でリーグMVPにも選出されている日本代表MF阪口夢穂選手と昨季リーグ得点女王の同代表FW田中美南選手ら、昨季のリーグベストイレブンにも7人が選出されています。
個としても組織としても完成度が高い上に、平均年齢22歳前後で構成されている現在のベレーザは絶対女王にして“伸びシロ”も抜群。
昨季途中に就任した伊賀・野田朱美監督にとっても選手としても指導者としても過ごした古巣。昨季後半戦で対決した際は0-1と惜敗。伊賀にもベレーザ流のポゼッションサッカーを植え付けた野田監督がその古巣を相手にどんなサッカーを仕掛け、どの程度それらが通じ、結果を分けるのか?様々な注目ポイントを持って観戦しました。(尚、筆者はなでしこリーグ公式ポスターと伊賀FCくノ一のポスターの抽選に外れました。残念。)
試合の入りは順調も戦術に“幅”
13時にキックオフされた試合は、伊賀・野田監督のコメント通り、「(試合の)入りこそ戦術的にはまって、優位に試合を進めることができた」。
その戦術とはおそらく、最前線からのプレス。あるいは中盤の守備でボールではなく人につくマンツー・マン。昨季後半からFWとしてプレーする杉田亜未選手が相手DFがボールを奪ってエリア内に持ち込んでのシュートが飛び出したように、この戦略で伊賀は開始10分ほどは狙い通りに優勢に試合を運びました。
しかし、相手は女王・ベレーザ。思うようにボールを支配できず、伊賀にボール支配も許していたものの、耐えながら陣形を微修正。ボールを持つとMF阪口選手が最終ラインに入り、より低い位置から攻撃のスイッチとなる縦パスやサイドへの展開を主導。中央にはFWと攻撃的MFの4人が流動的にポジションを入れ替えて中央突破で機動力を出しつつ、右SBの清水選手の攻撃参加でサイド攻撃にも脅威を与える変幻自在の攻撃の幅。
新戦力+コンバート選手が多い伊賀の守備陣も何とか耐えていたものの、徐々に連携や新たなポジションへの不慣れからピンチの連続で一気に劣勢に。
34分にはクリアした直後のDFラインの押し上げをロングボールで突かれ、ベレーザFW田中選手が伊賀DF大橋実生選手と入れ代わって抜け出され、0-1。45分には自陣でのミスからショートカウンター気味に速いパス交換からぺナルティエリア内まで崩され、再びFW田中選手に決められて、0-2。
先制点の場面での僅かな連携の隙、前半終了間際の追加点という時間帯。不運な失点だったものの、それを招いたのはベレーザにあって伊賀になかった戦術・戦略の”幅”だった気がします。
【なでしこリーグ1部全チーム紹介】
先週末から開幕したなでしこリーグ。画像引用元:http://www.nadeshikoleague.jp/
当ブログでは先週末から開幕したプレナスなでしこリーグ1部参加の全10チームを1チームずつ紹介する記事を掲載しています。この機会に是非、ご一読ください。詳細は下記バックナンバーをクリックして下さい☆
【なでしこリーグ1部全チーム紹介~『Shooty』リライト版】
第1弾、<マイナビ・ベガルタ仙台編>
第2弾、<浦和レッドダイヤモンズL編>
第3弾、<ちふれASエルフェン埼玉編>
第4弾、<ジェフユナイテッド千葉L編>
第5弾、<日テレ・ベレーザ編>
第6弾、<ノジマステラ神奈川相模原編>
第7弾、<アルビレックス新潟L編>
第8弾、<AC長野パルセイロL編>
第9弾、<伊賀FCくノ一編>
第10弾、<INAC神戸レオネッサ編>
それではまた(^.^)/~~~