前回の更新ではアダム・ダベンポートから譲り受けた1963年のPIGを紹介したが、このPIGが非常に状態が悪く、リペアに追われる有様になった事をチンタラと綴らせてもらった。
サーフボードに対する価値観は人其々なのだが、俺的にはビンテージのリぺアに関しては「適当に直っている」くらいが丁度良いと思っている。
ヴィンテージのクラックは歴戦の証であるのだから、そこを敢えて見えない様に隠してしまうのは好ましい事では無いと思うのは俺だけであろうか?
実際にリペア後に目にするボードを手にすると・・・
「ヴィンテージはこんな感じが良いね!」と思えてしまうから不思議なものである。
リペアを施すという事は「乗る」という事なので、早速、ワックスアップに掛かった訳だが、その前にボードを紹介したいと思う。
アダム・ダベンポートから譲り受けた1963年モデルのPIGである。
1963年と云うと・・・
先日紹介したこちらのアダムのボードが同じテンプレートを使用しているのだが、こうして比べて見るとノーズのボリュームが違う事がハッキリと判るのではないだろうか?
中央からテールに向かってのアウトラインは略同じなのだが、アダムのボードの方はノーズコンケーブが入っている為、ノーズのややボリュームを持たせているのが判る。
アダム自身は「レプリカを創っている訳では無い」と云っているので、これはこれで良いのではないだろうかと思う所である。
さて、ヴィンテージの方に目を戻してみると一際目に付くのが3本のバンドである。
このバンドは元々入っていた訳では無く、剥離してあった箇所を修復した時に隠す為にバランス良く3本のバンドを入れたそうである。
実際に、この手のバンドを施したヴィンテージは多々あるので、これもヴィンテージに精通している者がリペアを施した証だという事が判る要因にもなるのではないだろうか?
バンド以外の各所ディールに目を向けてみると、やはり、これが目に付く。
ジェイコブスのPIGの象徴である、この大きなハーフ―ムーン!
「これぞ、ジェイコブス!」と、声を大にしたいディティールの1つである。
個人的にはマット・カルヴァーニが削る現行PIGにも採用して欲しいと願うのは俺だけであろうか?
ハーフムーン以外にも見逃してはならないのが、このテールブロックである。
ジェイコブスはベルジーのパートナーであったと同時に彼の一番弟子もあったので、師の教え通りの組み合わせがブロックにはなされている。
そんなヴィンテージPIGにはご覧の極太のシダーストリンガーが映え渡っている。
フルレストアが行われていないにも拘らず超重量級の重さはバルサよりも遥かに重いシダーが要因なのかと思う程である。
そんなストリンガーに燦然と輝くのが、このディケールである!
このタイプ以外にもジェイコブスの代表的なディケールは存在するのだが、ミッキー・ドラが小脇に抱えるこの一葉を見ていると個人的にはこちらのディケールの方が好みである。
リペアも完了し、ワックスアップも施したので、後はここにイージプラグを付けるだけである。
ヴィンテージにはプラグはナンセンスな事は充分に理解はしている。
出来る事ならノーリーシュで乗るのが最高だと思う。
しかし、それは大きなマナー違反でもある。
誰かに怪我をさせてからでは遅い。
そう考えるとこれ以外に選択肢は無いのではあろうか?
ここはカリフォリニアではなく日本なのだから・・・
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