前回の更新で伝説と謳われる巨大なPIGの系譜を継承したボードの能書きを綴らせて頂いたが、本日はそのボードの全容を綴ってみたいと思う。
それは親交あるヴィンテージコレクターの一言から始まった。
「俺の自慢のボードは11ftのホビーのPIGだ」、「こいつが唯一無二の宝物だな」と・・・
11ftのPIG?
それは拝んでみたい。
俺もかつてはダノーの11ftのPIGを有していたがビンテージなると、どんな感じなんだろか?
ダノーのボードは洗練され過ぎていて同じ11ftでも頭の中では比較が出来ない。
ましてやホビーに伝わる伝説の系譜のPIG。
「なぁ、俺に譲ってくれよ」と無理を承知でせがんでみた。
すると即答で「駄目だ!」、「あれは売らない!」と。
まぁ、大凡の予測は付いていたが余りにも即答だったので彼にとっては相当のお気に入りだと云う事が伝わって来た。
しかし、面白いもので恋い焦がれて待ちわびていると話は転がり込んで来るものだ。
そのやり取りから数か月後の事である。
彼から「条件付きになるが君に譲るよ」とオファーが来た。
迷う事無く入手の意思を伝え、そして手元にやって来たのがコレである。
ホビーのPIGである。
このボード・・・
長い、本当に長い、そして、重い。
重さはある程度覚悟していたのだが、いざ抱えてみると思っていた以上に長い。
「11ftって、こんなに長いか?」と思ってしまう程である。
これまで俺の有して来たボードの中で最も長ったのはウェーバーの12ftのスタイリストだが、抱えた時の感触はそれに近い・・・
そして、ふと思った。
もしや、11ftではないのかも?
そして、計測してみると・・・
見事に11fオーバー。
正確には12ftを少し欠ける11.8ftである。
不思議なもので9.8ftのボードと10ftのボードでは違いが鮮明にあるのだが、もう、11.8と12ftでは同じにしか感じない。
この感触は正にウェーバーの12ftと同じである。
こりゃぁ、参った・・・
流石に12ftは長すぎる。
かつて有していたウェーバーの12ftは一人ではガレージでは持ち出すことも出来ず、埋もれたままの状態で手放した経緯があるが、こいつもこのままで行くと同じ事になりそうだ。
しかし、これは譲ってもらったボードである。
なんとか、撮影し、そして、海に持ち込みたい。
そんな想いから引きずる様にボードの全容を撮影してみた。
このアウトライン・・・
そう、以前にも紹介したテリー・マーティンがプライベートで削ったPIGと同じである。
成程・・・
2本有して解ったが、これがテリー・マーティンのPIGなんだと云う事を。
それはこのフィンも同様である。
テリー・マーティンのPIGを有した時から「変わったフィンだなぁ?」と思っていたが、この形状は1960年から変わる事の無かった伝統的なホビーのハーフムーンなのだ。
そんな巨大なPIGのディティールに目を向けてみると真っ先に飛び込んで来たのがロッカーの角度である。
巨大過ぎてボードラックには乗せられなかったので平置きで撮影にはなるが・・・
いやいや、これではどの程度ロッカーがあるのか判らない。
ならば・・・
このロッカー、相当な反り具合になっており、ヴィンテージPIGでここまで反りあがったロッカーは見た事が無い程である。
あくまでも推測になるが、これはボードの長さを考慮したテリー・マーティンの計らいではなかろうか?
テールはボードの重さを感じる事無く波のパワーを吸収できる様になのか?
かなり、ワイド気味になっており、この段階で「このボードを取り廻す事は不可能に近いよ」とメッセージにも感じる程である。
そして、この巨大なボードを支えるストリンガーは3本から構成されており、いずれも時代の産物であるレッドウッドが宛がわれている。
シダーではなくレッドウッド・・・
この創り込みこそがヴィンテージの醍醐味である。
そして、そのストリンガーに沿う様に巨大なホビーのディケール。
さて、これを海に持ち込む為にも早々にワックスアップと行きたいと所だが・・・
残念ながらコイツを単独で引っ張り出し、再びガレージ収めるのは避けたいので友人を呼びつけて共に行う事にしたいと思う。
今回は長々と綴ってしまったが、やはり、ヴィンテージボードは浪漫の塊である。
半世紀以上も前に創られた遊び道具と共にいられる事に感謝しかない。
Keep Surfing!!!