不思議なもので、サーフィンから3ヶ月も遠ざかると身体が直ぐに海に反応できない事に気付かされる。
元々の運動神経が・・・
と云ってしまえばそれ切りだが、やはり、先週の波乗りは思いの外楽しめる内容では無かった様な気がする。
そんな苦境?から脱するべく、改めて「復活のサーフィン」を試みる為に海へと足を向かわせる・・・
車に詰め込んだボードはマイク・ブラックから譲り受けたアレだ。
ビーチに着くと真っ黒に日焼けした知人がボードを片手に海から上がって来た。
「久しぶり!」の声を掛け合いながらお互いに「来ているんだなぁ」と、皆が海に戻り始めている事を確認し合った。
彼の日焼けした姿に背中を押される様に早々とボードを片手に海へ向かうと今度は別の聞き慣れた声が耳元を覆った。
「久しぶりだねぇ!」と、地元ではレンジェンドと称される年配のサーファーが声を掛けてくれた。
ボードを片手に「自粛期間中に何をしていたのか?」と戯言を掛け合っていると彼が一言呟いた。
「随分と珍しいボードだね?」、「それって曲がるの?」
そう、この日にチョイスしたボードはマイクから譲り受けたコレである。
「さぁ、どうなんでしょうかね?」、「俺で曲げらるのかなぁ?」と、苦笑いを浮かべながら返答する。
でも、なんだか今日はコイツに乗ってみたかったのだ。
曲がるとか曲がらないとかはどうでも良い事で、このボードと共に海に浸かりたかったのだ。
以前にも紹介したが、コレはジム・フィリップスが手掛けたシモンズである。
フォームにはジーン・クーパーのストリンガーレスのボードと同様のモノが使用され、両サイドにはバルサの無垢材が使用されたボードである。
テールにはVee等は一切入る事無く、ジム・フィリップスならではの古き良き時代のディティールが再現されている。
そして、そこには歴史の生き証人が丹精込めて手掛けたウッドフィンが2本あしらわれている。
このボードで曲がるとか曲がらないとかは結果論にしか過ぎないと思い、浸水しさせてあげると・・・
その造形とは掛け離れた機動性を発揮してくれた。
なんだ、俺でも取り廻せるじゃないか!
いやはや、サーフボードとは本当に不思議な代物である。
何の変哲もない造形の何処にこの機動性が含まれているのだろうか?
今更云う事でもないが、こういう特殊なボードに乗れば乗る程、ジム・フィリップスがリアルレジェンドある事が納得出来る。
歴史の生き証人が全身全霊で創り上げた唯一無二のシモンズ・・・
こういうボードに身を任せる事が出来るのだから、改めてこのディケールには敬意を表したいものである。
Keep Surfing!!!!